創傷のすべて
キズをもつすべての人のために
創傷のすべてを網羅し、キズに関わるあらゆる職種を対象としたバイブル的教科書!
●どうしたらいいのか?
●何に注意すればいいのか?
●治癒までどういう経過をたどるのか?
最前線から高度で先進的医療の現場までを想定し、キズに遭ったその時に、必要とされる知識・対処法を専門外の内容でも容易に検索し渉猟できるようvisualを重視した実用書です。
創傷治癒学が目覚ましく発展している現代、キズに関わるあらゆる職種に高いQOLを実現する創傷ケア・治療が求められています。外傷・熱傷などの急性創傷においては単にキズを閉鎖するのではなく最新のコンセプトと技術を取り入れて早くきれいに治すことが要求されます。高齢化・生活習慣病の蔓延に伴って急増している慢性創傷のマネージメントでは種々領域にまたがる高度なチーム医療と最先端のテクノロジーが必須です。キズに関与する職種は最前線では学校の養護教諭、救命救急士、プライマリーケア医、在宅においてはケアマネジャーや介護士、病院では各科専門医、看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士、義肢装具士、臨床工学士、臨床検査技師などきわめて多岐に渡ります。従来これらすべてのスタッフが「創傷」をキーワードとして全専門領域について横断的・総合的に学べる指南書は存在しませんでした。 (序文より)
第I章 急性創傷
1.急性創傷治療の基本─病院受診から縫合まで、縫合から抜糸までの流れ─(小浦場祥夫)
2.急性創傷の分類
切創・裂創・擦過創(寺師浩人)
挫滅創(岩澤幹直)
剥脱創・皮膚欠損創(岩澤幹直)
手指切断創(沢辺一馬)
動物咬創(木村 中、新家佳代子)
3.特殊部位の急性創傷
顔面軟部組織損傷(石田有宏)
顔面骨折(石田有宏)
手指外傷(沢辺一馬)
4.熱傷
熱傷の診断(池田弘人)
病院受診までの応急処置(池田弘人)
全身熱傷の輸液の基礎(池田弘人)
局所治療:
III度熱傷の保存的治療(山元康徳、川上重彦)
II度熱傷の保存的治療(山元康徳、川上重彦)
熱傷の焼痂切除術(山元康徳、川上重彦)
熱傷の植皮術(山元康徳、川上重彦)
低温熱傷(櫻井裕之)
5.特殊な外傷
電撃傷(王丸陽光、清川兼輔)
雷撃傷(王丸陽光、清川兼輔)
化学損傷(王丸陽光、清川兼輔)
凍傷(櫻井裕之)
医原性創傷:
点滴漏れ(血管外薬剤漏出)(草竹兼司)
粘着テープによる皮膚炎(佐藤 文)
弾性ストッキングの装着による損傷(寺師浩人)
文献
Q&A
第II章 慢性創傷
1.慢性創傷の分類(簗 由一郎、市岡 滋)
2.Wound bed preparation:慢性創傷を治癒に導く指針(松崎恭一)
3.手術に伴う創傷
手術部位感染(SSI)(小山 勇)
縫合糸膿瘍(榊原俊介、寺師浩人)
縦隔炎・胸骨骨髄炎(榊原俊介、岡田健次)
瘻孔を伴う腹部離開創(加瀬昌子)
瘻孔を伴わない腹部離開創(稲田浩美)
4.静脈うっ滞性潰瘍
静脈うっ滞性潰瘍の分類と診断(八巻 隆)
静脈に対する治療(八巻 隆)
創傷に対する治療(橋本一郎、柏木圭介)
深部静脈血栓症(辻 依子)
圧迫療法(伊藤孝明)
5.虚血性潰瘍
虚血性潰瘍の分類と診断(遠藤將光)
動脈に対する治療(遠藤將光)
創傷に対する治療(寺師浩人)
歩行の意義(辻 依子)
6.糖尿病性潰瘍
糖尿病性潰瘍の病因と病態(寺師浩人)
創傷に対する治療(田中嘉雄)
フットケア(丹波光子)
治療用装具と治療用フットウェア(大平吉夫)
7.自己免疫性疾患に伴う潰瘍
関節リウマチ(金子 栄)
膠原病(長谷川 稔)
血管炎(小川文秀)
壊疽性膿皮症(安部正敏)
ベーチェット病(米田明弘)
水疱症─天疱瘡・水疱性類天疱瘡─(井上千鶴)
8.放射線潰瘍
放射性潰瘍の病因(柏 克彦、小林誠一郎)
放射性潰瘍の治療(柏 克彦、小林誠一郎)
9.褥瘡
褥瘡の分類と診断(石川 環)
褥瘡予防・管理ガイドライン(第3版)(田中マキ子)
褥瘡の手術的治療(田中克己、芳原聖司)
文献
Q&A
第III章 その他の創傷
1.リンパ浮腫の分類と診断(廣田彰男)
2.リンパ浮腫の外科的治療─リンパ管静脈吻合術─(安村和則、前川二郎)
3.二分脊椎症(辻 依子、寺師浩人)
4.Blue toe syndrome(辻 依子、寺師浩人)
5.ハンセン氏病(生駒憲広)
6.悪性腫瘍の潰瘍
有棘細胞癌(中島英貴)
基底細胞癌(中島英貴)
皮膚リンパ腫(中島英貴)
乳癌(中島英貴)
7.瘻孔
気管切開瘻(杉本はるみ)
胃瘻部の皮膚障害(芦田幸代)
8.移植片対宿主病(GVHD)(小川文秀)
9.動静脈奇形による潰瘍(野村 正、寺師浩人)
文献
Q&A
第IV章 特殊な創傷
1.頭皮の欠損(稲川喜一)
2.粘膜の創─アフタ性口内炎─(安部正敏)
3.陥入爪(草竹兼司)
4.精神救急─自傷・手首自傷症候群など─(中嶋英雄)
5.小児救急─虐待─(小野田 聡、金子 剛)
文献
Q&A
第V章 感染症
1.急性感染症
創感染の徴候(大慈弥裕之、高木誠司)
丹毒・蜂窩織炎・リンパ管炎(山崎 修)
壊死性軟部組織感染症(高木誠司、大慈弥裕之)
水痘・帯状疱疹(松尾光馬)
膿痂疹(横山恵美、伊崎誠一)
2.慢性感染症
Critical colonization(菅野恵美、館 正弘)
骨髄炎(館 正弘)
爪郭炎・爪周囲炎・ひょう疽(草竹兼司)
慢性膿皮症(天野博雄、石川 治)
深在性真菌症(生駒憲広)
抗酸菌感染症(安部正敏)
性器ヘルペス・硬性下疳・軟性下疳(松尾光馬)
文献
Q&A
第VI章 創傷管理技術
1.デブリードマン(坂本奈津紀、松村 一、井田夕紀子)
2.縫合法(松村 一、坂本奈津紀)
3.植皮術(坂井靖夫、細川 亙)
4.皮弁術
皮弁術の実際(橋川和信)
皮弁術後の創傷管理(舟山恵美、山本有平)
5.慢性創傷の疼痛管理
疼痛管理:医師の立場から(松崎恭一)
疼痛管理:看護師の立場から(間宮直子)
文献
Q&A
第VII章 創傷に対する治療選択
1.外用剤の種類(安部正敏)
2.創傷被覆材の種類(溝上祐子)
3.人工真皮(真皮欠損)(河合勝也、鈴木茂彦)
4.局所陰圧閉鎖療法(ド ケルコフ 麻衣子、市岡 滋)
5.物理療法
電気刺激療法(杉元雅晴、吉川義之)
超音波療法(杉元雅晴、前重伯壮)
高気圧酸素療法(大浦紀彦)
6.さまざまな創傷治療
マゴットセラピー(桐木─市川園子、宮本正章)
創傷治療における再生医療(水野博司)
これからの創傷局所治療(石川昌一、市岡 滋)
文献
Q&A
第VIII章 瘢痕・肥厚性瘢痕・ケロイド・瘢痕拘縮
1.顔面の瘢痕修正(土佐泰祥、黒木知明)
2.肥厚性瘢痕・ケロイドの発生機序(小川 令)
3.肥厚性瘢痕・ケロイドの非手術的治療
─圧迫療法、ステロイド局所注射など─(吉本 浩、秋田定伯、平野明喜)
4.肥厚性瘢痕・ケロイドの手術的治療(小川 令)
5.瘢痕拘縮の治療(岡部圭介、貴志和生)
文献
Q&A
第IX章 創傷をもっと知るために
1.創傷治療の歴史─湿潤環境への道のり─(佐藤智也、市岡 滋)
2.皮膚・粘膜の構造(安部正敏)
3.創傷治癒のメカニズム(岡部圭介、貴志和生)
4.創傷治癒に影響を与える因子(上村哲司)
5.創傷治癒と栄養(雨海照祥、一丸智美、西田奈央)
6.予防的スキンケアの意義(溝上祐子)
7.創傷とリハビリテーション(杉元雅晴)
8.創傷マネージメントと医療経済・診療報酬(桑原 靖、市岡 滋)
文献
索引