PBLDで学ぶ痛み治療
―術後鎮痛から、ペインクリニック、緩和医療まで―
第I章 手術室
1 硬膜外麻酔後の神経損傷疑い(鑑別・血腫まで)(植木隆介)
2 無痛分娩による合併症(中川元文、上嶋浩順)
3 超音波ガイド下腕神経叢ブロックによる気胸(駒澤伸泰)
4 坐骨神経ブロック後の遷延性下肢麻痺(森本康裕)
5 局所麻酔薬中毒(宮﨑直樹)
6 持続静脈内フェンタニル投与と合併症(羽場政法)
第II章 ペインクリニック
7 星状神経節ブロックと合併症(滝本佳予、小野まゆ)
8 頭痛の鑑別と対応(大路奈津子)
9 複合性局所疼痛症候群の診断と治療(城戸晴規)
10 有痛性糖尿病性神経障害(今城幸裕、駒澤伸泰、南 敏明)
11 三神経痛の診断と治療(石尾純一、駒澤伸泰、南 敏明)
12 帯状疱疹・帯状疱疹後神経痛の診断と治療(金 史信)
第III章 緩和医療
13 緩和医療の基本的考え方(駒澤伸泰、池垣淳一)
14 骨転移痛への対応(駒澤伸泰、池垣淳一)
15 内臓神経ブロックとオピオイド離脱症候群(駒澤伸泰、池垣淳一)
16 呼吸困難、消化器症状、終末期鎮静(髙橋正裕)
痛みとの闘いは、人類の歴史でもある。われわれ麻酔科医は周術期、ペインクリニックさらに緩和ケア等いろいろな分野で患者の痛みに向き合っている。痛みの治療には神経ブロックやオピオイドを使用するが、これらは強力な鎮痛作用がある反面副作用にも注意が必要である。患者の安全はどのような場面でも最も重視されなければならない。
本書は、このような痛みに治療の現場で日頃遭遇する問題点を中心にProblem-Based Learning Discussion(PBLD)形式で理解を深めてもらうことを目的として編集した。PBLD は新しい医学教育の手法として各種学会で行われているが、公開されることは少ない。われわれはすでに周術期管理についてPBLD 形式の二冊の本を上梓したが、この形式が麻酔科領域での知識習得や他職種の連携構築に有効であることを実感している。本書についても職場であるいは自宅でゆっくり読んでいただき、他書も参考にしながら安全でかつ有効な痛み治療の実践につなげていただきたい。
本書の企画・編集を助けてくれた大阪医科大学麻酔科学教室の駒澤伸泰先生、多大なご協力を賜った克誠堂出版の関貴子氏に心から感謝します。
2018 年3 月
遅い梅の季節に
森本 康裕