12●外来における下肢静脈瘤のスクリーニングには,超音波ドップラー血流計が簡便で有用である。●下肢静脈瘤の確定診断には,超音波デュプレックススキャンが第一選択であり,立位または坐位で逆流を誘発しながら行う。●空気容積脈波法(APG)は超音波デュプレックススキャンを補完する検査法であり,複雑な病態を理解するのには重要な検査法である。●現在,血管関係の無侵襲検査を集約的に行うバスキュラーラボや血管診療技師を擁する機関も多い。静脈血の還流障害により静脈高血圧が引き起こされた病態を慢性静脈不全症(chronic venous insufficiency:以下,CVI)と呼ぶ。一次性静脈瘤は,表在静脈の弁不全により表在静脈に逆流が生じCVIを発症した病態である。一方,二次性静脈瘤は主に深部静脈血栓症(deep venous thrombosis:DVT)や血栓後遺症に伴い表在静脈にCVIを生じた病態であり,それぞれ治療法が異なる。下肢静脈瘤の治療方針を決定する際には,CVIの程度(表在静脈の逆流の範囲と程度),CVIの原因となっている病態(深部静脈の閉塞の有無)を正しく評価することが重要である。以前は,下肢静脈瘤の診断には下肢静脈造影が不可欠とされ,侵襲が大きく痛みを伴う検査が行われていた。しかし最近では,超音波検査,脈波法などの無侵襲的検査の診断能が向上し,これらの検査が標準になっている。さらに近年,CTやMRIなどの有用性も報告されるようになってきている1)2)。本稿では,下肢静脈瘤の診断のスクリーニングに有用な超音波ドップラー聴診器や,確定診断に第一選択で用いられる超音波デュプレックススキャン(血管エコー),脈波法などの無侵襲診断法の実際,およびそれらの検査を担う血管診療技師やバスキュラーラボについて述べる。KEY SENTENCEはじめに長谷川宏美エコー診断と記録
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