56誤正⃝術者は常に,乳輪の下に一定の厚みを残すことを意識して,自身もしくは助手に牽引してもらう。91乳腺組織注意点⃝乳輪下は皮下組織が疎のためか,薄く削げやすい。術後の陥凹変形を予防するために,意識的に厚く残す。厚い分には,術中もしくは術後でも修正が可能である。20mLシリンジを用いて20〜30mLを浅筋膜上に注入する。皮膚皮下脂肪を摘まむと浅筋膜がわかることが多いので,この層に注入する。皮膚切開▪15番メスで行う。中程度以上の突出の場合は,メスと反対の手で乳房を握り,皮膚にテンションをかけると切りやすい。乳腺組織の離断▪まず,乳腺組織の中央部を乳頭乳輪から離断する。▪乳輪縁切開後,スキンフックなどで乳輪を頭側に牽引し,皮下脂肪を少量剥離すると,白く硬い線維性組織が現れる。これが乳頭に続く乳腺組織である。▪乳腺組織は乳輪下に「残す厚み」を意識しながら,形成剪刀で離断する。乳輪側に示指を添えて,牽引した乳輪に並行になるように剪刀で切っていくと,「残す厚み」が一定になる。Point⃝ジグザグ切開の場合は,15番メスを突き刺すようにするとちょうど1辺の長さが切れる。脂肪層が見えるまで一気に切って よい。Point⃝乳輪側の牽引が強すぎると,剪刀の方向が下向きとなり,乳腺内を突き進むことになってしまう。
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