一歩進んだ麻酔管理:常識は常に真実か?
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B100A100EVEPM% lortnoc-noisseS%9 01 01 〜それならば患者に不利益が生じます〜(Hayhurst CJ, et al. Anesthesiology 2016 ; 124 : 483─8)444424投薬前3.2 mg/kg/day6.4 mg/kg/day休薬後80604020モルヒネ(mg/kg)8060402010モルヒネ(mg/kg)100❽のように、術中麻薬を投与して術後の必要量が増えれば、それに見合った量を投与することにより、解決する気がしますよね。まさに、これこそ患者自己調節鎮痛法(PCA)なのですから。筆者自身もそう思って術中麻薬をたくさん投与していました。この考えに警鐘を鳴らしたのはHayhurstら1)の教育的原稿でした。Paronisら2)は、サルにモルヒネを投与すると、痛みに対する耐性は生じたが、呼吸抑制に対する耐性は生じなかったこ図 効果別モルヒネ耐性サルにモルヒネを4週間筋注投与し、A:50度の湯に対するモルヒネの抗侵害受容作用、B:モルヒネの呼吸に及ぼす影響を示している。MPE: maximum possible effect, VE: minute ventilation(Paronis CA, et al. Ventilation in morphine-maintained rhesus monkeys. II: Tolerance to the antinociceptive but not the ventilatory effects of morphine. J Pharmacol Exp Ther 1997; 282: 355─62より改変引用)とを示しました(図)。これは、サルであること、麻薬の種類がモルヒネであること、麻薬曝露期間が比較的短期間でないことなどから、日本で一般的に行われている術後患者と同じでない可能性はありますが、“麻薬の必要量増加に応じて、投与量を増加させても安可能性がある”ことが示されて、全ではない驚きますね。同様の事象は、腸管運動抑制に関しても報告されています。Dumasら3)は、腸管運動10麻酔薬・鎮静薬・拮抗薬麻薬の耐性のでき方は効果によって違う

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