人工呼吸療法における30の謎
現場で悩まされる謎の数々が、解き明かされる!
人工呼吸療法の臨床の現場にいて疑問に思う事の数々を、EBMに基づいて明快に解説。
医師だけでなく、看護士、理学療法士にも。
1.1回換気量制限換気法は有効か?(志馬伸朗・橋本 悟) |
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1 はじめに…1 2 ARDSと肺保護換気…2 3 1回換気量は6ml/kgに制限すべきか?…2 4 プラトー圧30cmH2O以下の場合、1回換気量は10ml/kg以上でも安全か?…4 5 肺過伸展を引き起こす「危険域」はあるか?…5 6 Permissive hypercapnia(高CO2許容換気)は積極的に行うべきか?…6 7 まとめ…7 |
2.選択は部分的補助換気か調節換気か?(盛 直久) |
1 呼吸不全に対する換気モードの変遷…10 2 現在選択されている換気モード…10 3 人工呼吸の目的…11 4 部分的補助換気(PTV)…11 5 調節換気からPTVに移行するに当たっての問題点…12 換気障害からの回復具合/トリガーの問題点 機械的時間遅れ(トリガー作動から実際にガスが供給され始めるまで) 換気補助程度 6 PTVより調節換気の方がいい場合とは?…13 7 まとめ…14 |
3.調節換気はPCVかVCVか?(今中秀光) |
1 VCV…16 設定/対象と利点/注意点/吸気末ポーズ 2 PCVとは…18 設定/対象と利点/注意点 3 PCVかVCVか…22 4 Dual control mode…22 5 まとめ…23 |
4.部分的補助換気における最近の傾向は?(小谷 透) |
1 はじめに…25 2 なぜ自発呼吸を温存するのか…25 3 なぜ部分的補助換気なのか?…26 4 各換気モードの解説…27 PSV/BIPAP/APRV/PAV 5 部分的補助換気における最近の傾向…29 |
5.患者に同調する換気モードはPSVかTCかPAVか?(時岡宏明) |
1 換気モードの評価…31 2 PSVとは…31 PSVの原理/PSVの利点/PSVの欠点 PSVの設定/PSVの適応/結論 3 Automatic tube compensation(ATC)とは…33 ATCの原理/ATCの利点/ATCの欠点 ATCの設定と適応/結論 4 Proportional assist ventilation(PAV)とは…35 PAVの原理/PAVの理論/PAVの利点 PAVの欠点/PAVの適応/結論 |
6.PEEP設定法にstrategyはあるか?(岡元和文・望月勝徳) |
1 PEEPを付加する目的は?…42 2 酸素化改善のためのPEEPレベルはどう決定するか?…42 PEEP付加がPaO2と心拍出量に及ぼす作用…42 PEEP付加が肺血管外水分量に及ぼす作用…43 PEEP付加が酸素運搬量に及ぼす作用…43 3 VALI予防のためのPEEPレベルはどう決定するか?…44 PEEP付加が肺サーファクタントに及ぼす作用…44 PEEP付加がサイトカイン産生に及ぼす作用…44 PEEP付加が圧─容量曲線に及ぼす作用…44 PEEP付加による肺胞リクルートメントの不均一性の問題…45 PEEP付加による肺胞リクルートメントの個人差の問題…46 4 COPDにおける呼吸仕事量軽減のためのPEEPレベルはどう決定するか?…46 5 おわりに…47 |
7.PEEPが禁忌となる病態は存在するか?(小谷 透) |
1 はじめに…49 2 PEEPの生理学的影響…49 3 PEEPの悪影響は対処不能か?…50 4 重症例におけるPEEPの重要な効果…50 5 結論…51 |
8.2相性気道内陽圧はPEEP付加よりよいか?(中沢弘一) |
1 2相性気道内陽圧(biphasic positive airway pressure)とは…53 2 BIPAPの生理的効果…54 3 BIPAPと他の換気モードとの比較…55 4 BIPAPの設定法の要点…57 5 まとめ ─ BIPAPはPEEP付加よりよいか?…59 |
9.Open lung strategyは有効か?(田邉仁志・小谷 透) |
1 VILIと肺胞虚脱…61 2 Open lung strategyとは?…61 3 リクルートメント手技…62 4 まとめ…65 |
10.NPPVは人工気道下陽圧換気より優れているか?(瀬尾龍太郎) |
1 はじめに…67 2 長所…67 3 短所…68 4 適応疾患…69 5 挿管下人工呼吸管理への移行のタイミング…70 6 抜管後補助に役立つか?…72 7 結語…72 |
11.成人にも高頻度振動換気(HFO)は有効か?(中根正樹) |
1 はじめに…75 2 HFOという人工呼吸法について…75 3 HFOに関する2つのRCT…77 4 HFOの設定に関する考察…79 最適な平均気道内圧/ストロークボリュームと振動数 5 VILIを防ぐ効果…80 6 HFOに併用される治療法…80 7 HFO中の合併症…81 8 おわりに…81 |
12.胸郭外陰圧式換気法は使えるか?(佐藤庸子) |
1 はじめに…83 2 胸郭外陰圧式換気法とは…83 3 実際の使用…84 4 適応疾患…84 COPD/心不全/ALI 胸郭変形疾患および神経筋疾患/小児 5 問題点…86 6 まとめ…87 |
13.人工呼吸器の機種選定に優先順位はあるか?(藤野裕士) |
1 NPPVか挿管人工呼吸か?…89 2 従来型人工呼吸かHFOか?…91 |
14.人工気道の経路は経鼻か経口か?(小竹良文) |
1 はじめに…94 2 経鼻、経口のメリット、デメリット…94 経鼻挿管のメリット/経鼻挿管のデメリット 経口挿管のメリット 3 人工気道の選択基準…96 人工呼吸開始時/気管切開への移行時期 4 まとめ…98 |
15.気管内吸引は是か非か?(星 邦彦) |
1 はじめに…100 2 気道吸引のメリット、デメリット…100 メリット/デメリット/禁忌 人工呼吸中の患者に気道吸引を行う前に注意すべきこと 3 定期的吸引の必要性…101 気管内吸引の臨床的適応/吸引の結果を評価する 具体的な評価 4 閉鎖式か開放式か…102 5 吸引圧について…102 6 生理食塩水の注入…102 7 まとめ…103 |
16.加温加湿器か人工鼻か?(宮尾秀樹) |
1 加湿の必要性、重要性…104 2 呼吸抵抗の問題;離脱時での影響について疾患による違いはあるか?…106 3 コストの問題…106 4 不適当な加湿器使用、人工鼻使用とは…107 加湿器の不適当な使用/人工鼻の不適当な使用 |
17.気管挿管中のネブライザは必要か?(山本信章) |
1 はじめに…111 2 エアロゾル発生器具およびエアロゾルの大きさ…111 3 気管チューブ…112 4 加温加湿器…112 5 人工呼吸器の設定…113 6 感染…113 7 まとめ…113 |
18.気管挿管中の喀痰培養は常に必要か?(相馬一亥) |
1 定義…115 2 疫学…115 3 発症機序…116 4 診断…117 5 原因菌の診断(simple airway samplingとBALによる方法)…117 6 画像診断のピットフォール…119 |
19.VAP防止に有効な手段はあるか?(小林敦子) |
1 はじめに…121 2 抗菌薬の適正使用…121 抗菌薬使用前にまず考えること 起炎菌の同定はグラム染色と培養を合わせて考える empiric therapyにおいて、市中感染と院内感染を区別する 嫌気性菌の関与を外せない感染症が存在する 抗菌薬は最大量を投与する 抗菌薬の選択には組織移行性を考慮する 抗菌薬の効果判定は標的臓器で行う 重症感染症ではDe – escalation 抗菌薬はいつ止める? 3 VAPの予防法…125 気管挿管と人工呼吸管理 誤嚥防止、体位と経腸栄養 口腔内除菌 ストレス潰瘍の予防 輸血と血糖コントロール |
20.人工呼吸中の理学療法は有効か?(朝井政治・俵 祐一・千住秀明) |
1 はじめに…128 2 呼吸理学療法の種類…128 3 体位変換は定期的に必要か?注意する点は何か?…130 4 スクウィージングのエビデンス…131 5 終わりに…133 |
21.腹臥位呼吸療法には効果はあるか?(妙中信之) |
1 腹臥位の生理…134 下側肺障害の成因/腹臥位の生理 2 腹臥位呼吸療法の効果…135 PaO2は上昇するか?/予後は改善するか? 他の呼吸管理法との組み合わせ 腹臥位呼吸療法の実際と実施上の注意点 3 今後の展望…137 |
22.人工呼吸中の鎮静は是か非か?(赤田信二・竹田晋浩) |
1 鎮静のメリット、デメリット…138 なぜ、鎮静を行うのか/鎮静のメリット 鎮静のデメリット/鎮痛・鎮静薬の特徴と投与量 2 筋弛緩薬の適応は?Critical Illness Polyneuropathyについても…142 3 バイトブロックは必要か不要か…142 4 NPPV施行中の鎮静…143 なぜNPPV中に鎮静が必要となるのか? NPPV中の誤嚥発生率は? |
23.酸素中毒症は存在するか?(永野達也・川前金幸) |
1 はじめに…145 2 脳酸素中毒…145 3 肺酸素中毒…146 |
24.人工呼吸中は経腸栄養か静脈栄養か?(井上善文) |
1 はじめに…148 2 経腸栄養、静脈栄養、それぞれの方法のメリット、デメリット…148 3 経腸栄養か?静脈栄養か?…149 4 糖尿病患者においては?…150 5 胃全摘術後患者においては?…151 6 腸運動低下時は?…151 7 まとめ…152 |
25.急性呼吸促迫症候群(ARDS)に薬物療法は有効か?
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1 はじめに…154 2 薬物療法…154 一酸化窒素/ケトコナゾール リゾフィリン/メチルプレドニゾロン フルオロカーボン/活性化プロテインC recombinant form of tissue factor pathway inhibitor(tifacogin) サーファクタント/シベレスタット β-アゴニスト/その他の薬物治療 3 薬物療法の問題点…160 4 おわりに…160 |
26.人工呼吸中の抗菌薬の使用に王道はあるか?(田坂定智) |
1 はじめに…162 2 VAPの起炎菌…162 3 VAPの治療…163 4 国内のガイドライン…163 早期型VAP/晩期型VAP 5 米国のガイドライン…164 6 治療効果の判定…165 7 施設としての耐性菌対策…167 8 まとめ…167 |
27.呼吸筋力の増強は可能か?(一和多俊男) |
1 はじめに…169 2 呼吸筋の特徴…169 3 呼吸筋機能障害…170 4 呼吸筋トレーニングと効果…171 5 IMTのメタ解析…172 6 まとめ…173 |
28.ウィーニングはTピース法かPS法か?(岡元和文・菊地 忠) |
1 はじめに…175 2 自発呼吸トライアル(spontaneous breathing trial:SBT)とは?…175 3 SBT法はPS法よりも優れているか?…176 4 SBTスクリーニングに必要な観察時間は?…176 5 SBTスクリーニング後の気管チューブ抜管の判断は?…177 6 ウィーニング困難症に対するウィーニング法は?…178 |
29.ウィーニングの可否を予測できる指標はあるのか?(時岡宏明) |
1 はじめに…180 2 ウィーニングを始める前に…180 3 ウィーニングにおける呼吸器系以外の前提条件…180 4 ウィーニングのための呼吸器系の前提条件…181 5 ウィーニングの指標…181 ガス交換能 rapid shallow breathing index(f/VT)浅く速い呼吸 メカニクス/ウィーニングの指標をどのように使うのか ウィーニングの進め方 6 最後に…183 |
30.急性呼吸不全に呼吸リハビリは必要か?(石原英樹) |
1 はじめに…186 2 急性呼吸不全と呼吸リハビリテーション…186 3 適応と禁忌…187 4 評価(アセスメント)…187 5 リラクゼーション…188 呼吸補助筋のリラクゼーション/Hold – relax法 6 体位と呼吸練習…189 楽な体位/呼吸練習 7 用手的呼吸介助…190 手技 8 呼吸筋の訓練と休息…191 9 運動療法…191 10 おわりに…193 |