PCA患者自己調節鎮痛法
患者さんの術後鎮痛をいかに安全に快適に行うことができるか!?
(1)PCAに慣れていなくても安全に行うことができる。
(2)PCAをすでに行っている施設ではPCAの進化や他の施設のコツを知ることができる。
をコンセプトとした『経験豊富な麻酔科医とPCAにかかわる看護師、薬剤師、臨床工学技士などの視点も含めた“新たなPCAの教科書”』。
コストや病院経営、チーム医療(*)の側面にも触れています。
(*)実際の現場では、主に麻酔科医が処方し、患者さんに説明し実践してもらうことになりますが、機器の操作や安全性の向上という点から、臨床工学技士や看護師・薬剤師の理解や関与も欠かせないため、チーム医療がたいへん重要です。
第1章 総 論 |
1.PCAの概念と優位性(中塚秀輝、前島亨一郎) はじめに/PCAの概念/PCAの歴史/PCAの設定/PCAの有効性と安全性/PCAの利点と欠点/Point2.PCAにかかわるコスト(橋口さおり) はじめに/PCAを使用した鎮痛法に対する診療報酬/PCAを使用した場合にかかるコスト/PCAにかかわる収支バランス/費用対効果/Point3.PCA機器(石村博史) はじめに/電動式ポンプ/ディスポーザブルポンプ/Point 4.PCAの合併症と禁忌(安部真教、垣花 学) |
第2章 各投与経路の方法とコツ |
1.静脈内投与(濱田 宏、安田季道、河本昌志) はじめに/ivPCAの特徴/PCAポンプの選択/使用薬物/ポンプ設定/副作用/広島大学病院での実際の術後疼痛管理の実際/症例1/症例2/症例3/Point2.硬膜外投与(井上莊一郎) はじめに/硬膜外鎮痛の適応となる痛み、硬膜外鎮痛の利点・欠点/PCEAの適応―硬膜外鎮痛にPCAを付加することの利点と適応―/硬膜外穿刺を避けるべき状態と、慎重に考慮すべき状態/血液凝固能と硬膜外鎮痛/PCEAにおける投与方法/薬物の選択―局所麻酔薬とオピオイドの選択―/PCEAにおける実際の工夫―PCEA使用患者に対するケアの要点―/まとめ/Point3.末梢神経投与(中本達夫) はじめに/PCRAの概念/PCRAの実施方法/PCRA実施のコツ/おわりに/Point 4.くも膜下投与(渡辺昭彦) 5.その他の部位(藤原祥裕) |
第3章 各種薬物の特徴と使い方 |
1.麻薬血中濃度の理論と実際(長田 理) はじめに/薬物動態・薬力学による合理的なivPCAとは/薬物動態学:薬物血中濃度を予測する/薬力学:体内濃度と薬物効果の関係/フェンタニルとモルヒネの薬物動態/実際の症例を解析する/薬物動態シミュレーションの限界/Point2.麻薬感受性の個人差(杉野繁一) はじめに/オピオイドの薬物動態学(PK)/薬力学(PD)/臨床におけるオピオイド感受性の予測/オピオイド感受性の個人差の遺伝的機序/おわりに/Point3.モルヒネ(堀田訓久) はじめに/薬理作用/作用発現の特徴と薬物動態/PCAによるモルヒネの使い方/副作用/筆者の施設における運用/Point 4.フェンタニル(新山幸俊) 5.ケタミン(北山眞任、廣田和美) 6.NSAIDs、アセトアミノフェン、補助鎮痛薬(橘 信子) |
第4章 さまざまなPCAの実際 |
1.開胸術後のPCEA(中山禎人) はじめに/開胸術後の痛みのターゲット/症例提示/薬物選択/設定/注意点/副作用対策/PCEA装置の開胸術後における活用法:応用編/Point2.心・大血管手術後のPCA(清野雄介、尾﨑 眞) はじめに/症例提示/開心術/大血管手術/集学的アプローチ/Point3.開腹術後のPCEA(早瀬 知) はじめに/症例提示/薬物選択/注意点/まとめ/Point 4.体幹手術後のPCA(柴田康之) 5.四肢手術後のPCA(白石美治) 6.小児患者でのPCA(中山雅康) 7.意識障害患者でのPCA(高橋正裕、古家 仁) 8.患者自己調節法による前投薬と鎮静(間宮敬子) 9.緩和医療でのPCA(水上奈穂美) 10.ペインクリニックでのPCA(山内正憲) 11.無痛分娩のためのPCEA(角倉弘行) |
第5章 役割分担と展望 |
1.わが国の状況と変遷(小野晃市、川真田樹人) はじめに/PCAの現状/わが国におけるPCAの問題点/PCA導入、体制確立に際しての問題点/PCAの普及に向けた方策/おわりに/Point2.チームアプローチによるPCA(飯嶋哲也) はじめに/チーム医療、スキルミクス、そしてPCA/多職種間のコミュニケーション/共感的コミュニケーション/主治医の役割/麻酔科医の役割/看護師の役割/薬剤師の役割/臨床工学技士の役割/おわりに/Point3.看護師の役割(須山郁子) はじめに/PCA施行患者の痛みのアセスメント/PCAを施行する患者への教育/PCA施行中の安全管理/Point 4.薬剤師の役割(鈴木良雄) 5.臨床工学技士の果たす役割(佐藤健治) 6.保険点数(岩瀬良範) 7.進化するPCA(澤田敦史) PCAあとがきに寄せて:PCAことはじめ、そして周術期管理チーム(落合亮一) |
ミニレクチャー |
PCAを使っているのに痛みが強い場合(飯嶋哲也) 長期硬膜外留置の注意点(古瀬晋吾) 夜間にアラームが頻回に鳴る場合(高木俊一) 吐き気が強い場合(水上奈穂美) 痒みの強いとき(関山裕詩) 眠気が強い場合・呼吸抑制対策(若崎るみ枝、比嘉和夫) 尿閉がある場合(佐々木英昭) 術後鎮痛やPCAについての学会・研究会の紹介(佐藤可奈子) アメリカの使用例(平田直之) カナダの使用例(間宮敬子) フィンランドの使用例(新谷知久) 中国の使用例(周 静、孟 凌新) |