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英会話はスポーツだ

諏訪 邦夫 著

新書判・184頁
定価1,890円(本体1,800円+税5%)2005年
ISBN4-7719-0300-X

【書籍名】英会話はスポーツだ
【品番コード】00300
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はじめに

『英会話はスポーツだ』というタイトルにたどりついて、「これこそ自分が長く頭の中で考えてきたことだ」と満足感を抱いています。中身ではそう主張しながら、タイトルにすることに思い至りませんでした。

私の時代から現代まで、大学を卒業するまでに英語学習に費やす時間は、だいたい3,000〜5,000時間と計算できます。平均毎日1時間として360 時間/年ですから10年で3,600時間、毎日2時間なら7,200時間になる計算です。これだけの時間をかけて練習すれば、スポーツや楽器なら楽しむレ ベルに十分達します。

実際、この勉強で英語を自在に読める方はかなり多いのです。自在ではなくてもなんとか読める人も含めれば、もっと多数います。ところが「話せる」人がご く少ないのは実にもったいないことです。「会話は教わらなかった」から仕方がないとあきらめ、一部の方は「そのうちに留学する機会があれば」と期待してい るようです。

本書の狙いは、そのような「あきらめ」や「あやまった期待」に対して、「少し違いますよ」と述べる点にあります。「英会話はスポーツだ。教わろうと受身でいないで自分でトレーニングしよう」というのが論点の中心です。

私は元来医師ですが、大学を定年になったのを機に英語を教えるようになり、それと関連してTOEIC試験も受けました。1937年生まれですからすでに高齢者に仲間入りしていますが、英会話の実力は十分に保っている、と自分では思っています。

学生たちと話してみると、「なんとか英語、特に英会話をマスターしたい」という意欲は随分強いのに、方向をつかんでいません。「英語を勉強する」ことの 意味と方法を、学生たちはとらえていません。私を含めて教師たちも細かい技術的なことを教えながら、基本のポイントを逃しているのでしょう。

英語教育の歴史は長く、多数の専門家がいろいろ考え発言し実行しており、私のような高齢になってはじめて英語教育にかかわる、いわば素人の言い分なぞ、 専門家からみればチャンチャラオカシイかもしれません。私の手元に、東大教養学部の方々の編纂した英語教科書があります(東京大学教養学部英語教室編, The Universe of English,東京大学出版会, 1993)。内容はたいへんに充実しておもしろく、編纂した方々の主張もよくわかりますが、どうみても「東大生向け」、それも「できのよい東大生向け」で す。

そういう状況でわざわざ本書を書く狙いは、英語教育のいわば王道は脇において、別の道をはっきり示したいからです。ひとつは、「英会話」に重点をおいて いる点ですが、もうひとつ大きな違いは「英語の勉強、特に英会話は、機械的に、楽しく、身体をつかって、快感を感じながら、スポーツと同じように楽しむも のだ」という主張です。「身体は疲れるけれど頭は疲れず」、「仕事やほかの勉強の余暇に行うもので、実際にも余暇を利用できる」、「電車の中や道を歩きな がらできる」ので、それを伝えたいと思っています。

それからもうひとつ、「英会話に関する迷信を打ち破る」ことも狙います。「若いうちにマスターしないとダメ」、「外国に住む必要がある」、「アメリカに行けば自然に身につく」といった迷信を打ち破りたいと意図しています。

「英会話のアプローチにはいろいろある」というのが私の基本的立場で、いろいろ試みて自分に合った方法、抵抗なく受け入れられる方法をとるようにお勧め します。できる方法を試みているうちに、「自分には向いていない」と思った教材や方法も、実はいつの間にか受け入れられる場合があるかもしれません。 「○○が必要」「○○しなければならない」という言い方をなるべく避けるよう努めてはいます。

こんなことを言いながら、私の考えにも独断的な点がきっとあります。いろいろ考え実行したつもりでも、しょせんは自分の経験と学識に基づいて「私はこれ がよいと思う」との主張で、読者のすべてにあてはまることはないでしょう。でも、ここで提案しているいろいろなやり方が「ひとつもあてはまらない」ことは ないと自信をもって言えます。どなたにも、いくつかはきっとあてはまります。それを見極めて、英会話をマスターする道を探って下さい。

本書が読者として想定するのは、高校生よりはむしろ大学生以上、それに社会人の方々です。このレベルの方々が勉強するにあたってありがたいのは、時間制 限が厳しくない点で、3ヵ月後の試験を気にする必要がありません。達成は1年後でも3年後でもよいのです。どの道、英語をマスターするには長い道のりが必 要です。ゆっくりと励んでください。

目次

第1章 英語を楽しくマスター 1

1.英語を「楽しもう」

「楽しい」と思おう
なぜ楽しいか
楽しければ効果が上がる

2.楽しむための情報源

勉強には資料がいる
読む
聴く
図書館を利用しよう

3.CDを1枚

資料が気に入ったら
音声情報の「内容」
資料は無限

4.歌を楽しもう

「歌」は楽しい
日本語でなじんだ歌の原詩を楽しむ

5.耳と口とそれに「手」も使おう

手で書く

6.「苦しみ」はひとつだけ:単語

7.短文を覚えるのは楽しい

8.小説に1冊挑戦しよう

授業の読み方はていねい
以前は「ポルノ」が切り札
インターネットなどの電子情報
お薦めの作品
挑戦するものは
新しい翻訳書を原書で
英語を「百万語読む」

第2章 英会話1人勉強法

1.英会話は日本で身につけよう

「外国へ行けば自然に」は誤解
留学中の進歩は日本での努力に依存する
「週1回英会話学校」の意味
トレーニングは自分で行うもの
具体的な内容は「文章をつくる速度を上げる」

2.「道を訊いてわからない」理由

「道を訊く」、「トイレの場所を訊く」のは実はやっかい
パーティの会話と仕事の会話と
必要なら準備する

3.「聴くだけ」はつまらない

情報を「交換する」のが会話
「聞き役」だけに回らないように努力しよう
パーティの前に準備

4.いろいろな手を使おう

なぜいろいろなことをするか
スポーツの場合
英語も同じ

5.英会話のマスターはトレーニングで

会話を学校教育で身につけられるか
「読み書き」は教育、「聴く」と「話す」はトレーニング
英語「教育」で会話が身につく「はずがない」
英会話はトレーニングで身につけよう
トレーニングには時間がかかる
英語をスポーツとして学ぶ

6.モーツァルトを聴いても弾けるわけではない

楽器でもモーツァルトでも
「聴く」のと「話す」のは違う
再び「英会話学校」の問題点
TOEICへの疑問

7.英文を高速でつくる

一番足りないのはスピード
「英作文速度」を「会話速度」に
英文を高速でつくるトレーニング
フレーズだけでも単語だけでも
練習問題

8.英語は「口に出してマスター」しよう

歌を上手に歌うには実際に歌う練習
「筋トレ」の要素
不足分を補う方法
「鸚鵡返し」に言う材料
「聴き取れる」ことと「言える」こと
「鸚鵡返し」以外に口に出す材料

9.発音にこだわらなくていいけれど

むずかしい発音
日本語と英語の差で知っておきたい点
「デジタル」はやめて欲しい
イントネーションが重要

10.「反応」で注意したいこと

ひとつ何か言う
“Yes”と“No”を逆にいう点の注意

第3章 実践英会話

1.機会を捉える

英語を話す機会を捉える
外国旅行

2.ホームステイの利点と問題点

それでもホームステイの意義は大きい
留学にはないホームステイの利点

3.英語の試験を受けよう

4.パソコンを英語の勉強に使う

インターネットで読む
インターネットに発言する
資料を入手する
インターネット以外に

5.留学しよう

留学の道
各ルートの特徴、利点と欠点
行き先と心がけ
身体で「頑張る」のが重要だ
留学の価値は「語学」ではない

6.努力はダサくない

英語の勉強に「努力」は不可欠
努力は奇跡を生む

7.中年からでも勉強できる

「語学は若いうちに」は絶対ではない
本書に書いてあることを応用して

8.英語の能力を維持しよう

英語を失う危険を知って
「維持」の努力
自分なりのバイリンガル

9.英会話学習「べからず」集

目的と目標を決めない
ひとつの手法だけに頼る
高価な単一シリーズ教材を使う
個人教授を長期間受ける
低い密度でだらだら長期間続ける
英語は嫌いだが英会話だけやる
「自然法だけ」に頼る
議論は無理でもせめて英語で道くらい訊けるようになりたい
「日本にいて英会話の勉強は不可能」との考え
「外国へ行けば自然にうまくなる」と夢想
努力はダサい
この年になっては英会話の勉強は遅い

おわりに 167

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