症例から学ぶNPPV
~チーム医療の役割分担~
NPPVのチーム医療の具体的な治療指針を職種ごとに解説!
NPPVの導入から離脱、ICU入室から退院までを分析した実践書。
スキルアップのため、また、これから始める方々のために。
おりしも,本年1月の診療報酬改定で,NPPVを含む人工呼吸療法を行っている患者に対し医師・看護師・臨床工学技士・理学療法士などからなる専任の呼吸ケアチームで診療がなされた場合,保険点数加算が新設されました。これはとりもなおさず,人工呼吸療法に対し,その安全性を確保するためのチーム医療の重要性が認識されてきたあらわれであると解釈しています。
いまやこのNPPV療法は呼吸器内科・外科のみならず,救急領域,循環器領域,外科術後領域,さらに呼吸リハビリテーション領域の呼吸管理法として広く使用されてきている現状であり,そこで直接患者の治療にあたる医師と多くのコメディカルの方々に本書を活用していただければ,編者としては大きな喜びであります。 (序文より抜粋)
I 急性疾患の場合
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1.エビデンスレベルの高い疾患 |
1)COPDの急性増悪 ─プロトコルに基づくNPPVの導入から離脱─(北村真友,関口幸男,三島吉登,岡元和文) [症 例]85歳,男性,身長170cm,体重54kg,COPDの急性増悪 ●入院後の経過 各職種の役割分担 【解 説】NPPVプロトコルの有用性 コラム1:熱傷深度とは コラム2:熱傷予後指数(prognostic burn index:PBI)とは コラム3:Parkland方式とは コラム4:Do not intubate(DNI)オーダーについて コラム5:頻呼吸指数(rapid shallow breathing index:RSBI)とは2)心原性肺水腫(高橋 進,櫻井 滋) [症 例]68歳,女性,うっ血性心不全(CHF) ●救急センター外来での経過/●救急センター病室での経過 ●一般病棟での経過─終夜ポリグラフ検査の施行─ 各職種の役割分担 【解 説】 コラム:adaptive/auto servo-ventilation(ASV)とは3)免疫不全を伴う急性呼吸不全(川畑雅照) [症 例]64歳,男性,造血幹細胞移植(HSCT)移植後の急性呼吸不全 ●移植後の経過/●急性呼吸不全までの経過 ●急性呼吸不全からNPPV開始までの経過/●NPPV離脱までの経過 各職種の役割分担 【解 説】 コラム1:造血幹細胞移植(hematopetic stem cell transplantation:HSCT)と肺合併症とは コラム2:特発性肺炎症候群(idiopathic pulmonary syndrome:IPS)とは コラム3:BiPAP Vision(R)の呼気ポートテスト 4)COPD合併重症肺炎(石原英樹) |
2.エビデンスレベルのやや不十分な疾患 |
1)気管支喘息(平松哲夫,小島英嗣,辻村康彦,菅沢由美子) [症 例]28歳,男性,気管支喘息 ●救急車の中で/●救急室で/●ICUで 各職種の役割分担 【解 説】 コラム1:呼吸介助手技について コラム2:NPPV下の吸入療法2)肺結核後遺症の急性増悪(蝶名林直彦,西村直樹,片山正夫,田村富美子,小松崎朗子,森谷忠生,小島 肇) [症 例]74歳,女性,肺結核後遺症 ●入院後の経過─病棟入室からICUへ─/●ICU退室から退院まで 各職種の役割分担 【解 説】 コラム:日常生活活動評価(functional independent measure:FIM)とは3)胸郭損傷(黒田浩光,氏家良人) [症 例]58歳,男性,胸郭損傷(多発肋骨骨折,血気胸,肺挫傷など) ●搬入後経過─救急外来─/●ICU搬入後 各職種の役割分担 【解 説】胸郭損傷に対するNPP |
3.エビデンスの明らかでない疾患 |
1)間質性肺炎(片岡健介) [症 例]66歳,男性,特発性肺線維症(IPF)の急性増悪 ●入院後の経過/●ICU退室から退院まで 各職種の役割分担 コラム1:特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis:IPF)の急性増悪とは コラム2:特発性間質性肺炎(idiopathic interstitial pneumonia:IIP)の重症度分類2)ALI/ARDS(細川康二,橋本 悟) [症 例]51歳,女性,慢性移植片宿主相関病(GVHD) ●ICU入室前数日の経過/ ●ICU入室中の経過/●ICU退室後の経過 各職種の役割分担 【解 説】 コラム:慢性移植片宿主相関病(graft-versus-host diseases:GVHD)における肺合併症 |
II 亜急性から慢性疾患の場合
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1.エビデンスレベルの高い疾患 |
1)神経筋疾患─筋萎縮性側索硬化症を中心に─(荻野美恵子,瓜生伸一,大永里美,川上 唯,伊勢田明子,鈴木身和子,佐藤志保,佐藤みさを) はじめに 各職種の役割分担 [症 例1]54歳,男性,筋萎縮性側索硬化症(ALS) ●医師の立場から/●看護師の立場から/●臨床工学技士の立場から ●医療社会福祉士の立場から/●歯科衛生士の立場から [症 例2]70歳,女性,重度球麻痺,認知症合併高齢ALSへのNPPV導入 ●看護師の立場から/●臨床工学技士の立場から ●医療社会福祉士の立場から [症 例3]77歳,男性,在宅看取りを行ったALS ●症例の呈示および医師の立場から/●看護師の立場から ●臨床工学技士の立場から/●医療社会福祉士の立場から おわりに コラム:ペインブロッカーポンプTM(自己調整鎮痛療法)の導入まで2)睡眠時無呼吸症候群(津田 徹,森槌康貴,江里口杏平,宗まり子,津田緩子) [症 例]24歳,男性,閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS) ●外来初診時から持続陽圧呼吸療法(CPAP)卒業までの経過 各職種の役割分担 【解 説】 |
2.エビデンスの明らかでない疾患 |
1)COPDの慢性期(町田和子) [症 例]73歳,男性,NPPV導入後,急性増悪時にステロイド吸入療法が著効を示し,在宅で長期NPPVを行ったCOPD ●入院後の経過/●考察/●本症例の医学的問題 ●安定期COPDの管理/●安定期における換気サポート 各職種の役割分担 【解 説】 コラム1:導入時のポイント コラム2:NPPV成功のポイント コラム3:導入時,急性増悪時の一工夫 コラム4:在宅移行時の患者指導のポイント2)終末期の呼吸器疾患(坪井知正) [症 例1]52歳,女性,膵臓癌,肺結核後遺症による慢性呼吸不全 ●入院までの経緯/●入院後の経過 症例1における各職種の役割分担 [症 例2]86歳,男性,肺結核後遺症によるII型慢性呼吸不全,喀血 ●入院までの経緯/●入院後の経過 症例2における各職種の役割分担 【解 説】 コラム:呼吸リハビリテーションとは |
III 呼吸補助を目的とした場合
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1.人工呼吸からの離脱支援(小谷 透) |
A.離脱におけるエビデンス |
2.術後の一時的使用(今中秀光,山口治隆) |
[症 例]39歳,男性,マルファン症候群,大動脈弁輪拡張,大動脈弁閉鎖不全 |
IV 小児の呼吸不全
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1.筋ジストロフィー─適応を含めて─(中島 孝,会田 泉,伊藤博明,小澤哲夫,木下 悟) |
[症 例]入院時15歳,男性,デュシェンヌ型筋ジストロフィー |
2.その他の疾患─急性期,術後補助など─(志馬伸朗) |
[症 例]2歳,女児,体重11kg,フォンタン手術後,右室型単心室症 |