下肢静脈瘤/12-21p
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A下肢静脈瘤に対する無侵襲診断法検   査   法Level III侵襲的または複雑な検査表1 CEAP分類における静脈検査分 類Level I病歴聴取,理学所見,超音波ドップラー血流計による評価Level II無侵襲的検査(超音波デュプレックススキャン,必要に応じて容積脈波)(上・下行性静脈造影,静脈圧測定,CT,MRI)132004年に改訂されたCEAP分類では,静脈瘤に対する検査をLevel I〜IIIの3段階に分類し,患者の重症度に合わせて施行するように推奨している(表1)3)。下肢静脈瘤に対する無侵襲的検査の主なものは,CEAP分類Level Iに挙げられている超音波ドップラー血流計と,Level IIに分類されている超音波デュプレックススキャン(duplex scan)および脈波法である。1超音波ドップラー血流計(ドップラー聴診器)超音波ドップラー血流計は,連続波を用いて血流を音で確認する装置である(図1-a)。表在静脈の逆流の有無を簡単に評価可能であり,下肢静脈瘤が疑われる患者の初診時に最初に行うスクリーニングとして有用である。検査は,立位または坐位で行う。静脈にプローベを当てながら,その末梢の腓腹筋部を用手的に圧迫し,逆流を誘発して行う(下腿ミルキング法:図1-b)。弁不全および逆流がある場合,最初の圧迫で中枢に駆出される血流の音に続いて,圧迫の解除により血液が末梢へ逆流する「(ザッ)ザー」という逆流音を聴取する。逆流の程度が大きければ大きいほど,音が大きく,音の聞こえる時間(逆流時間)も長くなる。日常診療では,表在静脈の逆流のスクリーニングと同時に閉塞性動脈疾患の有無を確認する。静脈疾患に動脈疾患が合併していることも少なくなく,治療で用いる弾性ストッキングの適応を考えるためにも末梢動脈疾患のスクリーニングは忘れてはならない。超音波ドップラー血流計は,機器が小型で軽量,安価であり,場所を選ばずに手軽に用いることが可能である。特に形成外科医にとっては,皮弁血流や皮弁穿通枝の確認に用いる機器として身近で手に入れやすい。しかし,深部静脈や穿通枝不全の検索は困難であるので,十分な確定診断にはデュプレックススキャンでの検査が必要となる。2超音波デュプレックススキャン●下肢静脈瘤の確定診断における第一選択超音波デュプレックススキャンは,一般的にいわゆる「血管エコー」と呼称さ

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