術前使用薬コントロール(jyutuzensiyouyaku)
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1薬物の概要2薬物服用が麻酔管理に及ぼす影響ロトロンビンからトロンビンへの変換を抑制する。 DOACは凝固カスケードの活性化によって産生したXaやトロンビンを失活させるため血栓の主な構成物質であるフィブリンの形成が抑制される。その作用は病的血栓だけでなく、止血に必要な生理的血栓形成にも及ぶため、DOACを内服している患者は血管損傷による出血が止まりにくい状態となる。したがって、DOACを服用している患者では術中・術後の止血が困難となり出血量・輸血量が増加し、時に致命的な出血となり得る。また神経ブロックや中心静脈カテーテル挿入などの観血的手技に伴う出血リスクも増加し、硬膜外麻酔・脊髄くも膜下麻酔などの脊髄幹麻酔では硬膜外血腫による対麻痺のリスクも考慮する必要がある。DOACの内服がどの程度出血リスクを上昇させるか? という点については明確なエビデンスを示すのは困難だが、抗凝固療法中は非手術直接経口抗凝固薬(DOAC)、出血リスク、血栓リスク、腎機能KEY WORDSⅥ.抗凝固薬・抗血小板薬ㅡ体内でビタミンKに拮抗しビタミンK依存性凝固因子(プロトロンビン、第Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ因子)の産生を低下させるワルファリンに対し、直接経口抗凝固薬(direct oral antico-agulant:DOAC)は特定の活性化凝固因子に選択的かつ直接的に結合しその酵素活性を阻害するため、非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(non-vitamin K antagonist anticoagu-lant:NOAC)とも呼ばれる。ㅡ2021年現在でトロンビンまたは活性化第Ⅹ因子(Xa)を阻害標的とする4剤が臨床使用されているが、いずれの薬物も腎排泄性が高く、腎機能に加え体重や年齢に応じた投与量の調節が必要である。ㅡ直接トロンビン阻害薬:トロンビンの活性部位に競合的かつ可逆的に結合してトロンビンの酵素活性を阻害し、フィブリノゲンからフィブリンへの変換を抑制する。ㅡ直接Xa阻害薬:Xaの活性部位に競合的かつ可逆的に結合し、Xaの酵素活性を阻害し、プ3 具体的な薬物名、副作用 薬物名・特徴を表11~4)に、副作用を表2に示す。1961 概 要2 作用機序(図1)41直接経口抗凝固薬

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