ポイントで学ぶ小児麻酔50症例

ポイントで学ぶ小児麻酔50症例

監修 蔵谷紀文
編集 小原崇一郎・釜田峰都
ISBN 978-4-7719-0493-4
発行年 2017年
判型 B5
ページ数 280ページ
本体価格 7,400円(税抜き)
電子版 あり
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本書ではすべての項目において実際の症例呈示から始まっている。その後に,その疾患の病態生理の解説があり,それに基づいた術前評価の注意点に関する記述が続く形となっている。臨床現場での担当症例の評価から具体的な麻酔管理計画の策定に続く流れをイメージしている。周術期管理の解説では,単にマニュアル的な記述とならないように十分に注意して編集を行った。これには,マニュアルに従って症例をこなすのではなく,疾患・病態全体を理解したうえで自ら周術期管理を組み立てられるような麻酔科医を目指してもらいたいという意図がある。麻酔管理を自ら考える中で,最低限やるべきこと,やってほしくないことは“DOs & DON’Ts”の形でまとめられており,初心者でも最低限のスタンダードから外れない形で計画が立てられるように配慮した。また,麻酔管理において専門家の中でも意見が別れている項目に関してはPros & Consの形でまとめた。この項目に書かれていることは今後の重要な臨床研究テーマでもあり,小児麻酔を専門とする麻酔科医はこれらの項目に解答が用意できるように研究を進めていかなければならない部分でもある。(『監修者序文』より抜粋)

私たち医療者は,多くの臨床経験の疑問に対する答えを過去の研究やガイドライン,教科書,講演などに求めて一般化された事項(「概念」)を学びます。そうして学んだ「概念」を次の臨床現場に生かそうとします。さらに,臨床現場での疑問から研究を行い,新たな「概念」を創出しようとします。しかし,多忙な臨床現場で医療者が「Why?」と意識して自問し,「具体⇔概念」の思考過程を実践する時間は多くはないでしょう。
今回,「Why?」に上手くは回答できなかった自身の経験も踏まえて,「具体⇔概念」の思考過程に基づいた書籍を企画いたしました。各章ともに,『症例』と『症例の経過』という「具体例」で,「概念化」された事項を挟む体裁をとりました。そのため,『症例の経過』以外では,一施設や一個人のやり方ではなく,生理学や薬理学,解剖学などの基礎医学や過去の臨床研究,ガイドラインなどに根拠を求めて,各執筆者に解説していただきました。また,新たな「概念」を創出する臨床研究の課題となりうる議論のある点を『Pros & Cons』として,「概念」の「具体化」(臨床現場での実践)のために最低限必要な事項を『DOs & DON’Ts』としてまとめていただきました。(『編集者序文』より抜粋)

1 術前不安に対する対応(名和由布子)
2 術前の絶飲食(住吉理絵子)
3 上気道炎を有する小児患者の麻酔(宮本義久)
4 卵と大豆に対するアレルギーがある患者に対するプロポフォールの使用(野中崇広/水野圭一郎)
5 悪性高熱(市原靖子)
6 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(北村祐司)
7 扁桃摘出後出血(小原崇一郎)
8 口唇口蓋裂(大嶽浩司)
9 若年型喉頭乳頭腫(川村 篤/橘 一也)
10 気道異物(有本祥子/橘 一也)
11 喉頭痙攣(金子友美/小原崇一郎)
12 気管支痙攣(遠山悟史)
13 困難気道(北村祐司)
14 喉頭蓋炎(小原崇一郎)
15 術後喘鳴(藤原孝志/香川哲郎)
16 肺分画症(出野智史)
17 漏斗胸(大坂佳子)
18 前縦隔腫瘍の診断目的のための生検(小原崇一郎)
19 腹腔鏡手術中の換気困難(釜田峰都)
20 心室中隔欠損症(金澤伴幸/戸田雄一郎)
21 フォンタン術後患者の急性虫垂炎(釜田峰都)
22 肺高血圧症を有する患者の心臓カテーテル検査(寺田享志)
23 末梢静脈路確保困難(釜田峰都)
24 敗血症患者における急速輸液(谷 昌憲/植田育也)
25 大量出血と大量輸血(今井一徳/池山貴也)
26 重症熱傷(松本麻里花/川崎達也)
27 頭蓋骨縫合早期癒合症に対する頭蓋形成術(蜷川 純/鈴木康之)
28 肝移植(馬場千晶)
29 腎移植(宮澤典子)
30 小児頭部外傷の周術期管理(小原崇一郎)
31 もやもや病(位田みつる/川口昌彦)
32 後頭蓋窩腫瘍摘出術における腹臥位管理(位田みつる/川口昌彦)
33 側弯症手術(位田みつる/川口昌彦)
34 重症筋無力症(金澤伴幸)
35 デュシェンヌ型筋ジストロフィー(加古裕美)
36 ミトコンドリア病疑いの筋生検(五十嵐あゆ子/川名 信)
37 術中覚醒(萩平 哲)
38 壊死性腸炎(横田有理/香川哲郎)
39 先天性食道閉鎖症(加古裕美)
40 先天性横隔膜ヘルニア(中川 聡)
41 肥厚性幽門狭窄症(釜田峰都)
42 早産児の鼠径ヘルニア根治術(小原崇一郎)
43 覚醒時興奮(金谷明浩/山内正憲)
44 術後の悪心・嘔吐(谷口周平/小原崇一郎)
45 局所麻酔薬中毒(小田 裕)
46 日帰り手術(末田 彩/香川哲郎)
47 MRI検査のための鎮静・全身麻酔(糟谷周吾)
48 肥満症(山口嘉一)
49 ダウン症候群(脇本麻由子)
50 ウィリアムス症候群(釜田峰都)