日本における脊椎麻酔死 改訂第2版
安全な脊椎麻酔と事故の予防のために
1.脊椎麻酔の歴史
1)脊椎麻酔小史
2)1901年(明治34)~ 1907年(明治40)
3)1908年(明治41)~ 1912年(明治45)
4)1912年(大正元)~ 1926年(大正15)
5)1926年(昭和元)~ 1935年(昭和10)
6)1936年(昭和11)~ 1945年(昭和20)
7)1946年(昭和21)~ 1988年(昭和63)
8)1989年(平成元)~ 2001年(平成13)
2.欧米における脊椎麻酔死
3.日本における脊椎麻酔死とその対策
1)1926年(昭和元)~ 1945年(昭和20)
2)1946年(昭和21)~ 1955年(昭和30)
3)1956年(昭和31)~ 1965年(昭和40)
4)1966年(昭和41)~ 1975年(昭和50)
5)1976年(昭和51)~ 1985年(昭和60)
6)1986年(昭和61)~ 2001年(平成13)
4.医事訴訟に現れた脊椎麻酔死
5.若年者の脊椎麻酔と麻酔高の異常上昇
6.若年者の麻酔高異常上昇のメカニズムに対する仮説
7.全脊椎麻酔時の循環動態
1999年(平成11)12月に第1版を上梓したが,幸い少なくない読者を得た。これらの読者から誤植などの御指摘を戴いて,半年後の2000年7月に訂正版を出版した。しかし著者として改めて覚めた目で読むと,所々に誤解を招くような表現や分かりにくい個所があることに気づいた。本書の内容が深刻であるが故に,あくまでも正確を期さなければならない。誤解されると大変な事態を招くからである。このため改訂版を発行することにした。
2000年(平成12)から2001年(平成13)にかけての世界中の脊椎麻酔に関する知見を追加し,併せて第6(章)の「若年者の麻酔高異常上昇のメカニズムに対する仮説」にMRIの写真8葉を追加して,より理解が得られやすくした。この8葉の写真は函館市で開業されている教室出身の山谷隆二博士から提供されたもので,山谷博士に深甚の謝意を表する。なお1の「脊椎麻酔の歴史」の1)~7)は以前執筆したため,文献の終頁を示していない。御了承願いたい。
2001年(平成13)初頭,東京の某テレビ局から問い合わせがあり,「最近の医療事故多発にも拘わらず,従来多発していた脊椎麻酔の事故が発生しても当然と考えられるのに,それが全く報告されないのは不可解な事象と考えられており,本書の出版と何か関係があるか」と尋ねられた。著者はもちろん「分からない」と答えたが,もし本書が少しでも脊椎麻酔事故の予防に貢献しているのであれば,これに優る喜びはない。麻酔科医のみならず,外科系医師の熟読をお願いする次第である。
2001年4月28日
松木明知