● 疫学,術前評価❶ ステントグラフト内挿術の適応■ 一般的には下行大動脈の動脈瘤に行われるが,腹腔動脈,上腸間膜動脈,両側腎動脈が動脈瘤に含ま■ 近年は大動脈弓部に大動脈瘤がある場合も上行大ステントグラフを置いた際にグラフトにより閉塞してしまう左鎖骨下動脈,左総頸動脈,腕頭動脈に上行大動脈,腕頭動脈,腋窩動脈などから人工血管でバイパス手術を行ってからステントグラフトを留置するdebranch―胸部大動脈ステントフラフト留置術(thoracic endvascular aortic repair:TEVAR)を行う場合もある。(図1)■ ACC/AHAのガイドラインでは下行大動脈に関しては ・5.5 cm以上の変性または外傷性の動脈瘤 ・囊状瘤 ・術後仮性瘤 クラスIBで推奨されている。 結合織疾患では推奨されていないが,切迫破裂の回避や開胸手術までのつなぎの治療,先行手術の人■ 開胸開腹手術との比較 ・30日死亡率,合併症はステントグラフトでは減少する。 ・周術期死亡率,神経学的合併症も減少する。❷ ステントグラフトと脳脊髄虚血 1 脊髄虚血■ 開胸開腹の胸腹部大動脈瘤では7~8%の下肢麻痺が起こるとされているが,ステントグラフト内挿■ ステントグラフトの場合,開胸開腹手術で行える肋間動脈の再建,大前根動脈の再建が行えないため脊髄虚血に関しては不利なように思えるが,単純に脊髄の分節動脈からの血流のみで脊髄が灌流されているわけではなさそうである2)。■ Grippeらの提唱したCollateral network conceptによると,脊柱管周囲の筋肉からも血流が維持03412122れる胸腹部大動脈瘤も分枝付きの人工血管を用いて行われる症例も増加してきている。工血管内にランディングゾーンがある場合などは例外的に認められている。術では4.5%前後とされており麻痺の発症率は低い1)。されており,ステントグラフトで肋間動脈再建を行わずとも脊髄虚血に陥らない症例が多い。・Zone0:上行大動脈から腕頭動脈・Zone1:腕頭動脈から左総頸動脈・Zone2:左総頸動脈から左鎖骨下動脈・Zone3:左鎖骨下動脈からTh4上縁・Zone4:それ以下図1 ランディングゾーン分類25ステントグラフト内挿術
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