■ 麻酔の作用機序論文①NNもANNBC2H2N廣田 弘毅著者らは,光感受性のある全身麻酔薬アゾ化プロポフォール(azo-propofol : AP2)の合成に成功した(図─A).AP2は,トランス型では通常の薬理活 性(全身麻酔作用)を有するが,360─450 nm波長の紫外線(ultraviolet : UV)を照射するとシス型に構造変異し,薬理活性を失う(麻酔作用がなくなる)性質を持つ(図─B).アフリカツメガエルの卵母細胞にγアミノ酪酸(gamma-aminobutyric acid : GABA)Aレセプタを発現させた.また,AP2を水槽のオタマジャクシに投与し,UV照射による全身麻酔修飾効果を検討した.AP2はプロポフォールと同様に,GABA誘発性Cl−電流を促進した.このAP2によるGABA誘発性Cl−電流の促進作用は,UV照射により消失した.また,水槽内にAP2を投 ■背景 ■方法 ■結果UVライト麻酔ポケットプロポフォール分子アゾベンゼン化アゾ化プロポフォールGABAAレセプタアゾ化プロポフォールHOHONH2Wake up!Koki図 光で麻酔をコントロールA:光感受性のある全身麻酔薬アゾ化プロポフォール.プロポフォール分子のベンゼン環をアゾベンゼン化した.B:アゾ化プロポフォールは,トランス型では通常の薬理活性(全身麻酔作用)を有するが,360─450 nm波長の紫外線(UV)を照射すると,シス型に構造変異し薬理活性を失う.C:水槽内にアゾ化プロポフォールを投与するとオタマジャクシは麻酔されるが,UV照射により泳ぎだす.Azo-propofol : Photochromic potentiators of GABAA receptors.Stein M, et al. Angew Chem Int Ed 2012 ; 51 : 10500─4.光で全身麻酔をコントロールする
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