後枝内側枝椎間関節下位横突起上縁の乳様突起・副突起間■帯の部位(a)骨モデル(b)シェーマ図4 腰神経後枝内側枝の解剖 腰神経からほぼ直角に背・尾側へ内側枝が分岐し、下位椎の横突起上縁で乳様突起と副突起間の溝(〇印の部位)を通過後に、上下2本の関節枝を分岐し、上下の椎間関節を取り囲むように分布する。[橋爪圭司.腰部椎間関節ブロック《含:後枝ブロック》.森本昌宏ほか編.“痛み”のX線透視下インターベンショナル治療〜日常診療手技から最新の低侵襲手術まで〜《Web動画付き》.東京:克誠堂出版;2020. p.159─68より転載] 椎間関節症の症状は、特定の姿勢、運動により誘発される背部痛で、後屈時に多く見られる。したがって、後屈制限を伴うことが多い。他覚的には、罹患椎間関節部の明らかな圧痛を認める(one point tenderness)。また、棘突起の揺さぶりによって痛みが誘発されることがある。明白な神経根症状は通常認めないが、四肢への放散痛やKemp兆候を伴うことがあり、鑑別に迷う場合もある。椎間関節の高位に応じて、自覚的■痛や診断的ブロック時の再現痛(放散痛)の分布が一定の傾向を示す(図5)6)。したがって、自覚的な痛みの場所から、病変椎間関節の高位をおおよそ推測することができる。 診断を確定できる他覚的テストや特徴的な画像所見が乏しい(X線写真上で関節症変化があっても、それだけでは診断にはならない)ため、椎間関節ブロックの診断的価値が重視されている。X線透視下7)または超音波ガイド下8)に椎間関節を■刺し、関節内に薬液を注入したときに痛みの再現性が見られ、その後、痛みが改善すれば椎間関節症との機能的診断がなされる。または、後枝内側枝が横突起頭側縁を通過する乳様・副突起■帯下に針先を誘導して薬液を注入する後枝内側枝ブロックの効果で判定することもある。 超音波ガイド下法は放射線被曝がなく、■刺経路上の血管が認知できるなどの利点がある。一方、造影像を確認できるX線透視下法と比較して、関節包からの漏出の有無、および硬膜外腔や神経根への1196 臨床症状と理学的所見 診 断腰椎椎間関節症
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