45⃝神経や血管が走行する層に入ったら,目的の組織を損傷しないように丁寧にモスキートペアンで脂肪組織を剥離していく。⃝切開部位から横方向に両側を剥離すると,近傍を走行する組織を確認することがで きる。⃝静脈は内腔が青色に見えることが多いが,念のためpatency testを行うことを推奨する。2つ並べて見比べても同定に迷うことを時々経験する。したがって,2本の鑷子を用いて内腔を虚脱させ,遠位側の鑷子を開放すると血液が流入して内腔が拡張することを確認する。194注意点⃝どちらの組織か迷う場合には,patency testはあまり力を入れずにそっと行いたい。鑷子で強くしごくことによる神経組織の挫滅を防ぐためである。下図では腓腹神経にpatency testを試みているが,撮影用に行っており力はほとんど入れていない。そっと軽くつまんでみると内腔が閉塞する感覚が得られないため,神経組織であることの予測がつくはずである。神経および血管の確保▪腓腹神経と近傍の小伏在静脈を確認できたら,それぞれに血管テープをかけて確保する。小伏在静脈の確認(patency test)▪patency testを行い,小伏在静脈を確実に同定する。PointPoint⃝腓腹神経と小伏在静脈は近接して走行しているので,お互いが相手の走行のメルクマールとなる。1つの組織を同定したら,その周囲の剥離をさらに進めて必ず2つの組織を確認しておいた方がよい。それによって,誤って神経ではなく静脈を採取してしまうというリスクを回避できる。
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