リハビリメイク
見えてくる、メイクアップセラピーという選択肢
リハビリメイク(R)を提唱してきたかづきれいこ氏が、20数年の実績と論文をまとめました。
リハビリメイクに共感する医師がその意義を論説。
コメディカルスタッフや患者本人が教科書としても使えるよう、実際の手技については写真のコマ送りで詳細に紹介 。
医療は進歩し患者さんの要求も多様化かつ高度になりつつある。そして治療結果の限界に対する不満も率直に語られる時代になった。それらの問題解決の選択肢あるいは後療法の一つとしてメイクアップが学問的に確立され,治療(セラピー)として重要になりつつあることが本書から窺がえるであろう。(『序文』より抜粋)
リハビリメイクは,外傷や疾病などにより顔に損傷を負った人の社会復帰を支援するためのメイクアップとして考案しました。
欧米で行われてきた「カモフラージュメイク」の考え方を,日本の医療の実情と日本人の心性に合うように独自の理論のもと構築・発展させたもので,カモフラージュ(患部が目立たないよう隠す)に主眼を置くのではなく,患者さんが自身の容貌を精神的に受容することを目的に,これまで20年に渡り研究と実践を重ねてきました。リハビリメイクの技術は,医療現場で患者さんと直接接するなかで試行錯誤を重ねながら開発してきたものです。今後もまだ可能性が広がっておりますので,邁進し続けたいと思います。(『刊行にあたって』より抜粋)
第I章 現代におけるメイクアップセラピーの意義
現代におけるメイクアップセラピーの意義(百束比古)
1 形成外科から(小川 令)
2 皮膚科から(船坂陽子・佐伯秀久)
3 皮膚の外見と心の悩み─サイコダーマトロジーの観点から(檜垣祐子)
4 婦人科で活かせるメイクアップセラピー(宇津木久仁子)
5 耳鼻咽喉科におけるQOL向上のメイクアップセラピー(大久保公裕)
6 身体醜形恐怖および精神障害とメイクアップセラピー(町沢静夫)
7 美容外科から(青木 律)
8 矯正歯科から(寺田員人)
9 審美歯科とリハビリメイク(田上順次)
第II章 リハビリメイク(R)の考えかた(かづきれいこ)
1 定義
2 リハビリメイクが求められる背景
3 方法
4 代表的事例
第III章 リハビリメイク(R)とカウンセリング(佐藤智子)
カウンセリングの視点からみたリハビリメイク-外観の悩みを乗り越え,自分自身を解放する
コミュニケーションを考える(佐藤智子)
第IV章 頭部顔面の解剖と医学用語解説
1 メイクアップセラピーに必要とされる頭部顔面の解剖学的な知識(島田和幸)
2 身体部位の名称と用語解説(青木 律)
第V章 リハビリメイク(R)の実際(かづきれいこ)
1 リハビリメイクを始める前に
2 スキンケア
3 血流マッサージ
4 肌づくり①②③
5 眉メイク
6 アイメイク
7 リップ
錯覚を利用したメイクアップ(青木 律)
第VI章 事 例(かづきれいこ・青木 律)
事例1 太田母斑と血管腫 顔面と手
事例2 血管腫 顔面の単純性血管腫
事例3 海綿状血管腫
事例4 ケロイド
事例5 口唇裂口蓋裂
事例6 熱傷後瘢痕 陳旧例
事例7 熱傷後色素 色素脱出,色素沈着
事例8 打撲痕
事例9 刺青
事例10 リストカット
事例11 美容医療後のトラブル・満足度向上
事例12 眼瞼下垂と術後瘢痕 顔面神経麻痺による眉毛下垂に伴う眼瞼下垂
事例13 眼瞼痙攣
事例14 顔面神経麻痺
事例15 アトピー性皮膚炎
事例16 膠原病(1)混合性結合組織病
事例17 膠原病(2)深在性エリテマトーデス
事例18 抗癌剤による副作用 眉毛・睫毛脱毛や顔面のしみ
事例19 リベド血管炎
第VII章 リハビリメイク(R)の導入例
1 スクーリングの効果(かづきれいこ)
2 リハビリメイク外来の導入─個人クリニックの例(青木 律)
3 リハビリメイク外来の導入─大学病院の例(柳田邦昭)
巻末資料
化粧品の素材と作用
リハビリメイク施術場所
コラム Moment de loisir ①~④(青木 律)
編集後記(青木 律)