サルコイドーシス診療の手引き2023
編集 | 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会 |
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ISBN | 978-4-7719-0583-2 |
発行年 | 2023年 |
判型 | B5 |
ページ数 | 240ページ |
本体価格 | 5,000円(税抜き) |
電子版 | あり |
M2Plus<電子版>
主要臓器病変として呼吸器、眼、皮膚、心臓、神経の項を設けている。多臓器に病変が及ぶことがあるので臓器病変、特殊病態などの項を設け、診断と治療を解説している。
~概要~
1章 疾患の概要と語句の定義
2章 治療総論
~解説~
1章 サルコイドーシスとはどのような疾患か
2章 診断基準と重症度分類
3章 治療薬剤
4章 腫瘍臓器病変
5章 その他の臓器病変
6章 特殊病態や影響する病態
7章 症候群など
サルコイドーシスは全身性の肉芽腫性疾患であり,ほぼすべての臓器・組織で病巣を形成する。 病変は,肺,リンパ節,眼,皮膚に多く認められるが,心臓,神経,骨,筋,肝臓,脾臓,消化 管,腎臓,外分泌腺,上気道,生殖器,内分泌腺,骨髄など多くの臓器に及ぶ。さらに,他疾患との鑑別が困難な全身の疼痛・慢性疲労などの臓器非特異的な全身症状が加わることもあり,その臨床像はきわめて「多彩」である。また,各々の病変は短期間で自然に改善するものから,慢性化するもの,悪化して治療を必要とするもの,さらに治療に抵抗して難治化するものまであり, その臨床経過はきわめて「多様」である。治療薬としては,副腎皮質ステロイド(ステロイド薬)が短期的には効果が期待できるので第一選択になると考えられる。しかし,ステロイド薬の功罪 が明らかとなり,心臓病変や神経病変などの生命予後に影響する病変を除いては,欧州呼吸器学 会の治療ガイドラインでは,肺サルコイドーシスを3つのリスクに分けて考え,高リスクでは積極的にプレドニゾロン20 mg/日で治療を行い,中リスクには可能な限り少量のステロイド薬を投与し,反応良好であれば速やかに減量し,経過不良であれば,メトトレキサートなどの第二選 択薬を検討することが提案され,低リスクでは無治療で経過観察し,経過不良の例のみステロイド薬を検討するとように提案されている。本手引きでも低用量と中用量でのステロイド薬の治療 を推奨している。
本疾患は呼吸器病変の合併頻度が高く,サルコイドーシスの疑い症例は呼吸器内科に受診され, 診断・治療されることが多いので,厚生労働省の指定難病としても歴史的に呼吸器疾患に分類さ
れている。
『サルコイドーシス診療の手引き 2023』では,2020 からの形式の概要と解説をそのまま踏襲した。概要には治療総論を設け,解説にはサルコイドーシスの全体像,診断基準,治療薬を解説し,主要臓器病変として,呼吸器,眼,皮膚,心臓,神経の項を設け,各専門領域の医師を対象に診 断と治療を解説している。さらに,本疾患が多臓器に病変が及ぶことがあるので,臓器病変として,骨,筋,肝臓,脾臓,消化管,腎臓,外分泌腺,上気道,生殖器,内分泌腺,骨髄・血液,高カルシウム血症などの特殊病態などの項を設け,診断と治療を解説している。臓器病変として,数%程度のものもあり,各臓器の専門領域の医師にコンサルトしても明確な回答が得られない疾 患でもある。多臓器に病変が出現している場合には,日常生活に支障を来すことが多い疾患である。適切な治療が必要な臓器病変も含まれているので,各臓器病変の項を参考にして,診断と治療を行ってほしい。また,主要臓器において,CQ/Aを設けているので,参考にして,診療にあたってほしい。この診療の手引きによって,ひとりでも多くのサルコイドーシスの患者さんがよりよい診療が受けられるようになれば幸いである。
2023 年 6 月
日本サルコイドーシス/肉芽種性疾患学会
サルコイドーシス診療の手引き作成委員会