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■ 循環管理論文④前田 琢磨外傷を受けたあとに,通常の処置に加えて病院到着前に新鮮凍結血漿(fresh frozen plasma : FFP)を投与することで,出血からショックへという患者の落ち込みのリスクを軽減するかもしれない.しかしながら,FFP投与の有効性とリスクを鑑みた大規模臨床試験のデータはなかった.本研究では,主要評価項目を30日後死亡とした.病院到着前に解凍FFPを出血性ショックに陥りそうな外傷患者に投与することの有効性と安全性を検証するため,患者を空輸中に解凍FFPの投与群と標準治療群とに割り付けして比較する多施設クラスター無作為化第Ⅲ相優越性試験を計画した.501名の患者が割り付けられた.230名はFFPを投与され(FFP投与群),271名は標準治療を受けた(標準治療群).30日後死亡率はFFP投与群のほうが標準治療群より有意に低かった(23.2 vs 33.0%,30日死亡率の差−9.8%,95%信頼区間−18.6─−1.0%,P=0.03).事前に規定した9つのサブグループすべてで同様の治療効果が認められた(不均一性のχ2検定12.21,P=0.79).カプラン・マイアー曲線では,これらの治療群の死亡率の解離は無作為化の3時間後という早期から始まり,30日後まで差が継続した(ログランクχ2検定5.70,P=0.02).外傷センターに到着後のプロトロンビン時間比の中央値は,FFP投与群で有意に低かった〔1.2(四分位範囲1.1─1.4) vs 1.3(四分位範囲1.1─1.6)〕.多臓器不全,急性肺損傷,急性呼吸促迫症候群,院内感染,アレルギー反応もしくは輸血関連反応についてはFFP投与群と標準治療群の間に有意差はなかった.80 ■背景 ■方法 ■結果Prehospital plasma during air medical transport in trauma patients Sperry JL, et al. N Engl J Med 2018 ; 379 : 315─26.at risk for hemorrhagic shock.先生,めっちゃ出血してます!  よし,先制的にFFPを入れよう!

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