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Thoracoscopic Surgery



本体価格:5500円
ISBN4-7719-0114-7

【書籍名】Thoracoscopic Surgery
【品番コード】00114
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医学は,これを取り巻く周辺科学の進歩によって画期的とも言える展開を加速化し続けている。確かに外科学,特に手術手技の実際に当たっても,近年進歩の著しい高分子化学,電子工学,機械工学をはじめとする多くの先端科学の恩恵によって,新たな手技上の開発,優れた臨床応用が可能となってきている。

このたびの大畑正昭教授と村松高博士による胸腔鏡下外科手術書の刊行は,これら前述の背景に十二分に答えた優れた著者である。本書の原稿を手にしたとき,気管食道科学の開拓者として医学に光をかかげ,内視鏡の開発と臨床的普及にその生涯を捧げたシェヴァリア・ジャクソン先生をまず想い出した。そしてこのジャクソン先生の直弟子であり,わが国におけるこの分野の真の開拓者として名声の高かった小野譲先生の著書「仁医ジャクソン先生を久しぶりに読む機会を得た。

この小野先生の書の中に,若いエネルギーを持った助手たちをいかに訓練すべきかについて,すでにアメリカやスイスの専門医制度の規約にも掲載されているジャクソン先生の基本原則が詳しくのべられている。これによると自我の高揚,助手を激励すること,自己につき,あるいは仕事について劣等感を抱く者には,仕事に対する如何なる熱情をも期待することはできないなど,十二項にわたるこの原則は若い助手は勿論のこと,教授するものに対しても多くの示唆を与え,厳しい義務的観念が加味されている。そしてジャクソン先生の医師としての使命感に凡庸ならざるものを感ずることができる。

胸腔鏡下外科手術の実際にあたり,術者はその適応と手技を十二分に本書から学び,会得することができる専門書であり,啓蒙書である。本書は洛陽の紙価を高めることと信じている。

日本大学副総長・医学部長
瀬在幸安

はじめに

かつては肺結核症における胸膜癒着剥離術に重要な役割を演じた胸腔鏡は,肺結核症の減少とともに,その目的は診断的応用に代わっていった。しかし,わずかに自然気胸に対する処置として,胸腔鏡下気腫性肺嚢胞の凝固,焼灼,フィブリングリュー注入などが行われていた。これに対して著者らは自然気胸の根治的治療が開胸による嚢胞切除にあるとの考えから,これらの胸腔鏡下処置に疑問を持っていた。ところが,胸腔鏡下手術の爆発的な普及と鮮明なビデオ画像,新しい自動縫合器の開発をはじめとする内視鏡手術機器の開発,レーザーメスの普及により,開胸手術とほぼ同様な手術が可能となるに及び,著者らは全面的に胸腔鏡下肺部分切除を気胸治療に取り入れるようになった。そして,経験を積むにしたがって,この手術手技が制約された条件下での手術であり,機器の扱い方やトラブルの対処方法などを熟知していないと,重大な合併症につながることを知った。その意味で,本書は著者らの経験をもとに,胸腔鏡下手術,特に肺部分切除を中心に手術手技をできるだけ分かりやすく解説した。すでに胸腔鏡を診断に使用されている方,これから胸腔鏡下手術を始められる方に本書がいささかでも参考になれば望外の喜びである。

暖かい序文を頂いた,日本大学医学部長,第2外科学教室主任 瀬在幸安教授に衷心より感謝の意を捧げるとともに,胸腔鏡下手術の開発,臨床に協力頂いた呼吸器外科グループ特に大森一光,北村一雄,長坂不二夫,西村理,小室万里,瀬在明の諸兄,ならびに,第2外科学教室員各位に心からの謝意を表する。

また,本書の出版を快諾頂いた克誠堂出版,今井彰社長ならびに編集,校正に多大のお骨折りを頂いた栖原イズミ,古賀教子氏に心から感謝したい。

1992年 盛夏
著者

もくじ

I.胸腔鏡の歴史 1

II.胸腔鏡下外科手術の器材と器具 4

A.光学系 4

1.フレキシブル胸腔鏡 5
2.硬性鏡 5
3.フレキシブル電子スコープ 7
4.光源装置 8
5.各種胸腔鏡の長所と短所 8

B.トロカール 10

1.金属製トロカール 10
2.プラスティック製トロカール 10

C.胸腔内手術器具 13

1.鉗子類 13

1)把持鉗子 13
2)剥離鉗子 14
3)はさみ鉗子 14
4)持針器 15

2.クリップ,クリップアプライヤー 16
3.高周波メス 18
4.レーザーメス 18
5.ループ結紮糸 20
6.自動縫合器(MULTIFIRE ENDO GIA 30(R)) 22
7.縫合糸 26
8.その他の器具 28

III.胸腔鏡下外科手術の麻酔 29

A.麻酔方法 29

B.麻酔による合併症と対策 31

IV.トロカールの挿入法 32

A.トロカール挿入法 32

B.トロカール挿入時の合併症と対処方法 34

V.胸腔内の解剖と位置確認 36

A.胸腔内の解剖 36

B.胸腔鏡での観察方向の位置確認 37

VI.胸腔鏡下肺部分切除術 39

A.胸腔鏡下肺部分切除術式の適応疾患と適応外疾患 39

1.適応疾患 39
2.適応外疾患 40

B.術前準備 40

1.術前検査 40
2.術前処置 41
3.麻酔および体位 41
4.術者ならびに機械の配置 43
5.最低必要な器材と器具 44

C.標準術式 45

1.肺の虚脱とトロカールの挿入 45
2.胸腔内の検索 45
3.癒着剥離 46
4.切除前のair leakテスト 47
5.MULTIFIRE ENDO GIA 30(R)による肺部分切除術 47
6.切除肺の回収 51
7.切除後のair leakテスト 53
8.閉創 53

D.術後処置 54

E.術後成績 54

F.症例 54

VII.胸腔鏡下のその他の手技 59

A.嚢胞クリッピング法 59

B.嚢胞ループ結紮法 60

C.胸腔鏡下嚢胞焼灼法 61

D.嚢胞内フイブリングリュー注入法 62

E.索状癒着の切断 62

F.肺縫縮術,縫合手技 63

G.縦隔腫瘍摘出術 68

H.肺葉切除術 70

I.心膜開窓術 71

J.巨大気腫性肺嚢胞症 71

K.開胸手術と胸腔鏡下外科手術の併用 72

VIII.胸腔鏡下外科手術の合併症と対策 73

A.術中のトラブルと合併症 73

1.麻酔操作時 73
2.胸腔鏡用器材,器具 73

1)光学系 74
2)自動縫合器 74

3.トロカールの挿入時 77
4.鉗子操作時 77

B.術後のトラブルと合併症 78

1.術後の長期air leak 78
2.術後無気肺 78
3.創部し開 78

IX.胸腔鏡下外科手術の将来展望 79

あとがき 80
主要参考文献 82
索引 85

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