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周産期麻酔

奥富俊之
照井克生  編

B5判・416頁
定価11,550円(本体11,000円+税5%)2012年
ISBN978-4-7719-0393-7

【書籍名】周産期麻酔
【品番コード】00393
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幅広く周産期麻酔の領域をカバー!
産科麻酔の専門的なトピックばかりを集めたものではなく、妊娠中の生理学的変化や薬理学的変化、帝王切開術に対する麻酔や区域麻酔による無痛分娩の標準的な方法、妊娠中の手術の麻酔など、産科麻酔の基礎となる大切な内容も網羅。
そのうえで胎児治療の麻酔や産科合併症での周術期管理、無痛分娩の最新の方法や分娩経過への影響、そして妊婦や新生児の蘇生法までを解説!

最近の日本麻酔科学会学術集会においては、リフレッシャーコースやシンポジウムなどで産科麻酔についての企画も充実してきました。会場の参加者も多く、産科麻酔の知識を吸収したいという若い先生方の強い意欲を実感しています。認定制度の見直しも進行中であり、一定数の帝王切開術の麻酔経験も認定要件に盛り込まれることが確実な情勢です。しかし産科麻酔は帝王切開術の麻酔のみにとどまるものではなく、帝王切開術の麻酔法選択や麻酔管理には、産科病態によりさまざまな工夫が必要です。いまこそ産科麻酔の幅広い領域について、深く掘り下げた、まさにprofessionalのための産科麻酔の標準的なテキストが必要だと感じ、本書を企画いたしました。(序文より)

 

目次

I.母体と胎児についての理解を深める

1.妊娠の生理学・薬理学・解剖学的変化(高田真二)

呼吸器系
  気道/換気量・血液ガス/肺気量
循環系
  心拍出量/血圧/大動脈下大静脈圧迫症候群(仰臥位低血圧症候群)
血液凝固系と血液成分
  血液量/凝固系/血漿蛋白
消化器系
腎臓系
神経系
  中枢神経/末梢神経
筋骨格系

2.胎児胎盤の超音波評価(金井雄二)

妊娠中の超音波検査
超音波の安全性
各論:週数別超音波検査確認項目
  初診、4〜12週/13〜19週/20週前後〜それ以降/24週前後/
  30週前後/37週以後

3.周産期薬理学:麻酔薬の胎盤通過性を中心に(植木隆介、太城力良)

胎盤の解剖と生理
薬物の胎盤移行の基礎
  薬物性因子/母体側因子/胎盤因子/胎児側因子/
  胎盤でのガス・物質交換のメカニズム
主な麻酔薬の胎盤通過性
  局所麻酔薬/静脈麻酔薬/吸入麻酔薬/麻薬/筋弛緩薬/
  そのほかの麻酔関連薬など
脊髄くも膜下投与された麻薬の胎盤移行について
催奇形性のある薬物
妊婦の非産科手術における麻酔薬選択の注意点
  妊娠初期(14週まで)/妊娠後期(14週以降)

4.妊娠中の硬膜外、脊髄くも膜下腔の解剖学的変化(滝口鉄郎)

脊椎近傍の脈管
  動脈系/静脈系
妊娠末期における脊椎管内の解剖学的変化
妊娠時、脊髄くも膜下腔はどの程度狭められるか
脊柱管内の解剖学的変化と周産期麻酔
仰臥位低血圧症候群および側臥位での脊柱管内の変化と周産期麻酔

5.子宮収縮コントロールの基礎と臨床(角倉弘行)

子宮収縮の基礎
  子宮筋収縮のメカニズム/妊娠維持および分娩の過程/
  妊娠経過と陣痛の分類/子宮収縮の測定法/
  妊娠経過と子宮活動性の推移/吸入麻酔薬の子宮収縮に与える影響
臨床
  切迫早産に対する子宮収縮抑制薬/帝王切開術での児娩出後の子宮収縮/
  帝王切開術中の子宮弛緩/誘発分娩/子宮内反症

6.胎児心拍数モニタリングによるwell-being の評価(天野 完)

分娩前の胎児評価
  Non stress test(NST)/Contraction stress test(CST)/
  Biophysical profile score(BPS)
分娩時の胎児管理
  分娩時の胎児心拍数モニタリング/バックアップテスト/
  子宮内胎児蘇生/急速遂娩

7.発達過程の脳に対する麻酔薬の影響(照井克生)

発端
波紋
生後早期の曝露の影響
  臨床研究/動物実験
胎児期の曝露
進行中の研究

II.帝王切開術の麻酔を安全に行う

1.帝王切開術の麻酔管理(辻原寛子)

麻酔法の選択
麻酔の準備
区域麻酔
  脊髄くも膜下麻酔/硬膜外麻酔/脊髄くも膜下硬膜外併用麻酔
全身麻酔

2.昇圧薬選択の最近の知見(加藤里絵)

歴史的背景
子宮血流への影響
臍帯動脈血pHへの影響
  UApH低下のメカニズム/UApH低下の意味
母体の心拍数と心拍出量への影響
効果発現時間
嘔気と嘔吐
麻酔域への影響
低血圧を予防するための昇圧薬の用量
  エフェドリンとフェニレフリンの用量/昇圧薬の必要量を変える因子
エフェドリンとフェニレフリンの混合薬の投与
実際の現場ではどのような選択がされているのか
今後の課題

3.誤嚥性肺炎のリスクと対策(大島正行)

消化器系の解剖および生理的変化
  胃内容空虚化/胃液分泌/下部食道括約筋機能/研究の限界
誤嚥性肺炎のリスク
  予定帝王切開術/緊急帝王切開術/気道管理と誤嚥/抜管/
  肥満/絶食と経口摂取
絶食が母体および胎児に与える影響
分娩中の嘔吐
誤嚥性肺炎の臨床経過
誤嚥性肺炎の治療
  初期治療/低酸素血症の治療
誤嚥性肺炎の予防
  区域麻酔の活用/絶飲・絶食/薬理学的方法/
  迅速導入法(輪状軟骨圧迫法)/気道評価

4.常位胎盤早期剥離の麻酔と全身管理(狩谷伸享、太城力良)

疫学
発生機序
病態
症状
診断
緊急性
治療
麻酔前の注意点
麻酔法の選択
気道困難症への対応
止血凝固異常
大量出血
社会的背景

5.前置・癒着胎盤の麻酔と出血対策(加藤里絵)

前置胎盤
  定義と診断/前置胎盤の産科的管理
癒着胎盤
  定義と頻度/癒着胎盤の診断
前置胎盤、癒着胎盤はなぜ出血するのか
前置・癒着胎盤における帝王切開術中・術後の出血対策
  子宮収縮薬/子宮内バルーンによる圧迫/子宮圧迫縫合/子宮全摘出術/
  動脈結紮/選択的動脈バルーン閉塞、塞栓
麻酔管理
  癒着胎盤が否定的な前置胎盤の帝王切開術の麻酔/
  癒着胎盤が疑われる症例の帝王切開術の麻酔

6.術後鎮痛の新しい考え方と方法(上山博史)

わが国の現状と術後鎮痛の目的
麻酔法別の術後鎮痛法
  区域麻酔後の鎮痛法/全身麻酔後の鎮痛法/
  区域麻酔・全身麻酔後に共通する鎮痛法/オピオイドによる鎮痛の限界
鎮痛薬と母乳

7.抗リン脂質抗体症候群(福光一夫)

病態
診断
  抗カルジオリピン抗体/ループスアンチコアグラント
産科管理
麻酔管理

8.心疾患合併妊婦の帝王切開術の麻酔管理(高木俊一)

総論
  妊婦の心疾患罹患率/妊娠出産の重症の基準/帝王切開術の施行時期/
  出産時、帝王切開術時の循環動態/心疾患合併妊婦の麻酔管理の特徴
各論
  先天性心疾患/非チアノーゼ性(左右シャント)/
  チアノーゼ性(右左シャント)/虚血性心疾患/弁疾患/
  肥大型心筋症(HOCM)/肺高血圧症/不整脈/Marfan 症候群

9.腎疾患合併妊婦の帝王切開術の麻酔管理(高木俊一)

総論
  慢性腎臓病の定義/妊婦の腎疾患罹患率/妊娠基準/
  妊娠による正常腎機能の変化/妊娠による腎機能への影響/
  胎児の発育と帝王切開術の時期/腎疾患合併妊婦の麻酔管理の特徴
各論
  血液透析/腹膜透析/腎移植後

10.病的肥満(大瀧千代)

肥満が妊娠に与える影響
肥満の定義と成人女性における体重の傾向
妊娠肥満が起こす生理的変化
気道に与える影響
呼吸機能に与える影響
心肺機能に与える影響
麻酔薬の薬物動態に対する影響
陣痛に対する麻酔管理
帝王切開術における麻酔管理

11.挿管困難の対応(佐藤由美、磯野史朗)

妊婦の気道
気道評価
  妊婦におけるMallampati 分類/マスク換気困難の予測/
  気管挿管困難(喉頭展開困難)の予測
困難気道カートの整備
気管挿管の実際
  正しいポジション/前酸素化/細めの気管チューブ、短い喉頭鏡ハンドル/
  外部喉頭圧迫/輪状軟骨圧迫
妊婦の気道管理アルゴリズム
  困難気道(CVCIになる可能性が高い)が予測される場合/予期せぬ困難気道
妊婦の声門上器具(SGA)使用について
術後管理

12.胎児機能不全の麻酔と緊急子宮弛緩(入駒慎吾)

胎児機能不全
診断特異度の問題
胎児機能不全の原因
麻酔法の選択
緊急子宮弛緩(rapid tocolysis)

III.無痛分娩を効果的に行う

1.硬膜外無痛分娩の基礎(奥富俊之)

陣痛のメカニズム
妊娠と硬膜外腔
硬膜外穿刺の体位
硬膜外鎮痛法に用いる器材・技術
テストドース
薬剤の選択
硬膜外鎮痛法による無痛分娩の副作用
硬膜外鎮痛法による無痛分娩の合併症
  不適切な鎮痛/意図しない硬膜穿刺/呼吸抑制/
  局所麻酔薬の血管内注入/高位ブロックまたは全脊麻/
  広範囲の運動神経遮断/神経遮断の遷延/腰痛/骨盤底障害
硬膜外鎮痛法による無痛分娩が分娩進行に及ぼす影響
  帝王切開率/器械分娩率/分娩時間
硬膜外鎮痛法による無痛分娩が新生児に及ぼす影響
  直接的な影響/間接的な影響

2.無痛分娩の麻酔方法:最近の知見(小野健二)

無痛分娩の麻酔をいつ開始し、いつ止めるか
  麻酔をいつ開始するか/麻酔をいつ止めるか
硬膜外麻酔中の体位
  硬膜外麻酔穿刺時の体位/硬膜外麻酔維持中の体位
無痛分娩中の絶飲食は必要か
  分娩中は絶飲食にするか/無痛分娩中は絶飲食にするか
硬膜外無痛分娩に最も適した局所麻酔は
  ブピバカイン/ロピバカイン/レボブピバカイン
レミフェンタニルIV-PCAによる無痛分娩

3.超音波ガイド下の硬膜外・脊髄くも膜下穿刺(田中 基)

“Spinal ultrasound”で何ができるのか
  穿刺する脊椎の高さを正確に知ることができる/
  穿刺に失敗しない棘間および刺入点を見つけることができる/
  皮膚から硬膜外腔までの距離を測定できる
“Spinal ultrasound”の準備
  機材/Pre-scan technique/体位
“Spinal ultrasound”の実際
  矢状断画像の観察/水平断画像の観察/実際の穿刺/
  特殊な患者に対するコツ
“Spinal ultrasound”の習得と教育上の利用

4.CSEA とPCEA(角倉弘行)

CSEA
  歴史/長所/欠点/方法
PCEA
  歴史/長所/欠点/Operant conditioning/
  PCEA のレジメン/PCEA 装置
CSEAとPCEAによる無痛分娩の実際

5.PDPH(奥富俊之)

疫学
症状
病態生理
リスク因子
予防
治療
  精神的なサポート/薬物治療/
  脊髄くも膜下腔・硬膜外腔への生理食塩水注入/
  硬膜外自家血パッチ/硬膜外自家血パッチ以外の代替療法/手術

IV.妊娠・産褥の手術を安全に行う

1.妊娠中の非産科手術の麻酔(辻原寛子、池田みさ子)

母体の変化
胎児について
  奇形発生における基本原則/妊娠週数と器官形成/麻酔薬の胎児への影響
流早産の危険
妊娠中に手術を要する疾患について
  区域麻酔の管理方針/全身麻酔の管理方針

2.妊娠中の放射線・MRI検査(岡田尚子)

概論
  線量単位/被ばく線量/被ばく時期・インフォームドコンセント/
  子宮内被ばくの結果/放射線診断/核医学/放射線治療
各論
  妊娠中に放射線検査を必要とする頻度の高い病態における放射線診断・治療
その他
  併用療法(造影剤使用)の是非/MRIの適応、危険性、潜在する問題点/
  母乳移行

3.妊娠中の腹腔鏡下手術(細川幸希)

妊娠中の腹腔鏡下手術の適応と有用性
手術時期
腹腔鏡下手術特有の問題点
  循環系への影響/呼吸系への影響/適正な気腹圧/深部静脈血栓症の予防
麻酔薬に関連した一般的な問題点
  妊娠中の全身麻酔/麻酔薬と催奇形性/麻酔薬の子宮血流の影響
麻酔管理の関連した問題点
  術中体位/術後鎮痛/胎児心拍モニタリング/周術期の陣痛抑制
麻酔の実際

4.授乳中の麻酔薬は何を使用してよいか(松田祐典)

薬物の母乳移行の機序
母乳移行を決定する因子
  半減期/小児半減期/M/P比/最高血中濃度到達時間/蛋白結合率/
  経口生物学的利用能/分布容積/pKa/分子量/新生児期
母乳移行の薬理学的指標
周術期に使用する薬物の母乳移行
  非オピオイド性鎮痛薬(シクロオキシゲナーゼ阻害薬)/オピオイド/
  吸入麻酔薬/静脈麻酔薬/筋弛緩薬/局所麻酔薬/抗凝固薬/その他

5.EXIT(片桐美和子)

EXITの対象疾患
  横隔膜ヘルニア/胎児頸部腫瘤、CHAOS/EXIT-to-ECMO/CCAM
術前評価
モニタリング
EXITの具体的な手順と麻酔管理のポイント
  帝王切開術との相違点/準備/麻酔導入/麻酔維持/胎児の麻酔と処置/
  昇圧薬、輸液/子宮収縮薬/区域麻酔科でのEXIT
EXITの合併症
  低血圧/母体出血/胎児合併症
実際のEXITの麻酔

V.周産期の救急における麻酔科医の役割

1.新生児の蘇生(川名 信)

新生児蘇生の準備
  ハイリスク分娩/人員/物品
蘇生のフローチャート
  正常な場合/蘇生が必要な場合/新生児の評価/
  中心性(口唇、体幹中心部)チアノーゼを認める場合/陽圧換気/
  陽圧呼吸の評価/胸骨圧迫/圧迫と換気回数/状態が改善しない場合
気管挿管
  気管挿管の手技/気管挿管の確認/チューブの固定/ラリンジアルマスク
アドレナリン投与
重炭酸ナトリウム投与
血糖管理
輸液
  静脈路の確保/循環血液量増量
蘇生後のケア
NCPR と麻酔科医

2.産褥出血の管理(秋永智永子)

血液凝固異常
産褥出血の麻酔管理における留意点
産褥出血各論
  弛緩出血/産道裂傷と血腫/胎盤遺残/子宮内反症
子宮弛緩について
侵襲的治療
子宮摘出術の麻酔管理

3.Cell salvageと遺伝子組換え活性型第三子(秋永智永子)

術中自己血回収(IOCS)
Cell salvage の仕組み
羊水の混入とcell salvage
Cell salvage と白血球除去フィルターの組み合わせ
Cell salvage と同種免疫の確立
Cell salvage の臨床経験
血液凝固のcell-based モデル
rF a の作用機序
rF a の使用経験
rF a が止血効果を現すために必要な要素
rF a 投与のタイミング
rF a の安全性

4.周術期における羊水塞栓症(杉村 基)

病因病態
臨床症状
診断
治療
  抗DIC療法

5.妊婦の心肺蘇生(照井克生、加藤里絵、池田智明)

一般成人における心停止に対する心肺蘇生法
妊婦の心停止における心肺蘇生法
  一次救命処置/二次救命処置/
  各施設における妊婦の心停止に対する準備

6.産科麻酔シミュレータ(谷口美づき、五十嵐 寛)

シミュレーションの種類
  High-fidelity Human Patient Simulator(HPS)とは
シミュレーションプログラム
  患者作成/シナリオ作成/シミュレーショントレーニング
シミュレーショントレーニングの利点・欠点
産科麻酔領域でのシミュレーションは有用か
妊婦シミュレータ
産科麻酔シミュレーションシナリオ
  シナリオ作成の手順
デブリーフィング

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