漏斗胸の治療
本邦初! “なぜ?”が解る
理論に基づく漏斗胸治療の実践書
漏斗胸手術のポイントを“ゼロ”から解説 !
本書の著者は日本におけるNuss 法施行者の双壁であり,Nuss 法の長所はもちろん短所も知り尽くした二人である。その豊富な経験と,また理論にも裏付けられた記述は有意義である。この本が,漏斗胸を美しく安全に治療することの大きな手助けになることを信じて疑わない。
漏斗胸は,形成外科以外にも胸部外科,整形外科,小児外科などの診療科が扱ってきた。そのような中で,現代漏斗胸治療の集大成の成書が二人の形成外科医の合作として出版されたことは実に喜ばしく誇らしいことである。
<大阪大学医学部形成外科 細川 亙>
(『刊行にあたって』より抜粋)
I 治療のための基本的知識:漏斗胸総論
1 漏斗胸の状態評価(永竿智久)
2 漏斗胸が心肺機能に与える影響(永竿智久)
3 心肺機能に対する手術の効果(永竿智久)
4 漏斗胸の成因(永竿智久)
5 漏斗胸と遺伝(永竿智久)
コラム:漏斗胸と姿勢(野口昌彦)
II 治療各論(1) Ravitch法
1 Ravitch法の標準手技(野口昌彦)
2 Ravitch法の変法と歴史(永竿智久)
コラム:Nuss法の発見は偶然か? 必然か?(永竿智久)
3 Ravitch法における問題点(野口昌彦)
III 治療各論(2) Nuss法(基本編)
1 Nuss法の開発(永竿智久)
2 Nuss法の胸郭構造への影響(野口昌彦)
3 Nuss手術で必要な器械(永竿智久)
4 Nuss手術の手順(永竿智久)
5 Nuss手術における麻酔(永竿智久)
6 Nuss手術における体位確保(野口昌彦)
7 胸骨後面の血管解剖(永竿智久)
8 漏斗胸の手術に必要な解剖学的知識:膜の強度(永竿智久)
9 再変形を誘発する力(永竿智久)
コラム:いつ手術を行うか(野口昌彦)
10 バーの抜去について(野口昌彦)
11 乳房形態と漏斗胸(永竿智久)
コラム:Nuss法治療下での生活(野口昌彦)
IV 治療各論(3) Nuss法(応用編)
1 バーの回転時における注意(永竿智久)
2 良好な術野を展開するには(永竿智久)
3 成人と小児における,Nuss手術が胸郭に与える影響の差異(永竿智久)
4 どの肋間までバーを装着するか(永竿智久)
5 胸骨および剣状突起部の形態変異(永竿智久)
V 合併症の回避
1 バーのずれを防ぐには(永竿智久)
2 バーの補助的固定(永竿智久)
3 疼痛を減弱させるテクニック(永竿智久)
4 創をきれいにする工夫(永竿智久)
5 皮膚切開のデザイン(永竿智久)
6 乳房下溝線の乱れを防ぐには(野口昌彦)
7 Nuss手術が脊椎の形態に及ぼす影響(永竿智久)
8 皮下気腫(永竿智久)
VI 特殊な状況における治療
1 Ravitch法術後の再陥凹変形に対するNuss手術(野口昌彦)
2 先天性心疾患患児における心内修復術と漏斗胸治療(野口昌彦)
3 肋軟骨採取後の胸郭変形の治療
─バーの固定性不良症例への対応─(野口昌彦)
4 Marfan症候群および類似疾患に対するNuss手術(野口昌彦)
5 漏斗胸の保存的治療(永竿智久)
VII 漏斗胸手術の将来
1 再生医学を応用した漏斗胸の治療(永竿智久)
2 力学シミュレーションを応用した手術プランニング(永竿智久)
3 「扁平胸郭」への適応の拡大(野口昌彦・永竿智久)