代用血漿剤HES
HES製剤を安全に臨床使用するには?
第一人者の著者がその歴史から最新の研究成果までを解説。
薬理学的性格と血液希釈の生理を熟知するために!
HES製剤もその分子量、hydroxyethylationの違いによって、その薬理学的性格が異なる。それにともない適応も異なり、それぞれの製品の適応範囲も拡大されて臨床に大きく役立つものと期待される。しかし、それには使用するHES製剤の性格、また実際の使用にともなう血液希釈の生理を十分理解することが大切である。そして、かつてわが国であった代用血漿剤にともなう不快な合併症の発生を防がねばならない。 <序文より抜粋>
第1章 代用血漿剤とHES製剤の開発
第2章 代用血漿剤としての条件
参考1:コロイド(colloid)
第3章 HES製剤の製造、物理・化学的性状
1 製造、分子構造
2 分子量、分子サイズ
参考1:平均分子量と分散度
参考2:HES製剤の分子量、DS値、C2/C6比の表示
3 膠質浸透圧(colloid osmotic pressure)
参考3:膠質分子の表面電荷と膠質浸透圧
4 粘度(viscosity)
参考4:粘度は摩擦抵抗か
5 赤血球集合(erythrocyte aggregation)
参考5:血液型判定と赤血球集合
参考6:viscosity gradient index(VGI)
6 アミラーゼ作用
7 体内分布・排泄
血漿中濃度/臓器内濃度/排泄
8 血漿増量効果
膠質液の種類/投与速度、投与時間/生体の水分バランス/
生体の血液量/腎機能/血管壁性状
第4章 HES製剤投与の生体への影響
1 止血機能
血小板付着能低下/希釈にともなう凝固因子濃度低下/
HES分子の結合にともなう凝固因子の機能低下/
トロンビン・フィブリノゲン反応、フィブリン重合の低下/
脆弱凝血塊の発生/血管壁、血管外組織との反応/線維素溶解/
静脈圧の上昇/末梢微小血管血流量の増加/
末梢微小血管の拡張・収縮性低下/
HES分子量と止血機能/DS、C2/C6比と止血機能/
HES製剤の溶媒(溶解液)の影響/基剤澱粉/
臨床でのHES製剤使用と出血傾向発生に関する考察
2 組織沈着
腎機能/皮膚【騒】痒症/肝機能/生体防御機能
3 免疫、アレルギー反応
4 栓効果(sealing effect)
5 高アミラーゼ血症(hyperamylasemia)
6 催奇形性(teratogenicity)
第5章 HES製剤
1 トウモロコシ澱粉HES(maize starch HES、corn starch HES)
分子量、DS、C2/C6比
溶媒・溶解液
2 馬鈴薯澱粉HES(potato starch HES)
血漿量維持効果/αアミラーゼ作用/製剤粘度/血液凝固/
高ビリルビン血症
参考1:acetyl starch(アセチール澱粉:ACS)/
参考2:carboxymethyl starch(カルボキシメチール澱粉:CMS)
第6章 臨床応用
1 出血に対する使用(blood volume replacement)
晶質液での循環血液量維持の限界/急性期でのHES製剤使用の限界
参考1:急性・大量出血、出血性ショックに対する赤血球製剤とHES製剤の使用
少量・慢性出血での使用
2 硬膜外麻酔・くも膜下麻酔時の血圧低下予防
(preventive use for hypotension with spinal & epidural anesthesia)
3 希釈式自己血輸血(hemodilutional autologous blood transfusion)
実施方法/適応/
参考2:血液型と出血傾向
利点、欠点/モニター/
参考3:hypervolemic hemodilution
4 末梢循環改善(improvement of tissue & organ perfusion)
脳梗塞予防・治療/下肢虚血・間欠性跛行/
皮膚移植、皮膚潰瘍治療(skin transplantation & ulcer therapy)/
交感神経節ブロック
5 敗血症性ショック治療(treatment for septic shock)
6 体外循環回路充填(extracorporeal circuit priming)
7 凍害防止(cryoprotection)、臓器保存(organ preservation)
8 白血球回収(leukapheresis)