麻酔 2020年7月号
【特集】敗血症の診断と治療―麻酔科医にとっての最新の考え方―
2016年にセプシス-3の新しい定義が提唱されて、敗血症のとらえ方は大きく変貌した。長年使用してきたSIRSという病態の括り方を取りやめて、臓器障害を識別して総合評価することに主軸を移した。Surviving Sepsis Campaignによる敗血症バンドルの世界的な展開によって治療の標準化が進み、最近もアップデートが行われている。一方で薬剤治療は現在でも明確な有効性が示されたものはないので、今後の新薬の開発と個別の患者の特徴に合わせたprecision medicineが期待される。麻酔科医は手術麻酔や集中治療などで敗血症患者の診療にかかわる機会が多いので、最新の考え方の理解は特に重要である。
第69巻7号(2020年7月号)
●巻頭言
周術期管理のその先に (戸田雄一郎) 703
●特集 敗血症の診断と治療―麻酔科医にとっての最新の考え方―
緒言とまとめ (山田芳嗣) 704
敗血症の定義と診断の変遷―Sepsis-1からSepsis-3へ― (松田直之) 707
敗血症の病態生理と臓器障害進展のメカニズム (森山和広ほか) 716
敗血症と急性呼吸促迫症候群(ARDS)(成宮博理ほか) 724
敗血症と急性腎障害 (土井研人) 734
敗血症に起因する凝固障害と播種性血管内凝固(DIC)(射場敏明) 740
敗血症における心筋抑制と循環障害 (垣花泰之) 749
敗血症患者における多臓器連関―ネットワーク解析を用いた検証― (浅田敏文) 757
●原著
腹腔鏡下消化管手術後の肩痛の発生頻度とその要因に関する前向き研究 (西村温子ほか) 764
持続大腿神経ブロック用カテーテルの留置位置に関する研究 (町野麻美ほか) 771
脊髄くも膜下麻酔時のデクスメデトミジン初期負荷投与が循環動態に与える影響 (金谷綾奈ほか) 777
●講座
統計ノート-7 データの示し方:標準偏差(2)(浅井 隆) 783
●短報
右心系の空気抜きに経食道心エコーガイド下での肺動脈カテーテルからの吸引が有効であった1症例 (田中康智ほか) 786
肺腫瘍マーキングによる動脈空気塞栓症例の麻酔経験 (丸山友紀ほか) 789
舌扁桃肥大により予期せぬ挿管困難を来した症例の麻酔経験 (坂田 優ほか) 794
リンパ脈管筋腫症に対する胸腔鏡下肺部分切除術の麻酔管理―Bailey法が有効であった1症例― (八幡俊介ほか) 798
●紹介
蘇生の歴史:41.血液循環の発見(15)―William Harvey:De motu cordis-2― (浅井 隆) 801
外国文献紹介 808
書 評 810
投稿規定 811
ニュース 817