集中治療のエッセンス
6/8

17酸素は1777年JosephPriestleyによって報告され、医療現場で最も一般的に使用される薬物の一つとなっている。それにも関わらず、酸素療法の記述が不正確なうえに、投与法もさまざまで、十分に理解されていないことが多い。2000年に、われわれは酸素療法に関する2つの調査を実施した。1つ目は、英国の地域中核総合病院における術後患者に対する酸素投与を調べたものであるが、結果として酸素投与には数十種類の方法があり、ほとんどがその投与法を守っていないことがわかった。2つ目は、急性期領域で働く50人の専門の医師・看護師に、酸素マスクとそれぞれの酸素濃度について質問したもので1)、さまざまな臨床場面でどのマスクが最も適しているかについても質問した。その結果、多くのスタッフが多種の酸素マスクの名前を答えることができず、酸素流量と酸素濃度の違いが十分に理解できていなかった。また酸素療法はPaCO2上昇の主因ではないということを理解しているスタッフは非常に少ないことも明らかになった。酸素療法に対する誤解が蔓延しており、その結果、多くの患者が不適本章の目的ㅡ酸素療法を行うㅡ酸素供給に使用されるさまざまなデバイスを知るㅡPaco2が上昇する理由を説明できるㅡパルスオキシメトリの限界を知るㅡ酸素供給の原理を理解するㅡこれらの知識を臨床に応用する酸素についての神話第2章酸素療法

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る