ADVANCE SERIES I-1 頭頸部再建外科:最近の進歩【改訂第2版】
要旨
形成外科領域における最新の知識をもりこんだアドバンスシリーズが企画されてから早いもので,すでに10年が過ぎようとしている。この間,シリーズIと して10巻が,シリーズIIとして8巻が刊行され形成外科専門医のみならず,研修医や他科の医師に形成外科の最新の情報を多岐にわたって提供してきたと信 じている。
特に,シリーズの第1巻として刊行された『頭頸部再建外科:最近の進歩』は,日々進歩しつつある頭頸部領域の 再建術が紹介されており,読者諸氏に大変好評であった。しかし,10年を経過し新たな手技が開発され,新しい知見も得られているため,今回,改訂版を出版 することになった。
改訂に当たっては,新知見があればできるだけ加えて頂くようにお願いするとともに,数人の方々に新たに開発された手技を執筆して頂いた。
頭頸部領域の再建は,手術によりQOLの向上を目指す形成外科医にとって,もっとも重要な手技であり最新の知識が要求される。本書が,より良い頭頸部再建を目指す読者諸氏にとって,座右の書となることを願うものである。
2002年1月
東京大学医学部形成外科学教室
波利井 清紀
I頭蓋の再建
1.Freeflapによる頭蓋軟部組織の再建…3 (小林誠一郎,大森喜太郎)
はじめに 3
A.概念 3
B.術前の評価 3
C.手技 4
D.術後管理 5
E.症例 5
F.考察 7
2.頭蓋底へのcraniofacialapproach…12 (田嶋定夫)
A.前頭蓋底へのアプローチ 12
B.側頭下窩,翼突窩,中頭蓋底へのアプローチ 14
C.前頭蓋底後半―中頭蓋底の正中部,鼻咽腔,翼突窩前部へのアプローチ:Maxillotomy-mandible splitting approach 15
3.Galea,pericranialflapによる前頭蓋底の再建…18 (新橋武)
はじめに 18
A.概念 18
B.解剖 18
C.手技 20
D.症例 21
E.考察 21
4.遊離腹直筋皮弁による頭蓋底の再建…24 (山田敦)
はじめに 24
A.概念 24
B.解剖 25
C.手技 25
D.症例 26
E.考察 27
5.Tissueexpansion法による頭皮欠損の閉鎖…32 (皆川英彦)
はじめに 32
A.概念 32
B.解剖 32
C.術前の評価 33
D.手技 34
E.術後管理 35
F.症例 35
G.考察 35
6.Calvarialbonegraftによる頭蓋骨再建…38 (菅原康志)
はじめに 38
A.術前検査 38
B.手技 38
C.術後管理 41
D.症例 42
E.考察 42
II 顔面・頸部の再建
7.皮下茎皮弁による顔面の再建…47 (小川 豊)
はじめに 47
A.概念 47
B.解剖 48
C.術前の評価 49
D.手技 50
E.術後管理 51
F.症例 53
G.考察 55
8.D-P皮弁による上顎癌切除後の再建…58 (熊谷憲夫)
はじめに 58
A.上顎癌術後の問題点 58
B.拡大上顎全摘術後変形の再建 59
C.Deltopectoral flapによる再建の実際 59
D.症例 61 E.考察 64
9.Angularbranchを利用した肩甲骨皮弁による顔面の再建…68 (西川邦男)
はじめに 68
A.上顎硬性再建の概念 68
B.解剖 69
C.手技 70
D.考察 78
まとめ 81
10.Maxillarybuttress:上顎骨性再建の治療指針…82 (山本有平,杉原平樹)
はじめに 82
A.概念 82
B.術前の評価 83
C.手技 84
D.術後管理 85
E.症例 86
F.考察 87
11.De-epithelializedfreeflapによる顔面陥凹変形の治療…90 (野平久仁彦,新冨芳尚)
はじめに 90
A.概念 90
B.解剖 91
C.術前の評価 91
D.手技 91
E.術後管理 93
F.症例 93
G.考察 93
12.Freeflapによる顔面・頸部の再建…96 (梁井 皎)
はじめに 96
A.Free flapによる再建術の特徴 96
B.解剖 97
C.術前の評価 97
D.手技と症例 98
E.術後管理 99
F.考察 101
13.顔面神経麻痺の形成外科的治療…105 (上田和毅,波利井清紀)
はじめに 105
A.形成外科的治療 105 まとめ 118
14.一期的広背筋移植による顔面神経麻痺の再建…120 (朝戸裕貴,波利井清紀)
はじめに 120
A.概念 120
B.術前の評価 121
C.手技 121
D.術後管理 125
E.症例 126
F.考察 126
15.有茎拡大広背筋皮弁による顔面頸部の再建…130 (中嶋英雄)
はじめに 130
A.拡大筋皮弁の概念 131
B.拡大広背筋皮弁 132
C.広背筋皮弁のその他の応用 134
D.考察 137
まとめ 138
16.Tissueexpansion法による顔面・頸部皮膚欠損創の閉鎖…140 (塚田貞夫,桜井伴子)
はじめに 140
A.概念 140
B.解剖 140
C.術前の評価 141
D.手技 141
E.術後管理 142
F.症例 142
G.考察 142
17.Calvarialboneを利用した顔面骨の再建…147 (秦維郎)
はじめに 147
A.概念 147
B.解剖 147
C.術前の評価 149
D.手技 149
E.術後管理 151
F.症例 152
G.考察 153
III下顎の再建
18.血管柄付遊離肩甲骨皮弁移植による下顎の再建…159 (中塚貴志)
はじめに 159
A.肩甲骨皮弁の概念と歴史 159
B.解剖 160
C.手技 160
D.術後管理 162
E.症例 162
F.考察 162
19.血管柄付遊離腸骨移植による下顎の再建…165 (梶彰吾,藤井徹)
はじめに 165
A.概念 165
B.解剖 165
C.術前の評価 166
D.手技 166
E.術後管理 167
F.症例 168
G.考察 171
20.血管柄付遊離腓骨移植による下顎の再建…173 (多久嶋亮彦,波利井清紀)
はじめに 173
A.概念 173
B.解剖 173
C.術前の評価 174
D.手技 175
E.術後管理 176
F.症例 176
G.考察 176
21.有茎骨筋皮弁による下顎の再建…181 (丸山優,澤泉雅之)
はじめに 181
A.概念 181
B.有茎骨筋皮弁 182
C.考察 185
22.骨延長による腫瘍切除後の下顎再建…188 (高戸毅)
はじめに 188
A.概念 189
B.術前の評価 191
C.手技 191
D.術後管理 191
E.症例 191
F.考察 193
IV口腔・咽頭の再建
23.Freeflapによる口腔・中咽頭の再建…199 (波利井清紀,中塚貴志)
はじめに 199
A.概念 199
B.再建領域の特徴 200
C.適応と術前の評価 200
D.手技 201
E.術後管理と合併症 204
F.成績 206
G.考察 208
24.有茎筋皮弁による口腔・咽頭の再建…212 (前川二郎,西條正城)
はじめに 212
A.筋皮弁の組織構成と血行形態 212
B.各筋皮弁について 212
C.術後管理 217
D.考察 217
まとめ 219
25.外側への拡大大胸筋皮弁による頭頸部広範囲欠損の再建…221 (清川兼輔,田井良明)
はじめに 221
A.概念と解剖(血行形態と動態) 221
B.手技 222
C.術後管理 222
D.症例 223
E.考察 224
26.遊離前腕皮弁および足背皮弁による口腔・中咽頭の再建…226 (鳥居修平)
はじめに 226
A.概念 226
B.解剖 226
C.術前の評価 228
D.手技 229
E.症例 231
F.考察 231
27.遊離筋皮弁による口腔・中咽頭の再建…234 (吉田豊一)
はじめに 234
A.概念 235
B.解剖 235
C.術前の評価 236
D.手技 237
E.術後管理 239
F.症例 239
G.考察 240
28.術後機能評価に基づく口腔・中咽頭の再建…246 (木股敬裕)
はじめに 246
A.概念 246
B.再建形態と術後機能 246
C.手技 249
D.症例 251
E.考察 251
29.遊離小腸移植による頸部食道再建術…255 (原科孝雄)
はじめに 255
A.解剖 255
B.適応 255
C.手技 256
D.術後管理 258
E.考察 260
30.遊離皮弁による頸部食道の再建…261 (野崎幹弘,西嶌渡)
はじめに 261
A.手術手技 261
B.術後管理 264
C.症例 264
D.考察 265
31.Pectoralarcadeflapによる下咽頭頸部食道の再建…268 (田井良明)
はじめに 268
A.概念 268
B.解剖 268
C.皮弁の作図 268
D.手技 269
E.術後管理 269
F.症例 270
G.考察 271
32.TJシャント法による音声の再建…273 (田原真也)
はじめに 273
A.概念 273
B.術前の評価 274
C.手技 274
D.術後管理 275
E.発声のメカニズム 276
F.考察 276
33.咽喉食摘後の音声再建―遊離空腸移植によるエレファント型シャント法―…278 (佐々木健司,野崎幹弘)
はじめに 278
A.概念 278
B.術前の評価 278
C.手技 278
D.術後管理および発声訓練 279
E.結果および症例 279
F.考察 281
索 引…285