周術期モニタリング
周術期に使用されるモニターの中から特に重要であると思われるモニターを厳選し、必要不可欠な知識を体系的に基礎から臨床まで解説。
(周術期に使用されるモニターを目的別に、麻酔深度、呼吸、循環、神経・筋、体温の領域に分類しました。)
単にモニターの使用法の紹介に終わることなく、必要な基礎知識と測定原理が深まるように、 1.歴史、2.基礎知識、3.測定原理、4.正常値や正常波形、5.重要なあるいは見逃してならない異常値や所見の順に構成。さらに、周術期モニタリングのひとつとして超音波モニタリングを加えています。
I.麻酔深度
1.BISモニター(脳波モニター)(萩平 哲)
脳波モニターの歴史
①脳波の発見と脳波計の開発/②脳波モニター登場の背景
脳波モニターの基礎知識
①脳波の成り立ち/②脳波計の構造/③脳波の計測法
麻酔中の脳波
脳波の解析
BIS値の算出
脳波モニターを使用するときの注意点
①発達と脳波/②脳代謝・脳血流を変化させる要因と脳波/
③侵害入力と脳波パラメータ/④注意すべき脳波波形やアーチファクト/
⑤オピオイドの併用と脳波モニタリング
2.聴性誘発電位(auditory evoked potential : AEP)(土井松幸)
聴性誘発電位(auditory evoked potential : AEP)モニターの歴史
聴性誘発電位の基礎知識
測定原理
①音刺激/②AEP波形記録/③麻酔深度モニターaepEX
正常波形
①年齢/②性差/③睡眠
麻酔深度指標としての評価
①麻酔薬濃度と意識の有無の判別/②オピオイドの作用/③反応の予測/
④aepEXモニターの臨床的評価
II.呼吸器系モニター
1.カプノグラム:測定原理と臨床での有用性(篠塚典弘、磯野史朗)
カプノグラム普及の歴史
二酸化炭素測定原理
①質量分析法(mass spectrography)/
②ラマン分光分析法(Raman spectrography)/
③音響振動分析法(photoacoustic spectrography)/
④赤外線分光分析法(infrared spectrography)/
⑤分子相関分光法(molecular correlation spectrography)
二酸化炭素測定方式
①メインストリーム方式/②サイドストリーム方式
カプノグラムの生理学的意義
①カプノグラムに影響する因子/
②呼気終末二酸化炭素分圧の生理学的意義/
③時間カプノグラムにおけるα角、β角/④第Ⅳ相の存在/
⑤呼気量カプノグラム/⑥呼気量カプノグラムによる死腔量の測定/
⑦二酸化炭素分圧測定による心拍出量の測定
臨床でのカプノグラム波形の解釈
①Petco2とPaco2の較差の解釈/
②カプノグラム波形の解釈:二酸化炭素を検出しない/
③カプノグラム波形の解釈:第Ⅲ相がほぼ平坦/
④カプノグラム波形の解釈:第Ⅲ相を認めない/
⑤カプノグラム波形の解釈:第Ⅲ相後半が増加/
⑥カプノグラム波形の解釈:第Ⅲ相が低下あるいは不規則/
⑦カプノグラム波形の解釈:基線の上昇、不規則な基線
鎮静患者に対するモニター
2.麻酔器・人工呼吸器付属の呼吸器系モニター(宮部雅幸)
概略
基礎知識
①陽圧換気/②コンプライアンス(compliance)/
③気道抵抗(resistance)
測定原理
①圧力計の種類と測定原理/②換気量モニターの種類と測定原理
正常波形
①気道内圧─時間曲線(pressure─time curve)/
②流量─時間曲線(flow─time curve)/
③容量─時間曲線(volume─time curve)/
④圧─容量曲線(pressure─volume curve、コンプライアンス)/
⑤流量─容量曲線(flow─volume curve)
異常波形
①気道内圧の上昇/②ループが開始位置に戻らない場合
III.循環器系モニター
1.血 圧
A.血圧トランスデューサの基礎、構造、波形の正常と異常(瀬尾勝弘)
血圧とは
血圧測定法の種類
侵襲的動脈圧モニターの適応
血圧トランスデューサ
動脈圧波形
血圧トランスデューサのセットアップ
ゼロ点較正
最適な周波数応答
矩形波(スクエアウェーブ)テスト
周波数特性の評価法についての批判
動脈圧波形(正常波形)
動脈圧波形(異常波形)
ダンピング(減衰)
圧波形に影響を及ぼす因子
正しい圧波形を得るための改良法
①圧アンプの電気的フィルタ/②ダンピング装置
疾患における動脈圧波形の異常
B.動脈ライン、中心静脈ラインの基礎・解釈:基本波形、異常波形(伊藤健二)
動脈ライン確保の適応
①連続血圧測定が必要な場合/②頻回の動脈血採血が必要な場合/
③非侵襲的血圧測定が難しい場合
動脈ラインの確保
そのほかの動脈ラインの確保部位
直接動脈圧の測定
正常な動脈圧波形
異常な動脈圧波形
①測定上のアーチファクト/②動脈圧波形の呼吸性変動
中心静脈ライン挿入の適応
①中心静脈圧測定が必要な場合/②循環作動薬の投与が必要な場合/
③高カロリー輸液など栄養管理が必要な場合
中心静脈ラインの確保
①内頸静脈アプローチ/②鎖骨下アプローチ/③大腿静脈アプローチ
超音波ガイドによるカテーテルの挿入
中心静脈圧の測定
中心静脈圧の正常波形
中心静脈圧の異常波形
C.非侵襲的血圧(西 信一)
観血的と侵襲的
流体力学での血圧
電気工学と対応させた血圧
生化学・生理学での血圧
バイタルサインとしての血圧
組織灌流量と血圧
平均血圧の意味
平均血圧の計算
触診法まで
聴診法とオッシロメトリック法
測定誤差
トノメトリー法と容量補償法
2.肺動脈カテーテル(松田直之)
肺動脈カテーテルによるモニタリングの概要
肺動脈カテーテルの留置
①内頸静脈穿刺/②鎖骨下静脈穿刺
肺動脈カテーテルにおける圧波形観察
①中心静脈圧および右心房圧と波形/②右心室圧と波形/
③肺動脈圧と波形/
④肺動脈楔入圧と波形
熱希釈法による心拍出量測定の原理
心前負荷・心後負荷および心拍出量のモニタリング
混合静脈血酸素飽和度の意義
肺動脈カテーテルの安全かつ適切な使用
①肺動脈カテーテル先端位置の問題/②バルーン拡張に対する注意/
③カテーテル感染症と血小板減少のリスク/④肺動脈損傷に関する注意
肺動脈カテーテルの有用性の評価:肺動脈カテーテルのエビデンス
3.NICO, PiCCOTM, FloTracTM, pulse dye densitometry(今中秀光)
部分的二酸化炭素再呼吸法
①測定原理/②利点と精度
PiCCOTM
①測定原理/②利点と精度、課題
FloTracTM
①測定原理/②利点と精度、課題/③動脈圧の呼吸性変動
pulse dye densitometry
①測定原理/②利点と課題
4.パルスオキシメータ(白石義人)
パルスオキシメータの歴史
モニター理解に必要な基礎知識と測定原理
正常値あるいは正常波形
重要な異常値、所見
二次情報(パラメータ)の利用
今後のさらなる発展
5.超音波モニタリング
A.超音波の基本、末梢静脈血栓の確認(文蔵優子、植野 映)
下肢静脈の解剖
超音波装置のセットアップ
検査の手技・観察点
①Bモード断層法/②カラードプラー法/③パルスドプラー法
検査の実際
①大腿静脈の観察/②膝窩静脈の観察/③下腿静脈の観察/
④腸骨静脈の観察
B.経食道心エコー法(国沢卓之)
歴史
①超音波診断装置/②ガイドライン、資格
モニターを開始する前に必要な知識
①安全/②プローブ挿入前の確認事項/③プローブ挿入
モニター理解に必要な基礎知識
①診断モード/②装置設定と画像調節/③プローブの操作/
④ドプラー法を利用した血行動態評価
解剖と正常所見
①名称の意味/②最少8断面
異常所見
①TEE適応/②検出すべき異常所見/③血圧低下時の評価方法
その他
①心臓手術における包括的評価/②費用/③記録/
④異常類似正常構造物とアーチファクト/⑤その他の検査
IV.神経・筋
1.筋弛緩モニター(鈴木孝浩)
筋弛緩モニタリングの始まり
筋弛緩モニターの意義
筋弛緩モニターの種類と原理
①末梢神経刺激装置/②加速度モニター(acceleromyogram : AMG)
加速度モニタリングの基礎知識
①測定筋の選択/②刺激電極の貼付と刺激ケーブルの接続/
③トランスデューサの装着/④刺激電流の設定/⑤刺激モードの選択/
⑥コントロール刺激の必要性/⑦筋弛緩薬投与前のTOF比の特徴/
間欠的に用いられる刺激法/モニタリング時の注意点
2.運動誘発電位、体性感覚誘発電位(川口昌彦)
運動誘発電位(MEP)
①MEPモニタリングとは/②MEPの歴史/③MEPの施行法/
④MEPに対する麻酔薬や体温の影響/⑤アラームポイント/
⑥各疾患でのMEPモニタリングの実際
体性感覚誘発電位(SEP)
①SEPとは/②SEPの歴史/③SEP測定法/
④SEPに対する麻酔薬などの影響/
⑤アラームポイント/⑥SEPの主な適応疾患
V.体 温(溝部俊樹)
体温の歴史
体温の恒常性
温度受容器の比較器説
温熱的中性域
人体の比熱
水銀体温計
体温計の種類
①連続測定法/②測定部位/③赤外線温度計
人工心肺による冷却と復温