人工呼吸療法における30の謎

人工呼吸療法における30の謎

編集 安本和正、小谷 透
ISBN 978-4-7719-0339-5
発行年 2008年
判型 B5
ページ数 200ページ
本体価格 4,400円(税抜き)
電子版 なし


現場で悩まされる謎の数々が、解き明かされる!

人工呼吸療法の臨床の現場にいて疑問に思う事の数々を、EBMに基づいて明快に解説。
医師だけでなく、看護士、理学療法士にも。

1.1回換気量制限換気法は有効か?(志馬伸朗・橋本 悟)

1 はじめに…1
2 ARDSと肺保護換気…2
3 1回換気量は6ml/kgに制限すべきか?…2
4 プラトー圧30cmH2O以下の場合、1回換気量は10ml/kg以上でも安全か?…4
5 肺過伸展を引き起こす「危険域」はあるか?…5
6 Permissive hypercapnia(高CO2許容換気)は積極的に行うべきか?…6
7 まとめ…7

2.選択は部分的補助換気か調節換気か?(盛 直久)

1 呼吸不全に対する換気モードの変遷…10
2 現在選択されている換気モード…10
3 人工呼吸の目的…11
4 部分的補助換気(PTV)…11
5 調節換気からPTVに移行するに当たっての問題点…12
換気障害からの回復具合/トリガーの問題点
機械的時間遅れ(トリガー作動から実際にガスが供給され始めるまで)
換気補助程度
6 PTVより調節換気の方がいい場合とは?…13
7 まとめ…14

3.調節換気はPCVかVCVか?(今中秀光)

1 VCV…16
設定/対象と利点/注意点/吸気末ポーズ
2 PCVとは…18
設定/対象と利点/注意点
3 PCVかVCVか…22
4 Dual control mode…22
5 まとめ…23

4.部分的補助換気における最近の傾向は?(小谷 透)

1 はじめに…25
2 なぜ自発呼吸を温存するのか…25
3 なぜ部分的補助換気なのか?…26
4 各換気モードの解説…27
PSV/BIPAP/APRV/PAV
5 部分的補助換気における最近の傾向…29

5.患者に同調する換気モードはPSVかTCかPAVか?(時岡宏明)

1 換気モードの評価…31
2 PSVとは…31
PSVの原理/PSVの利点/PSVの欠点
PSVの設定/PSVの適応/結論
3 Automatic tube compensation(ATC)とは…33
ATCの原理/ATCの利点/ATCの欠点
ATCの設定と適応/結論
4 Proportional assist ventilation(PAV)とは…35
PAVの原理/PAVの理論/PAVの利点
PAVの欠点/PAVの適応/結論

6.PEEP設定法にstrategyはあるか?(岡元和文・望月勝徳)

1 PEEPを付加する目的は?…42
2 酸素化改善のためのPEEPレベルはどう決定するか?…42
PEEP付加がPaO2と心拍出量に及ぼす作用…42
PEEP付加が肺血管外水分量に及ぼす作用…43
PEEP付加が酸素運搬量に及ぼす作用…43
3 VALI予防のためのPEEPレベルはどう決定するか?…44
PEEP付加が肺サーファクタントに及ぼす作用…44
PEEP付加がサイトカイン産生に及ぼす作用…44
PEEP付加が圧─容量曲線に及ぼす作用…44
PEEP付加による肺胞リクルートメントの不均一性の問題…45
PEEP付加による肺胞リクルートメントの個人差の問題…46
4 COPDにおける呼吸仕事量軽減のためのPEEPレベルはどう決定するか?…46
5 おわりに…47

7.PEEPが禁忌となる病態は存在するか?(小谷 透)

1 はじめに…49
2 PEEPの生理学的影響…49
3 PEEPの悪影響は対処不能か?…50
4 重症例におけるPEEPの重要な効果…50
5 結論…51

8.2相性気道内陽圧はPEEP付加よりよいか?(中沢弘一)

1 2相性気道内陽圧(biphasic positive airway pressure)とは…53
2 BIPAPの生理的効果…54
3 BIPAPと他の換気モードとの比較…55
4 BIPAPの設定法の要点…57
5 まとめ ─ BIPAPはPEEP付加よりよいか?…59

9.Open lung strategyは有効か?(田邉仁志・小谷 透)

1 VILIと肺胞虚脱…61
2 Open lung strategyとは?…61
3 リクルートメント手技…62
4 まとめ…65

10.NPPVは人工気道下陽圧換気より優れているか?(瀬尾龍太郎)

1 はじめに…67
2 長所…67
3 短所…68
4 適応疾患…69
5 挿管下人工呼吸管理への移行のタイミング…70
6 抜管後補助に役立つか?…72
7 結語…72

11.成人にも高頻度振動換気(HFO)は有効か?(中根正樹)

1 はじめに…75
2 HFOという人工呼吸法について…75
3 HFOに関する2つのRCT…77
4 HFOの設定に関する考察…79
最適な平均気道内圧/ストロークボリュームと振動数
5 VILIを防ぐ効果…80
6 HFOに併用される治療法…80
7 HFO中の合併症…81
8 おわりに…81

12.胸郭外陰圧式換気法は使えるか?(佐藤庸子)

1 はじめに…83
2 胸郭外陰圧式換気法とは…83
3 実際の使用…84
4 適応疾患…84
COPD/心不全/ALI
胸郭変形疾患および神経筋疾患/小児
5 問題点…86
6 まとめ…87

13.人工呼吸器の機種選定に優先順位はあるか?(藤野裕士)

1 NPPVか挿管人工呼吸か?…89
2 従来型人工呼吸かHFOか?…91

14.人工気道の経路は経鼻か経口か?(小竹良文)

1 はじめに…94
2 経鼻、経口のメリット、デメリット…94
経鼻挿管のメリット/経鼻挿管のデメリット
経口挿管のメリット
3 人工気道の選択基準…96
人工呼吸開始時/気管切開への移行時期
4 まとめ…98

15.気管内吸引は是か非か?(星 邦彦)

1 はじめに…100
2 気道吸引のメリット、デメリット…100
メリット/デメリット/禁忌
人工呼吸中の患者に気道吸引を行う前に注意すべきこと
3 定期的吸引の必要性…101
気管内吸引の臨床的適応/吸引の結果を評価する
具体的な評価
4 閉鎖式か開放式か…102
5 吸引圧について…102
6 生理食塩水の注入…102
7 まとめ…103

16.加温加湿器か人工鼻か?(宮尾秀樹)

1 加湿の必要性、重要性…104
2 呼吸抵抗の問題;離脱時での影響について疾患による違いはあるか?…106
3 コストの問題…106
4 不適当な加湿器使用、人工鼻使用とは…107
加湿器の不適当な使用/人工鼻の不適当な使用

17.気管挿管中のネブライザは必要か?(山本信章)

1 はじめに…111
2 エアロゾル発生器具およびエアロゾルの大きさ…111
3 気管チューブ…112
4 加温加湿器…112
5 人工呼吸器の設定…113
6 感染…113
7 まとめ…113

18.気管挿管中の喀痰培養は常に必要か?(相馬一亥)

1 定義…115
2 疫学…115
3 発症機序…116
4 診断…117
5 原因菌の診断(simple airway samplingとBALによる方法)…117
6 画像診断のピットフォール…119

19.VAP防止に有効な手段はあるか?(小林敦子)

1 はじめに…121
2 抗菌薬の適正使用…121
抗菌薬使用前にまず考えること
起炎菌の同定はグラム染色と培養を合わせて考える
empiric therapyにおいて、市中感染と院内感染を区別する
嫌気性菌の関与を外せない感染症が存在する
抗菌薬は最大量を投与する
抗菌薬の選択には組織移行性を考慮する
抗菌薬の効果判定は標的臓器で行う
重症感染症ではDe – escalation
抗菌薬はいつ止める?
3 VAPの予防法…125
気管挿管と人工呼吸管理
誤嚥防止、体位と経腸栄養
口腔内除菌
ストレス潰瘍の予防
輸血と血糖コントロール

20.人工呼吸中の理学療法は有効か?(朝井政治・俵 祐一・千住秀明)

1 はじめに…128
2 呼吸理学療法の種類…128
3 体位変換は定期的に必要か?注意する点は何か?…130
4 スクウィージングのエビデンス…131
5 終わりに…133

21.腹臥位呼吸療法には効果はあるか?(妙中信之)

1 腹臥位の生理…134
下側肺障害の成因/腹臥位の生理
2 腹臥位呼吸療法の効果…135
PaO2は上昇するか?/予後は改善するか?
他の呼吸管理法との組み合わせ
腹臥位呼吸療法の実際と実施上の注意点
3 今後の展望…137

22.人工呼吸中の鎮静は是か非か?(赤田信二・竹田晋浩)

1 鎮静のメリット、デメリット…138
なぜ、鎮静を行うのか/鎮静のメリット
鎮静のデメリット/鎮痛・鎮静薬の特徴と投与量
2 筋弛緩薬の適応は?Critical Illness Polyneuropathyについても…142
3 バイトブロックは必要か不要か…142
4 NPPV施行中の鎮静…143
なぜNPPV中に鎮静が必要となるのか?
NPPV中の誤嚥発生率は?

23.酸素中毒症は存在するか?(永野達也・川前金幸)

1 はじめに…145
2 脳酸素中毒…145
3 肺酸素中毒…146

24.人工呼吸中は経腸栄養か静脈栄養か?(井上善文)

1 はじめに…148
2 経腸栄養、静脈栄養、それぞれの方法のメリット、デメリット…148
3 経腸栄養か?静脈栄養か?…149
4 糖尿病患者においては?…150
5 胃全摘術後患者においては?…151
6 腸運動低下時は?…151
7 まとめ…152

25.急性呼吸促迫症候群(ARDS)に薬物療法は有効か?
(三川勝也・仁科かほる・安藤俊弘)

1 はじめに…154
2 薬物療法…154
一酸化窒素/ケトコナゾール
リゾフィリン/メチルプレドニゾロン
フルオロカーボン/活性化プロテインC
recombinant form of tissue factor pathway inhibitor(tifacogin)
サーファクタント/シベレスタット
β-アゴニスト/その他の薬物治療
3 薬物療法の問題点…160
4 おわりに…160

26.人工呼吸中の抗菌薬の使用に王道はあるか?(田坂定智)

1 はじめに…162
2 VAPの起炎菌…162
3 VAPの治療…163
4 国内のガイドライン…163
早期型VAP/晩期型VAP
5 米国のガイドライン…164
6 治療効果の判定…165
7 施設としての耐性菌対策…167
8 まとめ…167

27.呼吸筋力の増強は可能か?(一和多俊男)

1 はじめに…169
2 呼吸筋の特徴…169
3 呼吸筋機能障害…170
4 呼吸筋トレーニングと効果…171
5 IMTのメタ解析…172
6 まとめ…173

28.ウィーニングはTピース法かPS法か?(岡元和文・菊地 忠)

1 はじめに…175
2 自発呼吸トライアル(spontaneous breathing trial:SBT)とは?…175
3 SBT法はPS法よりも優れているか?…176
4 SBTスクリーニングに必要な観察時間は?…176
5 SBTスクリーニング後の気管チューブ抜管の判断は?…177
6 ウィーニング困難症に対するウィーニング法は?…178

29.ウィーニングの可否を予測できる指標はあるのか?(時岡宏明)

1 はじめに…180
2 ウィーニングを始める前に…180
3 ウィーニングにおける呼吸器系以外の前提条件…180
4 ウィーニングのための呼吸器系の前提条件…181
5 ウィーニングの指標…181
ガス交換能
rapid shallow breathing index(f/VT)浅く速い呼吸
メカニクス/ウィーニングの指標をどのように使うのか
ウィーニングの進め方
6 最後に…183

30.急性呼吸不全に呼吸リハビリは必要か?(石原英樹)

1 はじめに…186
2 急性呼吸不全と呼吸リハビリテーション…186
3 適応と禁忌…187
4 評価(アセスメント)…187
5 リラクゼーション…188
呼吸補助筋のリラクゼーション/Hold – relax法
6 体位と呼吸練習…189
楽な体位/呼吸練習
7 用手的呼吸介助…190
手技
8 呼吸筋の訓練と休息…191
9 運動療法…191
10 おわりに…193