術中合併症対策と術後管理指示
編集 | 稲垣喜三、大槻明広 |
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ISBN | 978-4-7719- 0523-8 |
発行年 | 2019年 |
判型 | B5 |
ページ数 | 360ページ |
本体価格 | 8,600円(税抜き) |
電子版 | なし |
M2Plus<電子版>
平成から令和へと元号も改まり,社会もそれに伴って新たな道に歩みだそうとしています。この新しい時代の手術には,より高度で低侵襲な手技と質の高い安全な周術期患者管理が求められます。安全な周術期患者管理には術前の詳細な患者情報の収集と分析が不可欠ですが,それを実践してもなお発生する想定外の術中合併症への迅速で的確な対応が必要となります。さらに,病態に即した適切な治療を提供できる術後管理体制の整備も,患者の安全を担保するうえで重要となります。しかしながら,集中治療を提供できる部署(病床)を常備している施設は限られており,一般病棟で濃厚治療を提供している施設が多いのが現状です。このような施設での麻酔科医には,術中合併症への対応と同時に術後管理への助言や指示が求められます。麻酔科医が必要最小限の術後早期に実施すべき術後管理指針や手順を知識として具備することは,シームレスな術中術後管理の確立と専門医への円滑な治療の引き継ぎを実現させ,患者の予後を向上させることに大きく寄与すると考えます。
この観点から,このたび克誠堂出版のご協力を得て,「術中合併症対策と術後管理指示」を上梓いたしました。鳥取大学医学部附属病院麻酔診療科群のスタッフと鳥取大学医学部麻酔科同門会の諸兄姉に依頼し,麻酔管理中に発症しうる合併症に対して,その病態と診断,治療,術後管理の提要を執筆していただきました。本書には,私たちが経験した症例を踏まえて,術中合併症を早期に診断して治療を開始し,その治療や対応策を術後にまで継続させるためのノウハウが詰め込まれています。本書の特徴は,合併症への術中対応のみならず,術後早期の患者管理にも言及している点です。
本書が座右に置かれて,質の高い周術期患者管理の提供と患者予後の向上に寄与するならば,編者として望外の喜びであります。
令和の薫風を感じながら(2019年5月吉日)
稲垣 喜三
大槻 明広