集中治療のエッセンス
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酸素療法19(60mmHg)以上、または酸素飽和度93%以上を目標とし、酸素飽和度100%を目指すことは不必要であり無駄である。BTSは、ヘルスケアや緊急時における成人の酸素使用に関するガイドラインを発表しており、22の専門学会によって承認されている2)。ガイドラインでは、高二酸化炭素性呼吸不全のリスクがある患者や終末期緩和ケアを受けている患者を除き、すべての急性期患者に対して、正常または正常に近い酸素飽和度を目標にすることを推奨している。治療として意図的に「多すぎる」酸素を投与する特定の状況(一酸化炭素中毒、群発頭痛、鎌状赤血球症、気胸など)を除けば、酸素は低酸素血症を治療するためにのみ投与されるべきであり、息切れや急性疾患そのものを治療するために投与されるべきではない。BTSガイドラインの推奨では、すべての患者に対して94~98%の、高二酸化炭素性呼吸不全のリスクがある特定の患者に対して88~92%の目標酸素飽和度を達成するために投与されるべきであるとしている。入院するすべての患者は、入院時に目標範囲内に酸素投与されるべきである。またガイドラインでは、医療スタッフはさまざまな酸素デバイスの使用方法について訓練を受けるべきであるとしている(図2.1参照)。酸素マスクは、要求換気に対して一部を供給するか、すべてを供給するかによって、2つのグループに分けられる:・低流量マスク:鼻カニューレ、ハドソン(またはMC)マスク、リザーバーバッグマスク・高流量マスク:ベンチュリーマスクそれぞれの酸素供給システムは加湿することもできる。鼻カニューレ鼻カニューレは便利で快適であり、一般的に使用されている。鼻カテーテル(鼻孔に挿入するスポンジ性の単一チューブ)もときどき使用される。患者忍容性が悪くなりがちなので、酸素流量は通常4L/分を超酸素療法

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