新臨床麻酔スタンダード I 総論
―臨床麻酔で知っておきたい基礎知識―
著者 | 森本康裕 編 |
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ISBN | 978-4-7719-0533-7 |
発行年 | 2020年 |
判型 | B5 |
ページ数 | 430ページ |
本体価格 | 9,900円(税抜き) |
電子版 | あり |
M2Plus<電子版>
2020年5月発売! 日々の臨床麻酔を、より深く考えながら実践したいDr.への教科書。麻酔科専門医が初期研修医に指導する際に必要と思われる章立で企画
第1章 術前管理 (讃岐美智義) 1
第2章 全身麻酔に使う装置と器具 (木山秀哉) 23
第3章 気道確保と気管挿管 (浅井 隆) 37
第4章 気道確保困難時における対応 (水本一弘) 59
第5章 麻酔深度と徴候 (萩平 哲) 71
第6章 吸入麻酔薬 (森本康裕) 95
第7章 静脈麻酔薬 (増井健一) 117
第8章 オピオイド (小原伸樹) 135
第9章 筋弛緩薬 153
A.神経筋接合部 (稲垣泰好,笹川智貴) 154
B.筋弛緩モニター (岩崎 肇,笹川智貴) 156
C.代表的な筋弛緩薬の分類と作用 (笹川智貴) 160
D.拮抗薬・回復薬 (鷹架健一,岩崎 肇) 165
第10章 麻酔と呼吸器系 (磯野史朗) 171
第11章 麻酔と循環器系 (坪川恒久) 191
第12章 麻酔と中枢神経系 (阿部龍一,川口昌彦) 233
第13章 麻酔と凝固系 (香取信之) 247
第14章 麻酔と体温 (溝部俊樹) 269
第15章 区域麻酔 (中本達夫,吉田敬之) 287
第16章 硬膜外麻酔と脊髄くも膜下麻酔 311
A.硬膜外麻酔 (村上裕一,近江禎子,高崎眞弓) 312
B.脊髄くも膜下麻酔 (内海 功,近江禎子,佐伯 茂) 328
第17章 周術期輸液 (飯島毅彦) 345
第18章 麻酔と体位 (佐伯 昇) 363
第19章 手術室の空調,医療ガス,滅菌と消毒 (水谷 光) 377
第20章 手術室と医療安全 (長田 理) 391
第21章 麻酔科医とIT (片山勝之) 403
第22章 麻酔科医と手術室運営 (下出典子) 411
索引 423
克誠堂から「麻酔科学スタンダード」を改訂したいと相談があったのは2年前のことだった。同書は私の知識の源泉というべき存在だったので一も二もなくお引き受けした。しかし、「麻酔科学スタンダード」の刊行から20年近く経過しており麻酔科をめぐる状況は大きく変化している。そこでその精神は受け継ぎながら「新臨床麻酔スタンダード」としてより臨床に即した内容にリニューアルすることとした。本書は特に麻酔専門医試験対策を意識したものではない。麻酔科専門医が日々の臨床で、あるいは初期研修医に指導する際に必要と思われる項目を網羅したつもりである。また、滅菌や医療安全など手術室運営に必要な項目を追加した。
近年麻酔科領域での書籍は多く発売されているが、その多くは、Q&A集であったり最新の知見を簡潔にまとめたものが多い。これらは確かに短時間に麻酔のポイントをつかむことができる便利なものである。しかし、麻酔科学の深みを本当に学ぶには役不足ともいえる。掲載されている参考文献を自分で読み直してみればよいのだが、そこまで実践している読者は少ないのではないだろうか。これら最近の本が氷山の水面から上のみを記載しているとすると、本書は表面からみえない水面下の深い知識を解説する骨太な教科書として企画した。最新のエビデンスは時代によって変化することがあるが、根っこの部分は時代が変わっても不変である。本来は平成の集大成のつもりでスタートした企画であるが、令和時代の標準的な教科書として日々の臨床の前後で活用してもらいたい。今後各論に続く予定なので続刊にも期待して欲しい。
企画・編集にあたっては、萩平哲、木山秀哉、坪川恒久の3先生に御協力頂いた。深く感謝する。また、多忙な臨床の傍らで素晴らしい原稿を執筆頂いた著者の先生方にも感謝したい。本書は、これら著者の麻酔科学への深い情熱と知識によって実現したといっても過言ではない。最後に、多大な協力を賜った克誠堂出版の関貴子氏に心から感謝する。
2020年緊急事態宣言の出た日本から未来に希望をこめて
宇部興産中央病院麻酔科
森本 康裕