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ボツリヌストキシンハンドブック ―顔の美容医療のA to Z―

Kate Coleman Moriarty 著
新橋 武 訳

B5判変形・260頁
定価9,450円(本体9,000円+税5%)2006年
ISBN4-7719-0313-1

【書籍名】ボツリヌストキシンハンドブック ―顔の美容医療のA to Z―
【品番コード】00313
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訳者序文

眼瞼痙攣や斜視に対する治療としてスタートしたボツリヌストキシン治療は,その後しわに対する非手術療法としても画期的な治療効果が得られることが明らかとなり,いまや急速に普及しつつある治療法の一つです。米国では2002年にBotox(R) Cosmeticによる眉間のしわの治療に対する適応がFDAにより認可されています。米国でも美容外科における本治療件数の伸びは驚異的であり,米国美容外科学会Cosmetic Surgery National Data Bankの統計によれば,美容外科におけるボトックス(R)の治療は1997年には65,157件でしたが,2004年には2,837,346件,2005年には 3,294,782件となっています。すでにわが国でも,おもに美容外科医によってボツリヌストキシンによるしわの治療が行われています。しかしながら現時点では,製薬会社から美容的な適応に関して必要な情報が十分に与えられているとは言えず,的確な情報が得られていないのが現状です。今後わが国でも本治療が急増することは容易に予想され,ビギナーにもわかりやすい適切な入門書が待たれていました。

そのような状況のもとで本書に出会たのは,2004年8月にカナダ・バンクーバーで開催されたAlastair CarruthersとJean Carruthersの主催によるボトックス(R)の講習会に出席した折のことでした。本書はボツリヌストキシン治療の基礎から臨床までを簡潔にわかりやすく記載しており,本治療の入門書として非常に適切であると言えます。さらに過度に学問的になりすぎることなく,できる限り実際の診療に添う内容となっています。初心者にも理解しやすく,実地診療に役立つ治療ハンドブックとして必要な条件を十二分に満たしています。

著者のKae Coleman Moriartyはアイルランドの眼科医で,ボツリヌストキシン治療の豊富な経験があります。本書の随所に彼女の示唆に富んだ実践的なアドバイスが散見されます。「ボツリヌストキシン治療の本質は必ずしも若返って見えるようにすることではなく,患者の外見,表情,顔貌をよりよい状態にするところにある」という考えは傾聴に値します。

治療は日々進歩しているため本書の内容がすべてでないことは言うまでもありません。しかし本書をきっかけにして、ボツリヌストキシンへの理解が深まり、ボツリヌストキシン治療をより安で治療効果の高いものにすることができれば,訳者の望外の喜びです。

最後に,本企画の実現にご尽力いただき,終始暖かい励ましと適切なご助言を賜りました克誠堂出版編集部大澤王子氏に深甚なる謝意を表します。

2006年9月
新橋形成外科クリニック
新橋 武

[注] *アイルランドとは医療制度が異なっているため,細部についてはわが国の実情に合わない点もあります。また,欧米人と東洋人では顔面の形態的特徴に違いがありますが,本書では原書に忠実に訳しました。

著者序文

ボツリヌストキシンはしわの治療に190年から用いられている。患者にとっては奇跡のように,眉を寄せることもなくなり眉間のしわもなくなるということになる。しかし一方では,しわがなくなって若くなった反面,活気に乏しく反応が鈍くなり,疲れきってやつれた表情になってしまうこともある。ボツリヌストキシン治療の妙味は,患者ごとに正確な注射にぴったり合った反応を的確に予想することができるところにあり,この治療が芸術的とも言われる所以である。患者には,予想される結果を説明すると同時に,選択肢として併用療法や他の治療法も提示するべきである。

治療が成功するたには,正確に希釈したボツリヌストキシンを目標となる筋線維に正確に注射する必要がある。しかし,たとえば眉間のしわの治療ですべての患者に同じ量を同じように注射しても,満足した結果が得られるのは30%に過ぎない。残りの30%の患者では,眉毛の上がり方が左右不均等になったり,眉毛のアーチが強すぎたり,重い瞼になったりして治療の結果に不安を覚えるだろうし,さらに40%の患者では3カ月間は疲れたような,瞼の重い,腫れぼったい目に見えるということになってしまう。

本書で示した臨床的なガイドラインの目的は,実地医家がボリヌストキシンの正しい美容医学的使用法に習熟して,治療の対象として慎重に選ばれた患者の安全性を確保することにある。また本書では個々のニーズにあった治療法の選択に重点をおき,ボツリヌストキシン治療の適応でないものに対しては他の選択肢を示している。

正しい治療を選択する能力は当初は学習しなければ得られないが,その後経験を積んでくると,ほぼ直感的に正しい治療を選択することができるようになる。それには当然,顔のさまざまな表情や,表情相互の関連性についての綿密な分析が必要である。優れたボツリヌストキシン治療とは常,患者の表情をよくするものであって,必ずしも若く見せるということではない。その方法を示すのが本書の目的である。

Kate Coleman Moriarty

■優れたボツリヌストキシン治療は、常に患者の表情をよりよくするところに芸術的な素晴らしさがあるのであり、必ずしもより若く見せるということではない

目次
訳者序文…i
著者序文…iii
出版によせて…iv
謝辞…v

第1章 美容医療に利用されるまで/1
Historical background

第2章 ボツリヌストキシンの作用機序と血清型/3
Botulinum toxin: mode of action and serotypes

筋収縮:正常なコリン作動性伝達/5
ボツリヌストキシンの作用形式/5
筋の機能回復/8
ボツリヌストキシンに対する抗体産生/9
ボツリヌストキシン血清型/9

第3章 適応と使用法
Clinical indications and usage/11

ボツリヌストキシン治療の適応/12
濃度/15
投与量/17

第4章 準備,保存,注射手技
Preparation, storage and injection technique〉/21

プレゼンテーション/22
還元/24
運搬/24
注射上の注意点/24
注射器/26
投与量/26
吸引/29
注射手技/30
疼痛/33
注射後/33
診察時間/33

第5章 患者の選択
Patient selection/35

治療に適した患者の見分けかた/36
選択の過程/37
初診時の身体的評価/37
治療の適応/39

第6章 禁忌と合併症
Contraindications and complications〉/47

絶対的禁忌/48
相対的禁忌/53
患者の不満/55
副作用/61

第7章 目じりのしわの治療
The management of crow's feet/63

診察/65
診察のチェックポイント/66
目じりのしわに対するボツリヌストキシン治療の副作用/72
治療の実際/77

第8章 前額部のしわの治療
Management of forehead wrinkles/81

眉間の筋肉の解剖/83
眉毛と額のしわの診察/86
眉毛の診察/93
額のしわの治療の原則/97
基本的な眉間の治療/98
眉間の治療:上級編/99
基本的な前頭筋の治療/101
額の横じわの治療の実際/102

第9章 口周囲・頚部と瘢痕の治療
Treatment of the periorial region, the neck and scars/105

口唇領域・頚部の加齢変化/108
治療上の注意/109
口周囲の適応/110
頚部へのボツリヌストキシン治療/114
瘢痕に対するボツリヌストキシン治療/116
デコルテ/118

第10章 ボツリヌストキシンのその他の適応
Other indications for botulinum toxin〉/119

斜視/120
特発性の眼瞼痙攣と片側顔面痙攣/122
痙性斜頚とその他のディストニア/123
多汗症/123

第11章 その他のfacial rejuvenation
Other solutions〉/125

はじめに/126
ヒアルロン酸や他のFiller/128
レーザーリサーフェシング/141
上眼瞼形成術/144
コンビネーション治療/153
Non-ablativeなコラーゲン刺激/158

第12章 美容開業術成功へのガイド
〈Guide to good cosmetic practice〉
/159

開業に際しての注意/160
患者へのインフォメーション/161
患者へのカウンセリング/161
写真/162
ボツリヌストキシンクリニックに基本的なこと/163

参考文献/167

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