5術後の処方再開に関する方針ダビガトラン低出血リスク高出血リスク低出血リスク≥24時間CCr≥80mL/min≥24時間≥24時間CCr50~79mL/min≥36時間CCr30~49mL/min≥48時間≥24時間≥36時間CCr15~29mL/minCCr<15mL/minCCr:クレアチニンクリアランス禁忌リバーロキサバン,アピキサバン,エドキサバン≥48時間≥72時間≥96時間禁忌【文 献】 1) 医薬品医療機器総合機構.プラザキサカプセル添付文書.https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/650168_333900 1M1024_1_15(accessed Dec, 2020) 2) 医薬品医療機器総合機構.イグザレルト錠添付文かな抗凝固効果が得られる。術後再開の時期については明確なエビデンスは示されていないが、通常は止血が優先されるため術後24時間から72時間での再開が目安となる15)。周術期に休薬したNOAC服用患者の3.5%が内服再開前に心停止を含む重篤な血栓症を生じたとの報告もある16)。これらの患者では術前の休薬は4~7日と比較的長く、術後2~4日で血栓症を発症している。表5に示した血栓リスクの高い患者では可能なかぎり速やかな内服再開を計画するとともに、再開が困難であれば血栓症の発症を警戒する必要がある。① DOAC内服患者では最終内服時間と量を確認する。② DOAC内服患者の腎機能は必ずチェックする。③ DOACの種類、腎機能、手術の出血リスク、血栓リスクを総合して休薬期間を設ける。④ 休薬期間中のヘパリン置換は血栓リスクの低い患者には行わない。⑤ 術後の内服は止血を確認しだい速やかに再開する。Ⅵ 抗凝固薬・抗血小板薬表6 腎機能に応じたDOACの術前休薬期間(最終内服からの時間)子(プロトロンビン、第Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ因子)を濃縮した血液分画製剤で、日本では4因子含有PCCであるケイセントラ®とPPSB®-HTが製剤として承認されている。それぞれワルファリンの緊急拮抗、血友病患者の出血治療が適応なので、DOAC緊急拮抗目的での投与は保険適用外となるが、ダビガトランの拮抗には50 IU/kg、抗Xa薬の緊急拮抗には2,000 IUの投与が推奨されている11)。しかしPCCはDOACの阻害作用を上回る量の凝固因子を補充して凝固能を回復させる治療法であり、DOACの血中濃度が高い状態では凝固能が十分に回復しない可能性がある。 分子量が小さくタンパク結合率が低いダビガトランは、タンパク結合率の高い抗Xa薬と異なり透析での除去が可能だが12,13)、特異的拮抗薬が使用できる現状では治療選択肢としての優先度は低い。DOAC内服後2時間以内であれば活性炭の内服で除去効果が期待できるが、時間とともに効果が減弱するため内服後2時間以内または過量内服の症例が適応と考えられる14)。 DOAC内服患者は血栓症の高リスク群なので術後止血を確認後、内服が可能であれば速やかに再開し、内服ができない場合は未分画ヘパリンまたは低分子ヘパリンで置換する。内服再開後は数時間で血中濃度がピークに達し、速や高出血リスク≥48時間≥48時間≥48時間≥48時間まとめ201
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