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周術期におけるBISモニターの臨床応用【改訂第2版】

編集
弘前大学 教授/松木明知
弘前大学助教授/石原弘規
弘前大学助教授/坂井哲博

     品切れです。

B5判・174頁・本体価格:5,200円・2002年
ISBN4-7719-0251-8

【書籍名】周術期におけるBISモニターの臨床応用 改訂第2版
【品番コード】00251
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要旨

初版を上梓してからちょうど3年が経過した。この間医学,医療の分野においては,分子生物学,遺伝子医療の分野で瞠目すべき進歩発展が見られたが,一方,横浜市立大学病院の手術患者取り違え事件を契機として,全国各地において多くの医療事故が報じられており,医療の安全性が一大社会問題となっている。

 改めて述べるまでもなく,医療従事者が最も留意しなければならないことは,患者に対し安全な医療サービスを提供することであり,逆に患者から見れば,安心して医療サービスを受けられることであろう。

 現代の医療の最大の欠点は,端的に表現すると平均値の医療を実践していることである。マニュアル化された医療といってもよい。例えば薬物の投与量にしても,多くの患者に対して単には多数から得られた平均値の薬物量を投与している。個人差はまったく無視されているといってもよい。このような投与量は多数を対象にしたpopulation pharmacologyにおいては,時には成り立つのであろうが,目の前にいる任意の一患者について,このことがいつでも成り立つという証拠は何もない。このことは欧米では古くからStephanusの予言として知られている。つまり個に対してはevidence-basedでないのである。したがって患者一人一人の反応を綿密に観察しながら薬物を投与しなければならない。とくに麻酔薬は他の薬物とは異なり,50%の患者に有効だから秀れた薬物であるという訳にはいかない。100人中100人の患者に有効でなければならない。このため麻酔薬は100%の効果が求められて,しばしば過剰に投与される傾向にある。これ故に時として患者にとって,そして麻酔科医にとっても不幸な結果を招くことになる。

 周術期の安全な医療を行うためには,まず第一に患者の現在の状態を正確に把握する必要があるが,循環系,呼吸系については安全で持続的なモニターが開発され,臨床に応用されて大きな効果を挙げてきた。しかし麻酔科領域において,中枢神経系のモニターとして臨床使用に耐えるものがなかったが,本書で対象としているBISモニターは麻酔科医の長年の夢に正に大きく近づいたものと言えよう。

 著者らの施設ではBISモニターを臨床に応用して約5年経った。この間8,000例以上の臨床経験を重ねたが,これによって重篤な合併症を予防できた症例も二,三に留まらず,このモニターの有用性を益々痛感している。

 最近の分子医学,遺伝子医学の目標の一つは,いわゆるorder madeの医療,tailor madeの医療を行うことであるという。しかしいかに分子医学,遺伝子医学が発達しても,当分の間克服困難な分野がある。その分野の一つが麻酔科領域の患者管理である。

 この意味においてBISモニターは極めて有用であるが,さりとて未だ完璧ではない。したがってその有する機構の限界を知悉して使いこなすことが肝要である。BISモニターといっても金科玉条ではない。このことを誤解してBIS値のみを眺めて,麻酔薬の投与量を決めていることなどは以ての外である。患者の全身状態の評価とBISモニターによる各パラメータとの間にバランスが取れているかが大切なのである。
BISモニターによって,衆の医療ではなく,日常的に個の医療を行うことが可能になり,上に述べたような不幸なトラブルを予防することができる点でその最大の有用性がある。

 今回の改訂版に際しても,快くForewordをお寄せ下さったAspect社のNassib G. Chamoun氏も,BISモニターの利点としてvigilance, diagnostic decisions, therapeutic targeting の三項を強調している。vigilanceは前述した患者の状態の正確な把握,diagnostic decisionsとtherapeutic targetingは衆の医療でなくして,患者一人一人に対する適切な薬物の投与,つまり個の医療を目指したものと解することができよう。本書が周術期における患者管理上,その安全性の向上に少しでも貢献することを念じて止まない。

 今回の改訂版の執筆に際して,多忙な臨床の合間を縫って執筆下さった各位に感謝の意を表する。また大変示唆に富むForewordをお寄せ戴いたAspect社のNassib G. Chamoun氏には心から深謝の意を表したい。

 原稿のワープロ化や整理など繁雑な仕事を担当して戴いた弘前大学医学部麻酔科の三上コウさん,福山美雪さんに厚くお礼申し上げる。

2001年10月17日
編者代表 松木 明知

目次

はじめに…松木明知

Foreword…Nassib G. Chamoun

第I章 BISモニターの基礎/1

 A.BISを理解するために 1
a.BISとは何か 大友教暁 1
  b.鎮静の評価 坂井哲博 12
  c.BISと麻酔深度 坂井哲博 15
  B.BISモニターの基礎 高橋 敏 17

第II章 BISモニターと麻酔/23

  A.静脈麻酔 石原弘規 23
  B.吸入麻酔薬 廣田和美 31
  C.局所麻酔 小谷直樹 37
  D.鎮痛薬 廣田和美 41

第III章 BISモニターと特殊状態および手術/45

  A.出血性ショック 高橋 敏 45
  B.心停止 坪 敏仁 49
  C.脳血管障害 高橋 敏 56
  D.意識下開頭術 廣田和美 57
 E.精神疾患 59
  a.精神分裂病(統合失調症) 高橋 敏 59
  b.てんかん 橋場英二 61
  c.電撃療法 田辺 健 66
  F.低体温 橋本 浩 69
  G.生体部分肝移植 小谷直樹 72
  H.開心術 橋本 浩 74
  I.帝王切開術 坂井哲博 78
  J.小児麻酔 櫛方哲也 85

第IV章 BISモニターの応用/89

  A.BISモニターによる麻酔前投薬の評価 廣田和美 89
  B.BISモニターの回復室における利用 坂井哲博 92
  C.BISモニターによる睡眠の評価 高橋 敏 97
  D.Closed-loop自動麻酔制御システムへの応用 坂井哲博 99

第V章 集中治療におけるBISモニター/103

  A.BISによる心肺蘇生の評価 坪 敏仁 103
  B.鎮静薬投与の指標 坪 敏仁 109

第VI章 Questions and Answers―よくある質問集―…高橋 敏/113

文 献

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索 引

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