ペインクリニック 論文④ 212表 圭一Genetic predictors of recovery in low back and lumbar radicular pain.Bjorland S, et al. Pain 2017 ; 158 : 1456─60. ■背景 ■方法 ■結果生涯で,腰痛を経験する人は,70─80%といわれている.腰痛を生み出す要因として,個々人の要因(性,年齢,喫煙,肥満,教育レベル,精神状態など)以外に,遺伝子素因が示唆されている1).近年では遺伝子研究手法の進歩により,多くの疾患の分子レベルにおける検証が進められるようになったが,椎間板の退行性変性など腰下肢痛に結びつく数多くの遺伝子要素の研究も行われている2).本研究では,腰下肢痛患者における長期にわたる痛みからの回復度に関する一連の遺伝子変異体を検証した.この結果から.遺伝子要因が,腰下肢痛患者における長期間にわたる回復についての予測できる因子となるかもしれない.対象は,腰椎椎間板ヘルニアによる腰部神経根症患者(270名)と腰痛患者(148名)の計418名(椎間板ヘルニアによる下肢痛を有する腰痛,馬尾症候群,脊柱管狭窄症,腰椎手術既往者などは除外)とし,5年間の追跡調査を行った.痛みの程度は視覚アナログスケール(VAS)により評価した.遺伝子検査は,血液または唾液からゲノムDNAを抽出し,一塩基多型〔single nucleotide polymorphism : SNP(ある生物種集団のゲノム塩基配列中に一塩基が変異した多様性が見られ,その変異が集団内で1%以上の頻度で見られる場合)〕の遺伝子決定を行った.痛みの追跡調査と8遺伝子(VDR,COL11A,MMP1,MMP9,IL-1alpha,IL-1RN,OPRM1,COMT)の間の相関関係をunivari-ate and multivariate linear regression 分析で行った.調査開始からの5年後,296名を最終対象者とした.5年後の痛み強度に対する多変量分析において,MMP9(matrix metallopeptidase 9)SNPとOPRM1(opioid re-腰下肢痛からの長期回復には, 遺伝子要素が関わっている18
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