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こんな麻酔症例がありました第3集


近畿麻酔科医会 編

定価7,035円(本体6,700円+税5%)
ISBN4-7719-0162-7

【書籍名】こんな麻酔症例がありました第3集
【品番コード】00162
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巻頭のことば

このたび『こんな麻酔症例がありました』の第3集が出版された。この集まで続けることができたのは,まことに喜ばしいことである。ここに集められた症例は近畿麻酔科医会の症例検討会で提示された多くの報告症例の中から,編集委員が−定の基準のもとに選出した症例である。すなわち「非常にまれな症例」,「事故発症機転のわからなかった症例」,「あとで考えてこうしておけばよかったという症例」の3つの基準によっている。いずれも学会での症例報告とは一味ちがった面白さがある。例えば麻酔中に異常なことが起こったが,その機序がいくら考えてもわからなかったり,夢にも思わなかった事態が起こったが,よく考えてみると事前の状態がキッカケになっていた,などという症例であり麻酔科医が日常遭遇する問題点の数々が採り挙げられている。指導医試験のために本を読み基礎的な知識を身につけることはもちろん大切であるが,それだけでは立派な麻酔科医にはなれない。麻酔をかけるなかでいろいろ考え,疑問を持ち,その解決のために思考を重ねることもきわめて大切で,この本にはそのような過程がわかるような例が多く出ている。

私は症例報告は臨床麻酔学の基本だと思って重要視している。患者の状態の時々刻々の変化をよく見ることが第一で,さらにそこに起こった現象を重要であると認識し,それを論文にして報告するにはかなりの知識と経験を要する。しかし若い麻酔科医の中にも,そのような素質を持ち私を驚かせ喜ばせる人もいる。逆に患者に起こっている現象が「教科書と違う」と,教科書のまる覚えのみが学問であると信じてその症例に興味をなくした人を見た経験もある。ここに集載された症例は前者のような麻酔科医たちによって報告されたものである。近畿麻酔科医会の症例検討会が月に1回または2カ月に1回,30年間以上も続いているのは会の人たちがこのことを十分に認識していたからだと思っている。会の運営委員の人々の口から,「このような症例をペーパーにできたらなあ」と幾度聞いたことであろうか。それが実現して第3集にもなった。編集委員の方々のご苦労に敬意を表したい。

1995年6月
日本麻酔学会名誉会員 内田盛夫

編集を終えて

さて,ようやく第3集を発刊させていただく運びとなりました。いうまでもなく,この症例集は近畿麻酔科医会症例検討会で発表された多数の報告例から,編集委員によって選ばれ,改めて演者に執筆をお願いした症例報告集であります。いうならば,発表者と編集委員の共同作業の結晶ともいうべきものであります。ご一読いただければ,おわかりになるはずですが,珍しい症例あり,麻酔管理に苦労された症例あり,モニターの新工夫ありなど,きわめてバラエティに富んだ貴重な42症例が集められています。

振り返りますと,麻酔科学は数年の単位で確実に進歩して参りました。新しい麻酔薬と循環制御薬を含めた各種の薬剤の出現はもちろんのこと,各種の新しいモニターの理論と方法の出現,ならびに電子機器の発達などに支えられてであります。1989年発刊の第1集の巻頭のことばに日本麻酔学会名誉会員稲本晃名誉教授が述べておられますように,この症例検討会は京都における“Monthly Conference”に始まった30年に及ぶ歴史を持っております。したがって症例に対する考察の深さに伝統の重みが感じられるのであります。若い研修医の皆様にはもちろんのことシニアの医員の方々にも格好の副読本となるものと確信しております。いや,麻酔科指導医の先生方もリフレッシュされることと思います。

近畿麻酔科医会の前会長上山英明名誉教授が当時つぶやくようにおっしゃっていました。「実に惜しい,これだけの症例が口演されたままで埋もれてしまうのは」。この一言が発刊を決意された動機となったのであります。この症例集の発刊が,近畿麻酔科医会の一つの事業として,深く根づくことを確信して,編集後記とさせていただきます。

克誠堂出版株式会社今井彰氏には多々お世話になりました。編集委員を代表して,この第3集の発刊が実現できましたことに厚くお礼申し上げます。

1995年6月
近畿麻酔科医会会長 天方義邦

目次

巻頭のことば

編集を終えて

I.非常にまれな症例 1

1.導入後アナフィラキシー様反応から心停止に至った既往を持つ症例の麻酔経験 (菅野浩子,野坂修一) 3
2.麻酔導入後のpriapism(持続性陰茎勃起症)にエフェドリンが有効であった1症例 (松井寿美,野坂修一,天方義邦) 7
3.甲状腺機能亢進症を合併した帝王切開の麻酔経験 (須貝勝平,須貝順子) 12
4.重症筋無力症,重症妊娠中毒症合併妊婦の帝王切開術の麻酔経験 (三木英明,村川雅洋・七野 力) 16
5.前縦隔腫瘍の麻酔経験 (岩波悦勝,西和田 誠) 20
6.ペプロマイシンによる肺障害を来した患者の麻酔経験 (熊野穂高,大坂幸子) 25
7.肺高血圧症を合併したDown症候群での塩化カルシウム皮下注後の壊死死 (上山博史,太城力艮) 30
8.出生直後よりHFOで管理したcongenital cystic adenomatoid malformationの麻酔経験 (中野園子,西村匡司,太城力良) 35
9.心室性不整脈を合併した妊婦の帝王切開時の硬膜外リドカイン麻酔 (内山昭則,太城力良) 39
10.凝固系第V,VIII因子活性低下を認めた症例の麻酔経験 (平松謙二,塩川泰啓) 44
11.脊髄性進行性筋萎縮症の麻酔経験 (山住 勲,田中一彦) 49
12.反回神経麻痺患者に対する披裂軟骨内転術の麻酔経験 (森谷実佳,宮本和之) 53
13.術中著明な高血圧と血漿カテコラミン高値を呈した神経芽細胞腫の1例 (杉山由里子,澄川耕二) 57
14.頭蓋顔面拡大形成術後死亡したApert症候群の1例 (川原玲子,北村征治) 62
15.Romano-Ward症候群の麻酔経験 (矢高 勉,北村征治,川原玲子) 66
16.PTP食道異物の麻酔経験 (大塚みき子,兵頭正義) 71
17.咽頭形成術後,呼吸不全に陥ったSleep Apnea Syndromeの1例 (浜 直,宇田るみ子) 75
18.上腹部結合双体児の緊急分離手術に対する麻酔経験 (田中義一,兵頭正義) 80
19.手術終了直後に透過性亢進型肺水腫を生じた1症例 (西川精宣,行岡秀和) 87
20.紅斑性天疱瘡の麻酔経験 (清水唯男,奥 史郎) 92
21.先天性プラスミノーゲン異常症患者の麻酔経験 (清水唯男,奥 史郎) 97
22.発作性夜間血色素尿症の麻酔経験 (山村光一,山岡久泰) 102
23.二次性副甲状腺機能亢進症の麻酔経験 (宮原誠二,山岡久泰) 106
24.緊急塞栓除去術により救命しえた広範囲肺動脈塞栓の1症例 (中島年人,畔 政和) 110
25.不規則抗体を持つ貧血患者の開心術の麻酔経験(中島隼人,芝田英生) 114
26.ラリンゲルマスタ(R)が有用であったクルゾン症候群の1症例 (北村直行,松本早苗) 118
27.Werner症候群の麻酔 (木内淳子,堺登志子,村川和重) 14
28.獲得性(acquired)Bの1症例 (上藤哲郎,吉村 裕) 126
29.高度肥満患者の腹臥位全身麻酔経験 (福田多恵子,奥谷 龍,河野克彬) 130
30.不整脈源性右室異形成症を有する症例の麻酔管理 (松田真也,奥谷 龍,福田多恵子)134

II.事故発症機転の分からなかった症例 139

31.心筋梗塞とまぎらわしい心電図変化を呈した縦隔血腫の1例 (青木裕司,須貝順子,須貝勝平) 141
32.術中・術後を通じて心室内伝導障害と正常伝導を繰り返した1症例 (美里路真理,川口昌彦,古家 仁,平井勝治,奥田孝雄) 145

III.あとで考えて,こうしておけばよかったという症例 151

33.診断的腰椎穿刺後に広範囲硬膜外血腫を生じた1症例 (西澤伸泰,益子進也) 153
34.開腹止血術後に水・電解質バランスに異常を認めた症例 (進藤一男,村山隆紀,玉井 直,新宮 興) 157
35.摘出に苦慮した小児中空性気管異物の麻酔例 (田中雅樹,橋本 悟,細川豊史) 162
36.心尖部型肥大型心筋症を合併した膝人工関節置換術の麻酔経験 (粂 多佳子,智原栄一) 166
37.Post-operative Alopecia症例の検討 (宇野洋史,宮本和之)170
38.Swan-Ganz一時ペーシング用カテーテルによる心筋穿孔の1症例 (葛川顕子,吉川 清,野坂修一) 174
39.膀胱全摘術後,硬膜外ブプレノルフィン投与により著明な遷延性呼吸抑制を来した1症例 (南ちひろ,梅垣 裕) 179
40.CO2レーザーにより気管内チューブが燃焼した1症例 (奥谷 龍,福田多恵子,河野克彬) 183
41.経皮的腎尿管切石術施行中に後腹膜水腫を来した1症例 (松本 宏,奥谷 龍,福田多恵子,河野克彬) 188
42.術前に見落とされていた甲状腺機能亢進症により,術後甲状腺クリーゼを来した症例 (西田幸生,加藤浩子) 192
索引 197

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