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筋弛緩薬の臨床

定価5,600円
ISBN4-7719-0144-9

【書籍名】筋弛緩薬の臨床
【品番コード】00144
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麻酔という医療行為は生体に毒物を用いるという点で一般の医療行為と著しく異なる面をもっている。それだけに麻酔科医は高度の倫理性,技術とともに,用いる薬物についての豊富な知識を要求される。なかでも筋弛緩薬は作用部位に呼吸筋を含むという点からみて麻酔科医が用いる代表的な薬物である。

この筋弛緩薬が臨床の麻酔に導入されてから50年が過ぎた。この間筋弛緩薬の臨床麻酔に及ぼした影響は誠に大きい。一つだけ例をあげれば,現在の人工呼吸法とそれを行う器械の発達は筋弛緩薬の臨床麻酔への導入により生まれたと言っても誤りではない。そしてこの経過の間には,筋弛緩薬の導入が麻酔による合併症や死亡例を増加させたという批判も当然ながら生まれ,それが更に次の進歩を促したという歴史の過程を踏みつつ現在に至っている。

このようにして現在は筋弛緩薬のない全身麻酔は考えることが困難な状況下にある。若い研修医のみなさんが麻酔科医として全身麻酔を経験する場合,誰でも最初はただ指導医の言われるまま,あるいはよく認識しないまま筋弛緩薬が用いられ,夢中で気管内挿管をし,バッグを握っているのが実情であろう。しかし優れた技術は必ず豊富な正しい知識の上に乗っていなくてはならない。この本は研修医と,指導医を目指している若い麻酔科医のために編集した。

筋弛緩薬の専門書は実はあまり多くない。欧米ではこれまで数年ごとに幾つかの本が出版されたが,いずれも臨床の勉強中の若い麻酔科医が読むのに適切とは思えない。わが国では東北大名誉教授,岩月賢一教授が『筋弛緩薬の基礎と臨床(第3版)』という名著を1980年に出版され,これを凌駕できる自信をもつ著者が長く現れなかったという事情がある。しかし時は流れ,新しい筋弛緩薬が次々に登場する現在,筋弛緩薬を研究している著者達が新しい臨床指導書の必要性を共通して感じて本書が生まれた。すなわち本書は「これさえあれば,臨床麻酔を行う上で筋弛緩薬について困ることはない」ことを目指した。

本書を手元に置けば多分臨床の麻酔がより充実し,興味深くなると信じている。そして筋弛緩薬についてさらに深く知りたいという欲求が湧き出た読者は,より高度な本に進んでいただきたい。

本書を発刊するに当たっては克誠堂出版株式会社社長今井彰氏,および編集の栖原イズミ氏のご努力のあったことを記し深く感謝を申し上げる。

平成6年3月
著者代表 鈴木 太

目次

1/筋弛緩薬の基礎 菅井直介 1

1.筋弛緩薬の歴史 1
2.神経筋接合部の構造と機能 6
3.筋弛緩薬の作用 11
4.筋弛緩薬の臨床薬理 16

2/筋弛緩のモニター 上田直行 23

1.筋弛緩モニターの臨床的重要性 23
2.神経刺激の基本原理 24
3.誘発反応の記録 31
4.誘発反応の臨床的評価 35
5.日常の麻酔におけるモニターの実際 37

3/主な筋弛緩薬とその使い方 鈴木 太 41

1.理想的な筋弛緩薬 41
2.筋弛緩薬の特性を表す用語と意味 43
3.わが国で現在用いられている筋弛緩薬 45
4.筋弛緩薬選択の条件 61
5.現在開発中の筋弛緩葵 63
6.他国で用いられている筋弛緩薬 66

4/筋弛緩薬の作用に影響する因子 橋本保彦 72

1.筋弛緩薬の摂取,分布と排泄に影響する因子 72
2.筋弛緩薬の作用に影響する生理的因子 77
3.筋弛緩薬の作用に影響する薬物 82

5/他の臓器に対する筋弛緩薬の影響 天木嘉清 92

1.各臓器への筋弛緩薬の影響 92
2.ヒスタミン遊離 99
3.自律神経への影響 100

6/筋弛緩薬の括抗薬 福島和昭107

1.抗コリンエステラーゼの作用機序 107
2.ネオスチグミンの薬力学 109
3.ネオスチグミンの薬物動態 111
4.年齢との関係 112
5.Anti−ChEとその併用薬 112
6.ピリドスチグミンの薬物動態 113
7.ピリドスチグミンの薬力学 113
8.エドロホニウムの薬物動態 113
9.エドロホニウムの薬力学 113
10.十分な拮抗効果が得られない場合どう対処したらよいか 114
11.その他の拮抗薬 115
12.遮断からの十分の回復の確認 116

7/神経筋疾患など特殊な条件をもつ例に対する用い方 小野和身 119

1.血清コリンエステラーゼ異常症 120
2.肝・腎疾患 121
3.アセチルコリン受容体の過剰新生を伴う疾患 122
4.重症筋無力症とEaton-Lambert症候群 123
5.筋ジストロフィー 125
6.悪性高熱症および悪性症候群 126

付・現在用いられている薬剤一覧表 131

索引 135

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