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1術前管理の流れとポイント有する患者の手術が予定された段階で各科からの相談が来るような連携体制を構築しておくことは、対応にも時間的余裕が生まれることもあり望ましい。予定手術の麻酔管理は、術前管理で決まると言っても過言ではない。 麻酔科の術前管理は、下記により構成される。 ①情報収集:患者の既往疾患や内服薬、身体情報の把握、手術術式の把握(術式などで不明な点があれば、術者や主治医とのコミュニケーションが必要) ②医療面接・身体診察 ③医師—患者の信頼関係を築くこと(麻酔方法や麻酔合併症の説明と麻酔承諾) ④術前・術中・術後の麻酔管理計画の立案 ⑤術前準備:病棟への術前指示(術前投薬、絶飲食時刻、手術室への入室方法) ⑥症例情報提示(麻酔科医と手術スタッフとの情報共有) 麻酔の術前管理の流れを図1に示す。第1章術前管理―はじめに― 麻酔の術前管理とは、術中の麻酔に関連することだけでなく周術期に起こり得る事態を想定して、術中から術後までの対応を術前に準備することをいう。そのためには、患者情報の収集(手術歴、病歴、生活歴、術前使用薬、術前検査)、術前診察と評価(患者の全身状態と基礎疾患の評価)、手術の中止・延期の検討、麻酔の説明と同意(リスクとインフォームドコンセント、患者がかかえる不安の把握と解消)、麻酔管理計画の立案、術前準備(術前絶飲食、麻酔前投薬)、手術スタッフとの患者情報の共有と多職種連携が必要である。術前管理を怠ると、術中・術後に患者に不利益をもたらすため、これらを取りこぼしなく系統的に行うことが求められる。 麻酔科医にとって術前診察あるいは術前回診は患者の全体像把握に必要不可欠であるだけでなく患者とのコミュニケーションの機会であるととらえる必要がある。入院科の主治医は、手術までに通常数日の時間的余裕があるが、麻酔科医にはせいぜい1~2日しか与えられないため、術前診察時に患者に信用してもらえなければ麻酔管理の第一歩を踏み出せない。合併症を図1 麻酔の術前管理の流れ2カルテチェック医師記録,看護記録,薬歴検査(検体,画像,生理機能)麻酔申込内容(術式,手術時間,術後管理病棟)麻酔科問診表医療面接・診察情報収集術前診察説明と同意麻酔方法と合併症の説明(患者および家族)麻酔同意書に署名麻酔管理麻酔管理計画の立案(術前・術中・術後管理計画)計画術前指示絶飲食,投薬中止・継続手術室入室時刻,入室方法術前準備症例情報共有麻酔科医と手術スタッフとの情報共有

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