糖尿病性足潰瘍の100例
あなたの患者さんはどのType ?
著者 | 寺師浩人 |
---|---|
ISBN | 978-4-7719-0452-1 |
発行年 | 2016年 |
判型 | B5 |
ページ数 | 220ページ |
本体価格 | 12,000円(税抜き) |
電子版 | あり |
M2Plus<電子版>
神戸分類の本
アジアでの答えがここにある!
いま、治療の目的は患者さんの「歩行を守る」ことであるとはっきり言えます。血流改善や創傷治癒は、あくまでもそのための手段に過ぎない、との結論に至りました。
本書では、100人の糖尿病性足潰瘍の治療歴を述べ、すべて一旦は創傷を治癒せしめているわけですが、それは決して100例のbest wayではなく、こうして治すというバイブルでもありません。癌患者とはまた異なった喪失感を経験するかもしれない、生身の人間に触れる医療記録です。この本を手にした医療人が、この100例とは全く別の足潰瘍を有す糖尿病患者に対峙した時にも、その道標が、この本のどこかにきっと潜んでいるはずだと思っています。(序文より抜粋)
第1章 救え!アジアの人の糖尿病足
1.アジアにおける糖尿病性足病変の背景
2.アジアと欧米の違い
3.なぜ,「神戸分類」が必要なのか
第2章 糖尿病性足潰瘍の病因
1.末梢神経障害
2.末梢血行障害
3.感染症
第3章 糖尿病性足潰瘍の病態:神戸分類TypeI~IV
COLUMN
第4章 症例集
用語の解説
用語・略語/足の部分切断法(小切断法)/フットウェア/足関節
Type I
001 典型的な神経障害性潰瘍
002 神経障害性潰瘍は“歩く褥瘡”である
003 感覚神経障害では,創傷の原因がわからないことが多い
004 原因不明の時は,生活環境を探る
005 強直(強剛)母趾は,第1趾底に潰瘍を生じる
006 第5中足骨を失うと内反変形を来たす
007 低温熱傷は,時に骨まで壊死となる
008 フットウェアで治し,予防する
009 安全靴,靴の中では要注意!
010 感覚神経障害の患者は,外傷に気づかない
011 典型的なシャルコー関節症
012 立位の単純X線所見を参考にする
013 体重負荷を考慮する
014 通院が途絶えた時が,危険である
015 糖尿病の運動療法は,適切なフットウェアで行う
016 繰り返す神経障害性潰瘍
017 再建においては,主要血管を犠牲にしない
018 膝も,シャルコー関節症を発症する
Type II
019 皮膚灌流圧(SPP)測定は重要である(1)
020 皮膚灌流圧(SPP)測定は重要である(2)
021 足趾切断後,隣接趾はHammer(Claw)toe変形を起こす
022 歩行しなくても,足趾の変形は進む
023 小さな皮膚潰瘍を,保存的治療で治す
024 糖尿病はPADの危険因子である
025 外果の創は治りにくい
026 安易な陥入爪治療は危険である
027 踵部の褥瘡からのCLIは難治である
028 地域連携を前もって確立しておく
029 PADは両側とも進行する,と考えた方がよい
030 CLIは,心血管疾患で死亡することが多い
031 血管内治療は,再狭窄率が高い
032 血管内治療ができない場合,すぐにバイパス術に移行する
033 遠位バイパス術ではangiosomeを考慮しない
034 特殊なバイパス術を要することもある
035 急性下肢虚血では前脛骨筋部の壊死が起こる
036 人工血管の感染は,創傷治癒阻害因子である
037 Heloma molleから始まるCLIがある
038 CLIの急性増悪は,進行が早い
039 PADに慢性静脈不全症(CVI)が合併することがある
040 CLIでは,血行再建術ができない場合がある
041 長期保存的治療のみで治すことも可能である
042 バージャー病は,血管造影所見で診断する
043 耐え難い疼痛は,大切断の適応である
044 陰茎壊疽は,予後不良因子である
Type III
045 感染創は,原則的に開放創とする
046 感染は,腱や腱膜に沿って上行する
047 感染は,足底腱膜へ移行しやすい
048 ガス壊疽は,緊急デブリードマンで開放する
049 踵部の亀裂から感染が始まる
050 原因は不明でも,容易に感染性潰瘍になる
051 溶血性連鎖球菌には気をつけろ
052 敗血症から糖尿病治療が始まることがある
053 中間趾に発症した感染は,切断後,縫合しない方がよい
054 骨髄炎にまで進行した症例
055 趾間からcentral plantar spaceへ感染する
056 術中臨床所見でも,骨髄炎を見分ける
057 ゾンデ法で骨髄炎を知る
058 バニオネットは感染を来たしやすい
059 左右で病態の異なる潰瘍を生じる
060 感染沈静後のwound bed preparationに局所陰圧閉鎖療法を利用する
061 足背方向にも感染は波及する
062 時に腓腹皮弁は有用であ
063 肥満では,足底の単位面積当りの負荷が増す
064 土踏まずの形状が,歩行には重要である
065 リウマチの潰瘍の好発部位は,外果とアキレス腱である
066 Blue toe syndromeから末梢骨骨髄炎を併発した症例
067 骨髄炎にHBOは有効である
068 急性シャルコー関節症を見逃すな!
069 腐骨が自己排出されて骨髄炎が治癒することがある
070 抗生物質含有骨ペーストによる骨髄炎治療
Type IV
071 TASC II typeA short lesionでは,長期開存が期待できる
072 第1趾切断後,隣接趾は内側に偏位する
073 血液の流れを考慮した局所手術治療
074 急性感染が制御されてから末梢血行再建術を行う
075 露出した関節を動かさない
076 中足骨を残し,歩行を守る
077 TMAでは中足骨の長さの比が,歩行に大切である
078 末梢血行再建術とデブリードマンを繰り返して救肢しなければならないことがある
079 糖尿病のコントロールが悪化した時が危ない
080 Rutherford 5の遠位バイパス術後は創治癒を得やすい
081 PAD+感染を遠位バイパス術で制覇する
082 Rutherford 6は,遠位バイパス術の良い適応である
083 感染が慢性化した,救肢困難な症例
084 中間趾から発症する感染は,局所手術が重要
085 第2~4趾の壊疽にはdeep plantar spaceに感染巣が残っていることが多い
086 糖尿病のコントロール不良でPADは悪化する
087 心筋梗塞が絡む
088 踵骨全体の骨髄炎は,遊離筋皮弁の適応である
089 外傷患者の中にも,DMやPADをもつ患者が増えつつある
090 1年以上にわたる保存的治療で治癒させる創傷がある
091 末梢血行再建術の適否を誤ると…
092 耐え難い痛みは大切断の適応である
093 制御不能の感染症は大切断の適応である
094 Type II→血行再建術→blue toe syndrome→感染→Type IV
095 両側大切断では仙骨部に褥瘡を生じる
096 シャント肢のスティール現象で生じる手指壊疽
番外編
097 Blue toe syndrome(1.自然脱落)
098 Blue toe syndrome(2.予後が悪い)
099 壊疽性膿皮症(Pyoderma gangrenosum)
100 Werner syndrome(早老症候群)
第5章 歩行の意義