集中治療のエッセンス
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1「蘇生」といえば、心肺蘇生法(CPR)を思い浮かべることが多い。CPRはヘルスケアトレーニングの重要な部分を占めており、国際組織によって蘇生法のプロトコルが策定されている。しかし、院内CPR後の生存退院率は悪く、電気的除細動の適応がある場合で約50%、適応がない場合では10~14%である1)。一般的に認識されているCPRは、現実よりもはるかによい結果を伝えるテレビの情報によってなされている面が大きい2)。心停止後の救命に対し、多くの注意とトレーニングに焦点が当てられているが、院内心停止の大部分は予測可能であり、予防可能なものである。過去数十年、可逆的な生理学的悪化を拾い上げ、心停止を予防するということはそもそもほとんど注目されていなかった。現在では、早期警告スコアやMETsが存在しているが、早期発見・早期治療にはまだ課題が残っている。本章の目的ㅡ蘇生とは何かを理解するㅡ急性疾患に伴う一般的な生理学的変化の重要性を認識するㅡ早期発見と早期治療が予後を改善させることを知るㅡABCDEシステムを用いた急性疾患患者の評価と管理の方法を知るㅡ集中治療の利点と限界を理解するㅡ急性疾患患者について仲間と効果的にコミュニケーションをとる方法を知るㅡ本文の内容を理解できるようになる蘇生とは何か?第1章リスクのある患者

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