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急性痛の管理:実践ガイド

定価3,500円
ISBN4-7719-0147-3

【書籍名】急性痛の管理:実践ガイド
【品番コード】00147
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序文

IASP(国際疼痛学会 International Association for the Study of Pain)は1974年に創設されて以来,慢性痛の領域における治療,教育,研究に指導的な役割を果たしてきました。私が1984年にIASPの次期会長に選出された時に,まず優先したいと考えた課題の一つが急性痛の管理をIASPの主要な領域とすることでした。1987年にIASPの会長に就任するにあたって,私は急性痛の管理における臨床ケア,教育,研究に指導的な役割を演ずる特別調査委員会を発足させました。委員長の選出には何の苦労もありませんでした。というのは既にDr. L. Brain Readyによって米国シアトルのワシントン大学で最初の「急性痛サービス」が創設されており,これはよく組織され,きちんと文書になっており,また彼の経験は論文としても発表されていたからです。

Dr. Readyに委嘱されたのは,急性痛の管理の科学的な基礎と臨床に貢献してきた広い領域を代表する人々から構成された国際的なグループを招請することでした。Dr. Readyによって集められた多様なグループはこの報告書で仲良くやっており,彼がこのグループからの幅広いインプットを合成することによって世界での急性痛の治療に貢献するこの文書の作成に成功したのは賞賛に値します。

IASPによるこの出版物の準備期間の間に急性痛サービス,急性痛の研究ならびに教育の成長は目ざましいものでした。米国政府は医療の広い領域における「臨床ケアの指針」を開発するための広範囲なプログラムの最初のものとしてこの領域を予算化しました。専門委員会が発足し,IASPの会員も加わり,その仕事の一つとして急性痛の管理の科学的な基礎の徹底的な評価が行われました。この結果として出版された政府刊行物の中の文献と解析はIASPによるこの「急性痛の管理:実践ガイド」のすばらしい伴侶となっております。

Michael J. Cousins
IASP 前会長

謝辞

IASPは急性痛についての特別調査委員会の委員ならびにこの文書の作成に助力を賜った他の方々の貢献に感謝します。Fran Butler,Louisa Jones,Bryan Urakawaの諸氏には編集面での助力に感謝します。IASPはこの書物の作成と印刷のための助成金を寄付された下記の会社に深謝します:
Janssen Pharmaceutica(ベルギー)
Abbott Laboratories(米国)

訳者はしがき

術後痛を始めとする急性痛に大きな関心が持たれるようになったのには,オーストラリアの麻酔科医Dr. Michael J. Cousinsと米国のワシントン大学に初めて急性痛サービスを開設したDr. L. Brian Readyの功績をあげなければなりません。1990年にオーストラリアのアデレードで開かれたDr. Cousinsを会長とする国際疼痛学会のあと,Dr. Readyを委員長とする急性痛に関する特別委員会に私も加えて頂いて,このガイドの作成に関与することができました。現在,欧米を中心として急性痛への関心は急速に高まり,急性痛の除去は患者さんの当然の権利としても要求されるようになってきました。日本でも術後痛や帯状疱疹に伴う急性痛には多くの努力が払われていますが,特に臨床の場から,この問題を総論的に論じた試みはほとんどなされていません。このガイドをそのような意味で,急性痛を持つ患者さんに接している各科の医師と看護婦さんを始めできるだけ多くの方々に読んでいただくようにと,急性痛に関する特別委員会から日本語への翻訳を依頼されました。

このガイドは急性痛を実際治療する上でのガイドであり,治療に用いられる薬剤の薬理に始まり,いろいろなタイプの急性痛の概念と治療法を説明し,症例についても解説しています。しかし,かならずしも料理の本の様な体裁ではなく,むしろ急性痛の概念を臨床的に解説し,根本的な考え方を示そうとしています。特に,推奨されている薬物の用量は,各患者について慎重に評価しながら投与する必要があります。また,あくまで実践的な知識を提供するという意味から,オピオイドレセプタやc-fos,c-junなどの発癌遺伝子を含む,最近急速に明らかになりつつある痛みの発生についての基礎的なメカニズムの詳細についても触れていません。

急性痛の概念を表わすための用語で日本語になかったものがいくつかあり,これらには訳者が適当と考える訳語を当てました。たとえば,先制鎮痛(preemptive analgesia),背景痛(background pain),突破痛(breakthrough pain),出来事痛(incident pain),抗痛薬(antialgesics)などです。鎮痛薬の充填量(loading dose),鎮痛薬を状態を見ながら投与して行く場合の滴定する(to titrate)などの用語は一般的な科学用語の用法に従いました。また,薬剤の日本での商品名は片仮名で,米国での商品名はローマ字で大文字から始めて原則としてかっこ内に表記しました。英語のand/or(前者と後者の両方あるいは一方)という表現は,この訳文では「ないしは」と表現しました。

なお,この訳書では,Dr. W. Thomas Edwardsのご助力により,いくつかの原書の誤りを訂正することができました。従って原書とこれに基づくイタリア語版よりも完璧を期することができたと思います。
この小冊子が,急性痛を持つ患者さんのケアに,少しでもお役にたてばと願っています。また,訳書出版に全面的に助力して下さった国際疼痛学会,特にDr. John D. Loeser,Dr. Howard L Fields,Dr. L. Brian Ready,Dr. W. Thomas Edwards,Ms. Louisa E. Jonesと克誠堂出版の今井彰社長に感謝いたします。

1994年初夏
東京大学麻酔科,痛みセンターにて
菅井直介

目次

第1章 はじめに 1

第2章 薬理 13

第3章 成人の術後痛 24

第4章 火傷と外傷の痛み 29

第5章 小児の術後痛 38

第6章 急性の痛みを伴う内科的な状態 45

第7章 癌の急性痛 58

第8章 産科の痛み 65

付録

急性痛および術後痛管理サービスの始め方 74
急性痛サービスにおける硬膜外鎮痛医師指示表の例 77
急性痛サービスにおける静注PCAの医師指示表の例 79
急性痛サービスにおけるモニター記録の例 80
精選した参考文献 81 表のリスト 81
項目別索引 82

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