新自己血輸血 改訂第3版

新自己血輸血 改訂第3版

編集 高折益彦
ISBN 4-7719-0304-2
発行年 2006年
判型 A5
ページ数 314ページ
本体価格 7,000円(税抜き)
電子版 なし


I 自己血輸血の歴史/高折益彦…1
はじめに/3
回収式自己血輸血/3
貯血式自己血輸血/9
希釈式自己血輸血/10

II 自己血輸血の意義と種類/林 純一…17
はじめに/19
輸血療法を巡る現況/19
同種血輸血の回避・節減/20
本邦における自己血輸血/21
自己血輸血法の意義/21
主な自己血輸血法/23
同種血輸血の諸問題と解決策/24
おわりに/26

III 貯血式自己血輸血/面川 進…29
はじめに/31
貯血式自己血輸血の特徴/31
貯血式自己血輸血の利点と欠点/32
貯血式自己血輸血の適応と採血前の検査/33
自己血の採血スケジュールと採血方法/34
凍結保存貯血法について/42
自己血採血時副作用とその対応/43
自己血の保管管理の重要性/45
自己血の払い出しと輸血時の注意点/47
貯血式自己血輸血の実施状況/49
貯血式自己血輸血における院内輸血部門,輸血療法委員会の役割/52
日本赤十字血液センターの貯血式自己血輸血に対する協力体制/55
保険適応/57
貯血式自己血輸血におけるエリスロポエチンの使用について/57
おわりに/61

IV 希釈式自己血輸血/小堀正雄…65
はじめに/67
血液希釈/67
希釈式自己血輸血の適応,症例の選択/84
血液希釈の実際/94
希釈式自己血輸血の医療費/109
希釈式自己血輸血の変法としてのhypervolemic hemodilution/110
希釈式自己血輸血による波及効果/110

V 回収式自己血輸血/冨士武史…119
特 徴/121
種類,分類/121
適 応/123
禁 忌/127
合併症/128
施行の実際/129
回収式自己血輸血の限界/130
回収式の機器と操作の実際/131
回収式の経済性/141
健康保険支払い基準/141

VI 自己血小板/自己血漿/自己フィブリン糊…145
自己血小板(血小板糊)/半田 誠,上村知恵…147
はじめに/147
PRP(またはPC)の作製法/148
臨床応用の現状/153
おわりに/155

自己血漿/田中 達郎…157
はじめに/157
特 徴/157
適 応/158
貯血方法/158
自己血漿貯血の有用性/161

自己フィブリン糊(自己クリオプレシピテート)/橋 孝喜…164
はじめに/164
フィブリン糊の臨床応用/165
自己フィブリン糊の臨床応用/165
自己クリオプレシピテートの作製手順/166
自己クリオプレシピテートの有効性と安全性に関するわれわれの経験/166
自己フィブリン糊の実際の使用法/167
考 察/168
結 論/169

VII 小児の自己血輸血/星 順隆…171
はじめに/173
小児に対する自己血輸血の適応/173
小児用採血バッグと採血手順/176
小児に対する自己血貯血の変遷/177
幼若小児に対する適応/182
小児自己血輸血の今後の課題/184
おわりに/184

VIII 高齢者における自己血輸血/大澤哲雄…189
はじめに/191
高齢者における自己血輸血の意義/191
術前貯血式自己血輸血における高齢者の特性/192
高齢者における自己血貯血の1回採血量について/199
高齢者における自己血輸血のまとめ/201

IX 宗教上の輸血拒否と自己血輸血/樋口富士男…207
宗教上の理由で輸血を拒否する“エホバの証人”とは/209
エホバの証人の輸血に対する考え方/209
エホバの証人に対する自己血輸血/210
輸血を拒否するエホバの証人の患者に対する対応/212

X 自己血輸血施行の手続き/鷹野壽代…219
はじめに/221
貯血式自己血輸血/221
希釈式と回収式自己血輸血における手続き/232

XI 自己血管理システム/松崎道男…233
はじめに/235
自己血輸血の管理体制/235
自己血保管/237
自己血の入出庫作業と自己血ラベル/241
自己血の出庫および取り扱いの注意/241
自己血輸血実施時の注意と廃棄について/242
まとめ/244

XII 自己血輸血ガイドライン…247
将来のガイドラインへの考察/佐川公矯…250
はじめに/250
自己血輸血ガイドラインの要約と比較/251
改訂3版へ向けての提言/266

自己血輸血ガイドライン/大戸 斉…269
解 説/269
自己血輸血:採血及び保管管理マニュアル/276

索 引…293

改訂第3版序

わが国での自己血輸血は,本文の歴史の章に書かせていただきましたように1966年が始まりで,その後は散発的に各地で行 われてまいりました。しかし1980年代に入り急速に各施設で施行されて,大いに普及いたしました。特に待機的手術の輸血について,輸血といえば“自己血 輸血”といっても過言でないような状態となってまいりました。したがって,いまさら自己血輸血についての指導書など時代遅れではないかと思われるかもしれ ません。しかし,大学を卒業され医師としてスタートされる方も毎年おられますので,その方々を対象とした教科書的,またマニュアル的な書籍も必要ではない かと思います。

本書の前身として平成3年に初版として発刊されました“自己血輸血”があります。そして,その改訂版として平成8年に出版されました“自己血輸血マニュ アル”があります。しかし今,眼を自己血輸血の臨床に転じますと多少の変革が認められます。すでに諸外国では主力であった貯血式から希釈式,回収式とを組 み合わせる方法に移行しております。また,この数年間に医療を取り巻く社会情勢の変化もありました。これらをふまえ日本輸血学会,日本自己血輸血学会が自 己血輸血の平成6年のガイドラインを改め,新しいものにする作業を進めております。このような時期に将来を見つめ,新しい技術,考えを取り入れた第3版を 発刊することは決して時代遅れでもないように思われます。そして本書が今後,多くの施設の臨床の場で,あるいは教育の場でお役に立てば,執筆者一同の喜び とするところであります。

平成18年初春
高折益彦