画像から学ぶ びまん性肺疾患
Part1 間質性肺炎の画像診断
A 特発性間質性肺炎
IPF/UIP(岩澤多恵)
NSIP(澄川裕充)
DIP,RB-ILD(馬場智尚)
COP(冨永循哉/佐藤嘉尚/齊藤涼子)
AIP(東野貴徳)
PPFE(久保 武)
B 二次性間質性肺炎
CVDIP(1):RA,SScなど慢性経過の間質性肺炎(田中伸幸)
CVDIP(2):SLE,PM/DMなど急性経過の間質性肺炎(杉浦弘明/陣崎雅弘)
膠原病的背景をもつ間質性肺炎:IPAFとARS症候群(園田明永/田中伴典/新田哲久/村田喜代史)
CPFE(江頭玲子)
珪肺(荒川浩明)
石綿肺(加藤勝也)
慢性過敏性肺炎(立石知也)
家族性間質性肺炎(瀬戸口靖弘)
C 間質性肺炎の合併症
間質性肺炎の合併症(各種原因による急性増悪など)(西本優子/野間惠之/田口善夫)
間質性肺炎の合併症(肺悪性腫瘍)(梁川雅弘)
間質性肺炎の合併症(感染症,肺高血圧など)(叶内 哲)
Part2 間質性肺炎以外の画像診断
D 肉芽腫性疾患
サルコイドーシス(石戸谷俊太/大屋明希子/髙橋康二)
ランゲルハンスおよび非ランゲルハンス細胞組織球症(山田隆之)
E アレルギー性疾患
好酸球性肺疾患(廣石篤司/栗原泰之)
急性経過の過敏性肺炎(小野修一)
F 腫瘍性疾患ないし腫瘍類似性疾患)
肺悪性リンパ腫(岡田文人/佐藤晴佳/賀来 永)
MCDとIgG4関連疾患(小山 貴/能登原憲司/有田真知子)
癌性リンパ管症とPTTM(楠本昌彦)
G 嚢胞性疾患
LAM(飛野和則)
BHD症候群(飛野和則)
H 蓄積性疾患
肺胞蛋白症(石井晴之)
肺アミロイドーシス(藪内英剛/川波 哲/本田 浩)
肺胞微石症(萩原弘一)
I 血管炎
MPA(杉野圭史)
GPAとEGPA(黒﨑敦子)
J 感染症・急性肺障害)
PCPとCMV肺炎(宮沢 亮/松迫正樹)
呼吸器ウイルス感染症(室田真希子/佐藤 功)
ARDS(南部敦史)
K 気道病変
びまん性汎細気管支炎(審良正則)
閉塞性細気管支炎(楊川哲代/高木康伸)
COPD(八木橋国博/松下彰一郎/松岡 伸/中島康雄)
膠原病に関連する気道病変(髙橋雅士/新田哲久)
L 薬剤性肺障害
薬剤性肺障害(遠藤正浩)
びまん性肺疾患といっても多岐にわたる疾患を含んでいる.その病因は,感染性,非感染性,腫瘍性などさまざまである.本書では,びまん性肺疾患の画像診断的側面をその道のエキスパートの先生方に最新の知識を加えてご執筆いただいた.
びまん性肺疾患の診断にあたっては,臨床所見,検査所見,画像所見,得られれば病理所見を加えた総合判断が診断の基本であるが,画像所見はその診断に際して極めて重要な位置を占める.びまん性肺疾患の画像所見を考えるうえで重要な点は,既存構造との関係を考慮した病変の局在,特に二次小葉内部での病変の局在,病変の性状,その疾患の病理所見を反映する所見があるかなどであろう.画像の読影にあたっては,その背景病理を想定しつつ読影すべきであるが,現在のHRCTの空間分解能やコントラスト分解能の限界,病理所見の非特異性をわきまえなければならない.特に肺胞領域の病変に関しては,現在のHRCTでは,多くの病変が非特異的なすりガラス陰影としてしか表現されない.さらにCTの進歩による空間分解能の向上が図られなければならない.
画像診断にあたっては,常に治療を意識した画像診断が求められる点も重要である.特発性肺線維症に関しても,20年前までは有効な治療手段がなかったが,現在では臨床医は抗線維化薬という治療薬を手に入れておりいくつかの病態には有用であることがわかってきた.このような時代には,当然それに合わせた臨床画像診断が要求され,画像診断アプローチも変わってきて当然である.
本書は,疾患が多岐にわたるために,記載事項にある程度のばらつきが生じた.また用語もできるかぎり統一したが,まだ統一しきれない部分も残っている.これらの不備は,一重に編者の力不足とご容赦いただきたい.本書がびまん性肺疾患の診断治療にあたる諸先生方のお役に立つことを祈りたい.
埼玉医科大学国際医療センター画像診断科
酒井文和