日本麻酔科学史の新研究
日本麻酔科学史の基本的な課題である“時代区分”や、麻酔科学発展遅延の問題などを収載。
将来の“通史”執筆の基礎となる各論の新研究を纏めた麻酔科医必読の一冊 !
I 日本麻酔科学史の新しい時代区分の提唱
─なぜ時代区分をしなければならないか─
1 日本医学史,日本外科学史における時代区分
2 欧米の麻酔科学史における時代区分
3 日本の麻酔科学史における時代区分
4 著者による新しい時代区分の提唱
II なぜ太平洋戦争前の日本では麻酔科学の発達が遅れたのか
1 麻酔科学史研究─世界の動向─
2 太平洋戦争終戦前の日本における麻酔科学の歩み
3 なぜ日本で麻酔科学の発達が遅れたのか
4 現況の分析と将来の展望
III なぜ「麻酔学」という誤った語が造られたのか
─「麻酔」から「麻酔学」へ,そして「麻酔学」から「麻酔科学」ヘ─
1 「麻酔」という語は漢語か
2 華岡青洲は「全身麻酔」をどのように表現したか
3 杉田成卿訳「亞的耳吸法試説」と「麻酔」
4 明治から昭和初期にかけての日本の外科医と「麻酔」
5 Meyer Saklad博士の来日と日本への近代麻酔科学の導入
6 東京大学医学部麻酔学講座の開講と日本麻酔学会の創立
7 科名についての論争
IV 杉田成卿訳の「亞的耳吸法試説」について
─日本で最初に翻訳された西欧麻酔科学書について─
1 「亞的耳吸法試説」の訳者杉田成卿について
2 杉田成卿訳「亞的耳吸法試説」について
3 「亞的耳吸法試説」に現れた「麻酔」に関連した語彙について
4 J Sarluis によるオランダ語訳「Over den Invloed der Inademing van den Zwavel-Aether op Menschen en Dieren」について
5 「亞的耳吸法試説」とオランダ語訳との比較
6 ドイツ語原書Schlesinger著「Die Einathmung des Schwefel-Aethers in ihren Wirkungen auf Menschen und Thiere 」(第1版)について
7 ドイツ語原書第1版とオランダ語訳書の比較
V 日本における吸入麻酔の起源
─エーテル,クロロホルム麻酔を中心に─
1 エーテル麻酔
2 クロロホルム麻酔
VI 日本における最初のコカイン臨床使用者
VII 三輪徳寛と日本で最初の本格的麻酔科学書
1 「日本外科全書」第3巻の三輪徳寛著「療法総論」について
2 「全身麻酔」(1~84頁)について
3 「局所麻酔」(85~290頁)について
VIII 日本における最初のエンフルラン麻酔の臨床
IX エーテルおよびクロロホルム麻酔の興奮期の機序を解明した前田正隆
─前田正隆の研究とその後の展開─
1 前田正隆のエーテル麻酔興奮期発現の機序に関する論文
2 前田正隆の研究を引き継いだ野口正幸
3 その頃の鼻腔機能の研究
4 著者(松木)らによる研究
5 「興奮期」に鼻腔が関係していることを最初に指摘したのは誰か
6 おわりに
X Sir Frederick Hewitt と華岡青洲
─麻酔科学史を飾る東西の巨人─