《まとめ》 1) Gogarten W, et al. Regional anaesthesia and antithrombotic agents: Recommendations of the European society of anaesthesiology. Eur J Anaesthesiol 2010; 27: 999─1015. 2) Vela Vasquez RS, et al. Aspirin and spinal hae-matoma after neuraxial anaesthesia: Myth or reality? Br J Anaesth 2015; 115: 688─98. 3) 日本ペインクリニック学会・日本麻酔科学会・日本区域麻酔学会合同ワーキンググループ.抗血栓療法中の区域麻酔・神経ブロックガイドライン.2016.2 h282To be discussed 文 献 不可逆な阻害であるため半減期は関係しない。また、冠動脈ステント留置患者や血栓塞栓症の二次予防などの理由で服用している場合には、5日間程度の短い休薬期間も考慮される。中リスク群の手技においては症例ごとに決定する。(日本ペインクリニック学会・日本麻酔科学会・日本区域麻酔学会合同ワーキンググループ.抗血栓療法中の区域麻酔・神経ブロックガイドライン.2016より引用)表1 アスピリンの休薬期間アスピリン表2 区域麻酔、神経ブロック手技に際する出血リスク分類血小板数低下時における硬膜外麻酔出血性素因を有する患者への硬膜外麻酔血小板数低下時における脊髄くも膜下麻酔出血性素因を有する患者への脊髄くも膜下麻酔出血性素因を有する患者への深部神経ブロック実は、高用量アスピリンが血栓傾向を作り出す十分な根拠はまだ示されていません。ただし、以下の3つの理由から、そのように考えられています。❶COX-2選択性の高い、もしくは高用量の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)によって血栓性の血管イベントが増加すること。❷血小板の活性化や血栓症の感受性を増加させることがマウスによる実験で示されていること。❸メタ解析を比較した少数の無作為化比較試験によって観察されていること。覚えておくべきことは、COX-1を阻害する、すなわち抗血小板作用を有するアスピリンの量は低用量で十分だということです。アスピリンは“低用量であれば安全”でないということは上述のとおりです。血腫の発薬剤血小板機能の抑制機序TXA2阻害高リスク半減期高リスク7d(5d)中リスク硬膜外麻酔脊髄くも膜下麻酔深部神経ブロック血小板数低下時における体表面の神経ブロック出血性素因を有する患者への体表面の神経ブロック生は、永続的な神経障害へつながります。下肢の筋力低下、感覚障害や膀胱直腸障害が出現した場合には、一刻も早く外科的処置を必要とする場合があります。異常所見は絶対に見逃さないようにしましょう!休薬期間中リスク低リスク体表面の神経ブロック(杉浦 孝広)低リスクなし
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