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小児麻酔の新しい流れ


定価5,000円
ISBN4-7719-0181-3

【書籍名】小児麻酔の新しい流れ
【品番コード】00181
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序文

小児麻酔は麻酔の専門領域として早くから発達した分野で,欧米では以前から独立した専門分野として認知され,各地の小児病院を中心に活発な臨床活動が行われて来た。本邦においては,故岩井誠三神戸大学名誉教授を初代医長として,1965年10月に国立小児病院麻酔科が発足したのが本格的に小児麻酔が成長する契機となった。以来,全国に次々と小児病院が創立され,小児麻酔を専門とする麻酔科も増加して来た。1971年は故岩井誠三先生を発起人代表として,新たに小児麻酔研究会を創立し,24年間61回の学術集会に重ね,小児麻酔科医の臨床的,学術的育成に努力を重ねて来た。国際的にも欧米諸国の小児麻酔学会との交流も進み,1994年からはPaediatric Anaesthesiaを準機関誌とするなど,国際的交流も幅広くなってきた。小児麻酔研究会の活動は,本邦の小児麻酔の発展に大きく貢献したといえる。

そこで,わが国の小児麻酔のさらなる学問的,臨床的な進歩,向上をはかる事を目的に,小児麻酔研究会を発展的に改組し,1995年9月15日に三川宏(杏林大)を初代会長として開催された第1回日本小児麻酔学会総会は“小児麻酔の新しい流れ”をテーマとし,小児麻酔の現況をある程度把握できるように特別講演,教育講演のみによるプログラムとした。

本書はこの会の講演者に当日の講演内容をまとめていただいたものを編集したものである。当日時間の都合で省略した「輸液」に関しては新たに鈴木玄一先生に執筆していただいた。

最近の臨床薬理学の進歩により,今まで推測の域を出なかった部分,例えば新生児・乳児における非脱分極性筋弛緩薬の感受性の問題が,神経筋接合部のアセチルコリンリセプタサブユニットの胎児型から成人型への発達薬理学的な問題に起因することが分かってくるなど,従来はともすれば臨床経験による理解によるものが主体となっていた小児麻酔も,基礎科学との接点が少しづつ増えて来ている。とは言っても,小児麻酔の最も重量な部分は“安全な麻酔管理”にある事は変わらないし,小児を1人の人間として取り扱う事の重要性は今後ますます大きくなるものと思う。ほとんどの筆者が小児麻酔研究会の世話人として活躍された方々であり,小児麻酔の最先端の話題を提供したものと自負している。

1996年9月
編集 杏林大学教授 三川 宏

目次

1.外来麻酔の実際 藤原孝憲・生田目良子 1

はじめに 1
外来手術の意義と問題点 1
外来手術のシステムと施設・設備 2
手術患児の選択 3
外来手術の実際 5
保護者へのアンケート 14
おわりに 15

2.小児麻酔の偶発症 朝原章二 16

はじめに 16
小児麻酔の安全性について 16
日本麻酔学会偶発症調査 17
オーストラリア麻酔学会麻酔偶発症調査 17
麻酔に起因する心停止,死亡 20
国立小児病院での麻酔偶発症一麻酔に起因する心停止,死亡の調査− 21
小児麻酔と成人の麻酔 22
麻酔事故訴訟例の検討 24
小児麻酔の安全のために−小児麻酔偶発症の予防− 26
まとめ 31

3.小児における吸入麻酔薬 太城力良 33

MACは鎮痛の指標ではない 33
MACは分圧表示である 35
MACと年齢の関係 36
分配係数と麻酔導入 37
導入スピードを決める他の要因 38
亜酸化窒素の併用とその問題点 39
揮発性麻酔薬の問題 41

4.新生児・乳児における筋弛緩薬 照井克生 44

はじめに 44
新生児や乳児は筋弛緩薬に対する反応が年長児となぜ異なるのか 44
脱分極性筋弛緩薬 45
非脱分極性筋弛緩薬 47
リバースと抜管時の注意点 51
まとめ 52

5.小児麻酔管理中のモニター 堀本 洋 54

はじめに 54
パルスオキシメータによってモニター可能なこと 56
酸素飽和度の誤差に関与する要素 58
酸素飽和度計装着に伴う合併症 61
呼気二酸化炭素モニター 62
赤外線酸素モニター 64
術中血糖値モニター 64

6.挿菅困難症 鈴木美佐子 67

小児の場合の挿管困難症 67
原因による分類 67
難易度の予測 68
気管内装管困難が予測される場合の具体的な準備 70
挿管方法 71
挿管困難症例の実際 72
術後管理 77

7.小児の区域麻酔と術後疼痛管理 近藤陽一 79

はじめに 79
小児の区域麻酔全般に対するわれわれの施設の考え方 79
鈍針の勧め 80
腸骨鼠径神経ブロック 80
陰茎神経ブロック 81
肋間神経ブロック 81
腋窩神経ブロック 81
仙骨硬膜外ブロック 82
PCA:Patient Controlled Analgesia(患者調節式鎮痛法) 82
結語 83

8.小児の前投薬 秦 恒彦・森本文子 84

はじめに 84
前投薬の目的 84
小児の精神的特異性 85
入院から麻酔・手術までの流れに添ったプレメディの実際 86
当院における前投薬薬剤の変遷 89
まとめ 93

9.骨格筋におけるアセチルコリン受容体チャネルの発生と分化 城所良明 95

はじめに 95
機能的チャネルの発現:2つのタイプのチャネル 95
神経によるAChRの集積 97
シナプス外筋膜におけるAChRの消失 98
おわりに 98

10.小児麻酔と呼吸機能 尾原秀史・前川信博・香川哲郎・鈴木 毅 100

換気と呼吸パターン 100
胸郭(RC),横隔膜(腹部:AB)運動について 102
二酸化炭素応答 105
機能的残気量(FRC) 108
コンプライアンス(Crs) 110
無呼吸発作について 112

11.未熟児・新生児麻酔 木内恵子 115

術前評価 115
麻酔器・モニター 118
麻酔方法 118
輸液 120
術中の保温対策 121
未熟児麻酔の注意点 121
術後管理 123
一酸化窒素吸入療法について 124

12.腎移植の麻酔 大脇 明 127

はじめに 127
レシピエントの原病 127
年齢 128
術前評価 128
モニター 130
麻酔管理 132
まとめ 135

13.新生児・乳児の心大血管手術の麻酔 羽鳥文麿 136

対象疾患の特徴 136
血行動態の特徴 138
術前管理 140
麻酔準備とモニター 141
麻酔導入 143
麻酔維持 144
まとめ 145

14.輸液・輸血管理 鈴木玄一 147

はじめに 147
術前輸液 149
術中輸液 150
輸液・輸血中のモニター 153
輸液投与器具・装置 154
索引 155

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