創傷外科
形成外科治療手技全書 III

監修 波利井清紀・野崎幹弘
編集 平林慎一・川上重彦(総編集)
楠本健司・館 正弘
ISBN 978-4-7719-0439-2
発行年 2015年
判型 B5
ページ数 360ページ
本体価格 18,000円(税抜き)
電子版 あり
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一刻を争うことの多い救急の現場から、褥瘡や足潰瘍などの慢性創傷、術後の傷あとまで、創傷に関する治療について一通り網羅します。形成外科必携の一冊となっています。

顔面外傷/手足の外傷・変形/熱傷/感染創/慢性創傷/瘢痕拘縮・ケロイド
●知っておきたい知識(創傷治療の歴史/創傷の定義・分類/急性創傷と慢性創傷)

第1章 顔面外傷
初期治療の要点(楠本健司)
外傷の全身的多発性/治療の緊急性/顔面外傷の初期治療の要点/
目指すべき顔面外傷の治療のために
1.軟部組織損傷
1)眼瞼(梶川明義・館 正弘)
診断のポイント/治療法の選択
I 眼瞼裂創:創傷処理
II 涙小管損傷:涙道再建
2)外鼻(梶川明義・岸邊美幸)
診断のポイント/治療法の選択
I 鼻尖,鼻翼欠損:頭皮前額皮弁による再建
II 鼻翼欠損:鼻唇溝皮弁による再建
3)口唇・口腔(四ツ柳高敏・山下 建)
診断のポイントと治療法の選択
I 口唇の裂挫創:創傷処理
II 口腔の裂挫創:創傷処理
4)耳介(四ツ柳高敏・山内 誠
診断のポイントと治療法の選択
耳介血腫:線維性組織の完全切除と圧迫固定
2.顔面神経損傷・耳下腺管損傷(上田和毅)
診断のポイント/治療法の選択
I 顔面神経・耳下腺管へのアプローチ
II 顔面神経損傷:神経縫合
III 顔面神経損傷:神経移植
IV 耳下腺管損傷:耳下腺管吻合
3.顔面骨骨折
1)頬骨骨折・眼窩骨折(緒方寿夫)
診断のポイント/治療法の選択
I Gillies のアプローチ
II 上口腔前庭切開からのアプローチ
III 眼窩下縁へのアプローチ
IV 前頭頬骨縫合・蝶形頬骨縫合部へのアプローチ
V 頬骨体部骨折:鉤・スクリューによる整復
VI 頬骨体部骨折:固定法の選択と内固定
VII 眼窩下壁骨折:打ち抜き型骨折の整復・眼窩床再建
VIII 眼窩下壁骨折:線状型骨折の整復
IX 眼窩内側壁骨折:経結膜アプローチによる再建
2)上顎骨骨折・下顎骨骨折(矢野浩規・平野明喜)
診断のポイント/治療法の選択/小児の上・下顎骨骨折の留意点/
無歯顎の上・下顎骨骨折の留意点
I 顎間固定
II 上顎へのアプローチ
III 上顎骨骨折:整復と固定
IV 下顎骨骨折:下顎口腔前庭切開からの整復と固定
V 下顎骨骨折:下顎枝前縁からの整復と固定
VI 下顎骨骨折・関節突起骨折:下顎下縁切開からの整復と固定
VII 関節突起骨折:耳前切開と経耳下腺アプローチ
3)鼻骨骨折・鼻骨篩骨合併骨折・前頭洞骨折(今井啓道)
診断のポイント/治療法の選択
I 鼻骨骨折:整復と固定
II 鼻骨・篩骨合併骨折:整復と固定
III 前頭洞前壁骨折:整復と固定
4)顔面多発骨折(石田有宏)
診断のポイント/治療法の選択
I 顔面多発骨折整復の手順
II 眼窩外側壁での蝶形頬骨縫合部の整復の確認と固定
III 冠状切開

第2章 手足の外傷・変形
初期治療の要点(福本恵三)
診断のポイント/救急室で行う処置/手術室で行う処置/
インフォームド・コンセントの要点
1.上肢・手指の損傷
1)軟部組織損傷(島田賢一)
診断のポイント/治療法の選択
I 手背皮膚欠損:有茎腹部皮弁による再建
II 手挫滅損傷:遊離前外側大腿皮弁による再建
2)神経損傷(島田賢一)
診断のポイント/治療法の選択
I 神経縫合
II 自家神経移植
3)腱損傷(島田賢一)
診断のポイント/治療法の選択
I 屈筋腱損傷:腱縫合
II 屈筋腱損傷:二期的再建(腱移植)
III 屈筋腱損傷:リハビリテーション
IV 伸筋腱損傷:腱縫合
V 伸筋腱損傷:二期的再建
4)手・指の,骨・関節損傷(島田賢一)
診断のポイント/治療法の選択
I DIP 関節内骨折:整復と固定(石黒法)
II 末節骨骨幹部骨折:整復と固定
III 基節骨骨幹部骨折:整復と固定
IV 中手骨頸部骨折:整復と固定(Foucher 法)
2.切断指再接着
1)指尖部切断(磯貝典孝)
診断のポイント/治療法の選択
I 指交叉皮弁による再建
II 母指球皮弁による再建
III Oblique triangular flap による再建
IV 逆行性指動脈島状皮弁による再建
V 母指掌側前進皮弁による再建
VI 母指の逆行性指動脈島状皮弁による再建
VII 再接着
VIII 動脈のみを吻合した再接着
2)指切断(磯貝典孝)
診断のポイント/治療法の選択/チーム医療の体制づくり/
リハビリテーションについて/不成功時の対応
I 再接着
II 多重切断の再建
III 多指切断の再建
IV 引き抜き損傷,デグロービング損傷の再建
3)手部での切断(磯貝典孝)
診断のポイント/治療法の選択
I 再接着
II 術後神経麻痺に対する再建
3.下肢・足趾の損傷(平瀬雄一)
診断のポイント/治療法の選択
I 下腿損傷:中央・前面・膝部の筋弁による再建
II 下腿損傷:末梢2/3 およびアキレス腱周囲への筋膜弁による被覆
III 下腿損傷:広範囲皮膚欠損の遊離皮弁による被覆
IV 足部損傷:足背部の短趾伸筋弁による被覆
V 足部損傷:踵部の内側足底皮弁による再建
VI 足部損傷:足部切断端の内側足底皮弁による被覆
4.爪の損傷(福本恵三)
診断のポイント/治療法の選択
I かぎ爪:掌側前進皮弁による再建
II 陥入爪:児島Ⅰ法による再建
III 巻き爪:児島法による再建
5.手・足の変形(福本恵三)
診断のポイント/治療法の選択
I Dupuytren 拘縮:ほぼ完全な腱膜切除術とZ 形成術による解除
II ヘバーデン結節: DIP 関節固定術(Lister 法)
III ばね指:腱鞘切開術
IV 外反母趾:第1 中足骨近位骨切り術(Mann 法)

第3章 熱傷
1.熱傷
1)全身管理(菅又 章)
治療のポイントと手術適応/全身管理の実際
I 減張切開
II デブリードマン(連続切除,筋膜上切除)
2)局所管理と手術(仲沢弘明)
治療法の選択/広範囲熱傷に対する早期手術
I 自家植皮:網状植皮
II 自家植皮:パッチ植皮
III 混合植皮
3)顔面・頸部(竹内正樹)
診断のポイント/治療法の選択/熱傷手術におけるエステティック・ユニット/
各部位ごとの治療/術後管理
I 顔面広範囲熱傷:焼痂切除と植皮
II 頸部熱傷:減張切開とデブリードマン・植皮
4)四肢・手(低温熱傷を含む)(横尾和久)
診断のポイント/治療法の選択/低温熱傷に対する治療法の選択
I 減張切開
II 四肢広範囲熱傷:デブリードマン・植皮
III 手背熱傷:Tangential excision・植皮
IV 手背熱傷:遊離大網弁による再建
V 低温熱傷:デブリードマン・植皮
5)体幹・外陰部(浅井真太郎)
診断のポイントと治療法の選択
外陰部熱傷:デブリードマン・植皮
6)培養表皮,人工真皮ほか(春成伸之)
治療法の選択
I 同種皮膚移植:自家分層植皮術と併用する方法
II 同種皮膚移植:同種皮膚のみを移植する方法
III 人工真皮移植:整容的効果を期待する場合
IV 人工真皮移植:分層植皮術で被覆できない創面へ貼付する場合
V 培養表皮移植
2.化学損傷(仲沢弘明)
診断のポイント/治療法の選択
3.電撃傷・凍傷(村上正洋)
診断のポイント/治療法の選択

第4章 感染創
1.皮膚・軟部組織感染症
1)皮膚感染症(大浦紀彦)
◎概説  診断のポイント/治療法の選択
殿部慢性膿皮症:植皮による再建
2)蜂窩織炎,壊死性軟部組織感染症(大浦紀彦)
◎概説  診断のポイント/治療法の選択
下腿ガス壊疽:デブリードマン・植皮
2.骨髄炎・骨壊死(横田和典)
◎概説  診断のポイント/治療法の選択/
保存的治療:抗菌薬の使い方/手術療法
I 病巣掻爬,腐骨処理
II 抗菌薬含有セメントビーズ充填
III 脛骨骨髄炎:筋皮弁,筋弁による死腔の充填
IV 脛骨骨髄炎・骨欠損:血管柄付き骨移植術 による再建
3.胸骨骨髄炎・縦隔炎(守永圭吾・清川兼輔)
◎概説  診断のポイント/治療法の選択
I 創内持続陰圧洗浄
II 筋弁による再建
III 大網弁による再建

第5章 慢性創傷
1.褥瘡
◎概説(小坂正明)
褥瘡の分類法/褥瘡の評価/手術適応・術式の選択/
再建術前の外科的処置/手術時期
1)仙骨部褥瘡(小坂正明)
診断のポイント/治療法の選択
I 大殿筋筋膜皮弁(有茎皮弁)による再建
II 大殿筋穿通動脈皮弁(島状転位皮弁)による再建
III Buried chip skin graft:BCSGによる再建
2)大転子部褥瘡(小坂正明)
診断のポイント/治療法の選択
大腿筋膜張筋皮弁による再建
3)坐骨部褥瘡(小坂正明)
診断のポイント/治療法の選択
I 後大腿皮弁による再建
II ハムストリング筋皮弁による再建
4)その他の部位の褥瘡(小坂正明)
診断のポイント/治療法の選択
I 踵部褥瘡:外用剤塗布
II 背部褥瘡:広背筋皮弁による再建
2.糖尿病性足潰瘍と末梢動脈性疾患
1)糖尿病性足潰瘍(寺師浩人)
◎概説  診断のポイント/治療法の選択
I 足趾切断
II Modified TMA(transmetatarsal amputation)
III 潰瘍発生予防のための手術(prophylactic surgery)
IV 第I趾MTP関節露出潰瘍:内側足底動脈穿通枝皮弁による再建
2)末梢動脈性疾患(PAD)(田中嘉雄)
◎概説  血行再建の目的/血行再建の適応/診断のポイント/
治療法の選択(治療のアルゴリズム)/術後管理
I 血行再建:1流出動脈と流入動脈の位置決め
II 血行再建:2バイパス移植血管の採取と作成
III 血行再建:3バイパス移植血管の皮下誘導と配置
IV 血行再建:4血管吻合
3.静脈瘤・静脈うっ滞性皮膚潰瘍(八巻 隆)
◎概説  診断のポイント/治療法の選択
ストリッピング手術

第6章 瘢痕拘縮・肥厚性瘢痕・ケロイド
1.瘢痕拘縮(岸邊美幸)
診断のポイント/治療法の選択/部位別の概要
I 眼瞼:Lateral orbital flap による下眼瞼外反の再建
II 眼瞼:含皮下血管網全層植皮による下眼瞼外反の再建
III 口唇:全層植皮による下口唇瘢痕拘縮の治療
IV 頸部:全層植皮による瘢痕拘縮の治療
V 腋窩:局所皮弁による線状瘢痕拘縮の解除
VI 手指:全層植皮による面状瘢痕拘縮の解除
VII 四肢:植皮による足背瘢痕拘縮の解除
2.肥厚性瘢痕・ケロイド(小川 令)
診断のポイント/治療法の選択
I 胸腹部術後瘢痕・ケロイド:全切除
II 耳垂ケロイド:楔状切除
III 前胸部ケロイド:Z 形成術

第7章 知っておきたい知識
1.創傷治療の歴史(楠本健司)
はじめに/創傷の各種段階における治療の歴史/おわりに
2.創傷の定義・分類(館 正弘)
創傷の定義/急性創傷と慢性創傷/急性創傷の分類/慢性創傷
3.急性創傷と慢性創傷の違い(館 正弘)
急性創傷と創傷治癒機転/慢性創傷と創傷治癒機転の異常/
細菌の影響/創傷治癒のバイオマーカー