CAACTAAAGTGAAACACTGAAGTGAAA213スニップSNPComments1つの塩基 2) Hirose Y, et al. A functional polymorphism in THBS2 that affects alternative splicing and MMP binding is associated with lumbar-disc herniation. Am J Hum Genet 2008 ; 82 : 1122─9.ants. J Cell Mol Med 2009 ; 13 : 1605─19.図 一塩基多型により,腰下肢痛の予後が変わるceptor mu 1)SNPだけが痛み強度と相関関係が認められた.MMP9 SNPの希少対立遺伝子(rare allele)を有する患者は,回復の悪い疼痛と 相関を示し(P=0.026),逆に,OPRM1 SNPの希少対立遺伝子を有する患者は良好な疼痛回復の相関性が示された(P=0.007). ●参考文献 1) Tegeder I, et al. Current evidence for a modulation of low back pain by human genetic vari-ヒトゲノムが全解読されて,多くの疾患の分子病態解明が進みつつある.これは,遺伝情報からの治療法の開発だけではなく,疾患の予後予測にも貢献することが期待される.本研究では,腰下肢痛患者の長期間にわたる痛みの経過,回復度が事前に予測することが可能となるかを調査したものである.これまで椎間板変性に関わる遺伝子として,MMP1,VDR,IL-1alphaなどのタンパク質を遺伝コード化する遺伝子変異体が報告されているが,本研究のような長期間にわたる回復調査に関する研究は初めてである.MMP9 SNPの希少対立遺伝子を有する腰下肢痛患者の長期予後は,回復不良が示された.MMP9は,細胞外マトリックスの構成成分であるゼラチン,コラーゲンやエラスチンを分解する活性を有する.また,サイトカインなどの生理活性ペプチドの活性化など,さまざまな生理現象(骨リモデリングや創傷治癒,炎症やがんの進行など)に関与している.一方,OPRM1 SNPの希少対立遺伝子を有する腰下肢痛患者の長期予後は,回復良好が示された.この遺伝子は,muオピオイド受容体(MOR)をコード化し,知覚伝達や疼痛修飾に寄与する.MORは,内因性オピオイドペプチド(βエンドルフィンやエンケファリン)の主たるターゲットである.この内因性鎮痛に関与する遺伝子型が回復に寄与していると考えられる.以上より,腰下肢痛を起こす,またはその回復を妨げるさまざまな要因に加え,遺伝子要因が,長期間の痛みの回復度に相違が見られることになることが予想される.このような研究が進むことで,疼痛治療の戦略に新たな改革が生まれると思われる.
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