集中治療のエッセンス
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18第2章 酸素療法切な治療を受けている。酸素というものは適正な濃度と副作用がある薬物なのである。低酸素血症とは、動脈血中の酸素濃度が正常値以下〔PaO28.0kPa(60mmHg)以下、または酸素飽和度93%以下〕になった状態と定義されている。動脈血酸素の正常範囲は11~14kPa(85~105mmHg)であり、これは加齢により低下する。低酸素症は、組織内の酸素が正常以下に低下した状態であり、臓器障害に繋がる。チアノーゼは、ヘモグロビン濃度に依存するので、低酸素血症の指標としては信頼性が低い。低酸素血症の主な原因は以下の通りである:・換気量低下・換気-血流(V/Q)不均衡・肺内シャントこれらについては第4章でさらに論じている。組織低酸素症は、例えば敗血症のような循環異常や酸素利用障害によっても引き起こされることがある(第6章で詳述)。低酸素血症の症状と所見は次の通りである:・チアノーゼ・息切れ・頭痛・頻脈・動悸・落ち着きがない・錯乱・高血圧とその後の低血圧・意識レベルの低下酸素療法のゴールは、肺胞および組織の低酸素状態を改善することであり、高二酸化炭素性呼吸不全の危険がない場合はPaO28.0kPa低酸素血症と低酸素症

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