形成外科基本手術01
シンプルスタンダードを匠のこだわりの技で
編集 | 岡崎 睦 |
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ISBN | 978-4-7719-0569-6 |
発行年 | 2022年 |
判型 | A4 |
ページ数 | 240ページ |
本体価格 | 12,000円(税抜き) |
電子版 | あり |
M2Plus<電子版>
目指したのは,「本書を見れば,形成外科の代表的手術を,エキスパートと同じように誰でもできるようになる」こと。類書とは全く異なるコンセプトで,①「手技の解説」に徹し,②既存の写真ではなく新たに多くの写真を撮影してもらい,③各頁左に写真を数多く配して文章を最小限とし,④基本手術だけでは「つまらない」と感じる執筆者のモチベーションを高めるべく,各項末尾に「ぜひ伝えたいこと(=Supplements)」を加えて編集した。
顔面先天異常の形成術
01 先天性眼瞼下垂症に対する治療/1
野口 昌彦[長野県立こども病院形成外科]
02 片側口唇裂初回口唇形成術/15
杠 俊介[信州大学形成再建外科]
03 両側口唇裂初回口唇形成術/35
益岡 弘[関西医科大学形成外科]
04 埋没耳に対するLarge Z plasty/47
四ッ柳高敏[札幌医科大学形成外科]
05 立ち耳の形成術/57
四ッ柳高敏[札幌医科大学形成外科]
乳房の手術
06 広背筋皮弁を用いた乳房再建術/65
飯田 拓也[獨協医科大学形成外科]
07 乳房再建のためのティッシュ・エキスパンダー留置およびインプラント再建術/75
矢野 智之[がん研有明病院形成外科]
08 女性化乳房に対する外科的治療(皮下乳房切除術)/87
植村 法子[東京医科歯科大学形成・美容外科]
四肢の手術
09 母指多指症手術(Wassel ⅣまたはⅤ型)/101
齊藤 晋[京都大学形成外科]
10 合指症手術(完全複雑型)/111
齊藤 晋[京都大学形成外科]
11 指尖部損傷に対する局所皮弁を用いた再建術/119
宇佐美 聡[東京手の外科・スポーツ医学研究所/高月整形外科病院手外科・形成外科]
12 狭窄性腱鞘炎(ばね指)に対する腱鞘切開術/127
宇佐美 聡[東京手の外科・スポーツ医学研究所/高月整形外科病院手外科・形成外科]
13 外側列多合趾症に対する多趾症手術・合趾症手術/137
鳥谷部荘八[仙台医療センター形成外科・手外科/東北ハンドサージャリ―センター]
14 CLI の下肢大切断(BK 切断)/145
辻 依子[神戸大学形成外科]
ケロイドの外科的治療
15 前胸部ざ瘡ケロイドの切除および縫合法/155
小川 令[日本医科大学形成外科]
顔面神経麻痺に対する再建手術
16 陳旧性顔面神経麻痺の眉毛下垂に対する眉毛挙上術(眉毛上皮膚切除)/169
岡崎 睦[東京大学形成外科]
移植材料の採取
17 大腿筋膜採取/181
垣淵 正男[兵庫医科大学形成外科]
18 腓腹神経採取/191
田中顕太郎[東京医科歯科大学再建形成外科]
19 腸骨採取(ブロック骨・海綿骨)/203
今井 啓道[東北大学形成外科]
20 肋軟骨採取法―小耳症手術を例として―/215
北田 文華[札幌医科大学形成外科]
目指したものは,“この書籍を見れば,形成外科の代表的手術を,エキスパートの先生方のこだわりで,エキスパートの先生方と同じように,誰でもできるようになる書籍”です。
克誠堂出版「形成外科」誌編集部の堀江さんから,「形成外科のスタンダード手術」の編集をもちかけられました。これは,2007年に同社から出版された「形成外科」誌『創刊50周年記念増刊号:形成外科手術スタンダード30』の評判がよく,今でも売れているが,そろそろこれに相当する新しい書籍を出版したい,と言われたのが始まりでした。
昨今,非常に多くの類書が出ており,手術手技のビデオライブラリーも充実してきています。そのような中で,そもそも医師数が少ない形成外科の分野で新たな専門書を出版しても,「赤字を出さない」のは至難の業だと感じましたが,心底から手術が好きで,手術が上手くなりたいと思っている多くの形成外科医の役に立ちたいという気持ちから,本書が目指すべきものを考えるところから始めました。
その結果,以下のように,既刊の類書とはまったく異なるコンセプトで編集することになりました。
② 形成外科の代表的手術において,手技の解説に徹した書籍にすること
②分担執筆の先生方には,過去に行った手術の既存の写真を使うのではなく,今後行う手術について,この書籍を執筆するためだけに写真を多く撮ってもらい,それを使ってプロスペクティブに執筆していただくこと
をお願いしました。これにより,執筆の先生方の技と注意点を余すところなく伝えることができる手技書になりました。その一方で,新たに症例が来ないと執筆できないため,「脱稿された順」で出版することにならざるを得ず,第1巻としての本書は,バラバラの内容(目次)になっています。
さらに,
③肩書や年齢,研究業績等に関係なく,「現在,実際に,手術を第一線で行っていると考えられる先生方」のみに,執筆を依頼することにしました。
④各頁の左側に写真を数多く配し,文章を最小限にしながら,右側には「手術のポイント」と「注意点」を写真に即して配するようにしました。
⑤標準手術について執筆するだけでは“つまらない”と感じる先生方もいらっしゃるのではないかと考え,この企画に参入していただく先生方のモチベーションを高めるべく,最後に「執筆者がぜひ伝えたいと思うこと」(「Supplements」)を書いていただくことにしました。これにより,読者の先生方に二回楽しんでいただける書籍になったのではないかと思っています。
形成外科の基本手術をこれから学んでいく専攻医の先生から,基本手術であっても自分の専門外なので,手術をする前にエキスパートのコツをつかんでおこうとされるベテランの先生まで,手術が好きなすべての形成外科医に本書を贈りたいと思います。
2022年9月
岡崎 睦